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韓食日記

日々食べている韓国料理の記録です。
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金色に輝くパッケージ。
辛ラーメンにこんな姉妹品が出ていたんですね。
調べてみたところ、発売から1年以上は経っている様子。
キムチフレーク入りのキムチ辛ラーメンです。

通常の辛ラーメンが5袋入りセットなのに対し、
こちらは4袋入りセットで高級感を演出しています。

思えば発売当初のスタミョンも4袋入りでしたね。
貧しい留学時代は、その1袋少ないところに手が出なかった。
わずか数百ウォンの違いが、大きな痛手だった訳です。

「たまに食べるスタミョンは美味しかったな……」

などと留学時代を振り返りながら、
キムチ辛ラーメンを作って食べてみました。

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1人前用のラーメン鍋。取っ手付きが重要。
卵を落として、キムチも足して、下には新聞紙を敷きました。
キムチ辛ラーメンもここまですれば本望でしょう。

で、その感想。

「美味しいけど、なんか物足りない……」

味はキムチの酸味がしっかり出ているのですが、
麺が若干細めなのか、韓国ラーメン特有のどっしり感がありません。
いつの間にか、食べ終わってしまった、という印象でした。

妙だなと思ってパッケージを見たら、実際に量も少ないんですね。
従来の辛ラーメン120グラムに対し、こちらは84グラム。
単純計算して、3分の2程度のボリュームしかないということです。

ちなみにこの容量はチキンラーメン(85グラム)と同程度。
一般の袋ラーメンは100グラム前後に作られているようなので、
やっぱりずいぶん少なめに作っている感じですね。

たぶん夜食や間食に向くサイズなんだと思います。

辛ラーメンを1袋食べるにはちょっと多い。
そんなときに活躍する辛ラーメンと考えれば意味がありますね。
わかってみれば、これはこれでいいかもと思いました。

とはいえ、僕の空腹は微妙に満たされません。
直後にオヤツをモリモリ食べてしまったのは内緒にしたい事実です。
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2009.03.31.Tue 23:28 | 韓食日記 | trackback(0) | comment(5)
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先日のチンチャトークでも紹介したのですが、
なかなか反響が大きく、売れ行きも好調らしいので紹介します。
3月19日に発売されたばかりのニンテンドーDSソフト。
見ての通り、DSでハングルを学ぼうという内容です。

監修は昨年、NHKハングル講座を担当したイ・ユニ先生。
僕は校正、ロムチェックなどの裏方で少し携わりました。

最近の学研は書籍だけでなく、携帯で学べるコンテンツを作るなど、
さまざまなジャンルでの語学ソフトを作っているんですよね。
韓国語をいろいろな手法で学べるのは、楽しい試みです。

ちなみにコチラのソフト。

目玉のひとつに音声を吹き込める機能があります。
イ・ユニ先生の発音を聞いた後、それをマネしながら、
DSに内臓されたマイクに向かって自分の声を録音。
それを再生して、自分の発音を客観的に聞けます。

加えて、音声を折れ線グラフでも表示してくれるので、
どの部分が、どのぐらい異なっているかを目で確かめられます。
日本人が苦手とする、発音の練習にもってこいです。

僕も試してみましたが、やり始めるとけっこうハマります。
発音はできているつもりでも、やはり違っていますからね。

あとは単語の学習をしたり、フレーズを学んだり。
ゲーム感覚でテストもできるうえ、成績も記録してゆけます。
まさに遊び感覚で使える学習ソフトというわけです。

ニンテンドーDSを持っていない人には意味のない情報ですが、

「そういえば息子が持っていたわね……」

という方も中にはいるのでは。
興味のある方は、ぜひ試してみてください。

個人的にはこういうソフトが普及していけば、
韓国語業界に新たな革命が起きるのではと思っています。
練習問題をランダムに作れるあたりなんかは、
書籍でコツコツやるよりも、よっぽど優れていますからね。

以前、RPG風のハングル本企画を考えて没になりましたが、
もう少し時代が進めば、日の目を見ることになるかもしれません。

主人公の勇者が擬人化された母音やら子音やらと戦いつつ、
勝利していく上で、ハングルが学べてしまう感動ストーリー。
敵の必殺技から、決めゼリフまで全部考えてありますので、
後は「面白い!」と評価してくれるゲーム会社を待つのみです。

そんな時代を一刻も早く引き寄せるには、
こういう活気的なソフトに売れてもらうことですね。

「ハングル三昧DS」ガンバレ!

ということで紹介させて頂きました。

アマゾン ハングル三昧DS
http://www.amazon.co.jp/dp/B001NMTI52/
2009.03.30.Mon 23:50 | お知らせ | trackback(0) | comment(3)
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職安通りから歌舞伎町に入った路地の地下。
ちょっとわかりにくい場所でひっそりとオープンした店ですが、
貝焼きの専門店、ということで気になっておりました。
以前は何軒かありましたが、いまはたぶんここだけでしょうね。

冒頭の写真が自慢料理の貝焼き盛り合わせですが、
驚いたのは値段。タイラギ、ハマグリ、アワビ、牡蠣などが写真の量で、

「3000円!」

というのはけっこう破格の値段じゃないですか?
なんでも店のオーナーさんが、水産会社を経営しており、
普段は韓国や日本各地の漁場から、市場に卸す仕事をしているとのこと。
築地あたりに持っていく海産物を、そのまま店に運んでいるため、
一般の店に比べ、市場、仲買という2ヶ所をカットしていることになります。

貝料理で安い、となると微妙に鮮度が心配だったりもしたのですが、
安さの秘密を聞いて、ああ、なるほどと納得した次第です。

なお出している貝は、みな活きたものを使用しているとのこと。
新鮮なものを焼いて食べる、というシンプルさがいいですね。

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焼けた貝は店員さんが、食べやすい大きさにカットしてくれます。
上の写真はブログ用として、カットする前のを撮っています。
盛り合わせだと、誰がどの貝を食べるかケンカになりそうですが、
みんなでチョコチョコつまめる、というのはいいことですね。

なお、食べたい貝は単品でも注文可。

・活アワビ……650円
・活ホタテ……250円
・活カキ……120円
・活ハマグリ……250円
・活サザエ……120円
・活ムール貝……100円
・活タイラギ貝……650円

なんてメニューを見ると悩みますね。

アワビが1個650円というのも充分安いですが、
サザエ120円あたりを、ずらり並べて焼くのも楽しそう。
ちなみにこの日食べた中では、ハマグリが大ぶりで美味しかったです。
焼き方もバター焼き、コチュジャン焼きなどいろいろ楽しめる様子。
日本人としては、醤油だけ、といった食べ方も試したいですね。

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まだオープンから間もないため、メニューはいろいろ試している様子。
こちらはアワビを醤油ダレで煮込んだ、いわゆるチャンジョリム。
韓国風に作った、煮貝といった感じでしょうか。

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鍋からはみ出まくっている、貝の蒸し煮。
これも出てきたときは、正直、目を疑いましたね。

かさばる貝殻がスペースの大半とは頭でわかっていても、
これがテーブルに出てきたらボリューム感に圧倒されます。
ちなみに鍋の底にはスープとともにテナガダコが沈んでいたり。
大量の貝に踏み潰された不幸なタコ、という想像すらしてしまいます。

こちらも店員さんが、貝を取り分けてくれるので楽ですね。
焼いても鍋でも楽しめる、というのは嬉しい趣向です。

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個人的に大興奮だったのがコチラ。
メセンイ(カプサアオノリ)をたっぷり入れたスープなのですが、
要するに海藻のスープで牡蠣も入っています。

メセンイは全羅道の海側でとれるアオノリの一種、
ソウルあたりでも、あまり見かけることのない珍しい食材ですね。
僕もジョン(衣焼き)として食べたことが何度かある程度。
これだけたくさんの量で食べるのは初めての体験です。

海苔ともまた違う、磯の風味を凝縮したスープ。
冷たくして食べるバージョンと、温かいスープの2種類があり、
メセンイの風味を楽しむなら、温かいほうがくっきり味わえますね。
冷たいほうはネングクと呼ばれる料理で、酸味を効かせて作ります。
夏場にさっぱり飲むなら、冷たいほうが爽快でしょう。

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そのほか、茹でたワタリガニや……。

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イクラの醤油漬けなども出して頂きました。
どちらもレギュラーメニューには見当たらないので、
たまたまあったのか、裏メニューとして置いてあるのか。
経営母体が水産会社であることを考えると、

「とりあえずいろいろな魚介類がある」

といった厨房状況なのかもしれません。
魚介好きには、まあなんとも幸せな店です。

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こちらも新メニューとして開発中の商品。

なんとも贅沢なアワビ入りのサムゲタン(雛鶏のスープ)なのですが、
上に載っている1個のほか、お腹の中にももう1個詰まっています。
韓国では最近、この手のサムゲタンもよく見かけるようになりましたが、
日本ではまだまだ海鮮と組み合わせる例は珍しいですよね。

「で、これいくらなんですか?」
「んー、3000円ぐらい?」

とお店の方。
3000円って、普通のサムゲタンと変わらないじゃないですか。
実際にメニューに載せるときは、もう少し高めにするのかもしれませんが、
どうも店の考え方として、値段をできるだけ安くというのがあるようです。

客としては嬉しいことですけどね。
話を聞いていると、逆に心配したくなるぐらい。

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シメにしたのはチョンボクトルソッパプ。
アワビをスライスして入れた炊き込みごはんです。
これまでの流れがありましたから、普通に食べてしまいましたが、
これも冷静に考えると、贅沢な料理ですよね。

値段が1200円って、やっぱり石焼きビビンバと大差ありません。
自分の中で考えるアワビの希少性と貴重さが破壊される店です。

あんまり不思議だったので、

「これってチリアワビ(ロコ貝)だったりします?」

などと失礼なことも聞いてしまいましたが、
韓国の莞島産エゾアワビを使用しているとのこと。
莞島といえば海苔の養殖で有名なところですが、
その海苔を食べて育てているので、味がいいとの説明でした。

いやはや、それにしてもたくさんの貝を食べました。

あと、いま思いましたが、貝はたっぷり食べたとしても、
基本的にローカロリーなので、それも大きなメリットかもですね。
リーズナブルでヘルシーな料理を楽しめる韓国料理店。
いまのところ、まだあまり知られていない様子なので、
新大久保の新規開拓が好きな方はぜひ足を運んでみてください。

店名:海家(うみや)
住所:東京都新宿区歌舞伎町2-19-7新田中ビル地下1階
電話:03-6457-6959
営業:18:00~翌6:00
定休:不定休
2009.03.29.Sun 23:55 | 韓食日記 | trackback(0) | comment(9)
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久しぶりに参加したオフ会。
1次会の「多利園」を出て2次会は「とんどこ」。
大久保通りを大久保駅方面に行き、駅を越えたあたりです。

オープンしたのは2005年末頃だったでしょうか。
「豚三段バラ王大会」というサムギョプサル(豚バラ肉の焼肉)の、
大食い大会をオープン時に開催して話題を集めた店です。

その後、サムギョプサル食べ放題90分1500円など、
新大久保の豚焼肉価格を、大幅に下げるような企画を敢行。
そのうち行こうと、頭の片隅には入れておいたのですが、
場所がちょっと離れているので、すっかり忘れていました。

先日のチンチャトークに、社長さんが足を運んでくれたのもあり、
2次会の場へも、いい機会と顔を出させて頂きました。

それで驚いたのですが……。

サムギョプサルの食べ放題はまだ続いていたんですね。
価格も当時と同じく、90分1500円で変わらず。
新大久保でプチ流行した水晶板で焼くスタイルだそうです。

そんな話を聞きながら……。

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2次会なので肉は遠慮してカンジャンケジャンを注文。
生のワタリガニを薬味醤油に漬け込んだ料理です。

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そしてこちらはヤンニョムケジャン
生のワタリガニを辛い薬味ダレに漬け込んだ料理です。
カンジャンケジャンとヤンニョムケジャンの同時注文。

いわゆる「ダブルケジャン」というやつです。

……などとタイトルにも書きましたが、
いわゆるでもなんでもなく、いま思いついたネーミング。
検索にかけてもピンポイントではヒットしないので、
いつか定着するまで言い続け、元祖を名乗ろうと思います。

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チャプチェ(春雨炒め)などをつつきつつ。

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トトリムクムチムが出たところでひとつの驚きが。
ドングリのでんぷんをゼリー状に固めたのがトトリムク。
それを生野菜と和えればトトリムクムチムになります。

ドングリの素朴な風味が持ち味の料理ですが、
たいていは既製品を使っているので、食感が固い。
この店のトトリムクは食べてすぐわかるほど食感が滑らか。
同席者からは、

「手作りだねぇ!」

と驚嘆の声が上がっておりました。
粉からわざわざ作る店は少ないのでこれは貴重ですね。

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トンテジョン(スケトウダラのチヂミ)なんて料理が、
レギュラーメニューに並んでいるのも喜ばしいところ。
この日はちょっと塩が効きすぎている印象ではありましたが、
個人的には好きな料理なので嬉しかったです。

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ちなみに冒頭の写真は店に飾られているオブジェ。
飲み切った焼酎のボトルを集めて、作られております。

なんでも以前はチャミスルを飾っていたそうなのですが、
あるとき斗山の関係者が訪れて、それに一言。
斗山商品であるチョウムチョロムに差し替えたとのことです。

客としては韓国らしいオブジェだな、と思うだけですが、
関係者にとっては、それも大きな広告塔のひとつ。
シェア争いの熱い戦いが、新大久保でも繰り広げられているようです。

店名:とんどこ
住所:東京都新宿区百人町1-19-13アサカワビル地下1階
電話:03-3361-7532
営業:11:30~翌1:00
定休:なし
2009.03.28.Sat 16:16 | 韓食日記 | trackback(0) | comment(3)
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先日、ランチで利用した「多利園」。
僕の周囲ではなかなかの評判なのですが、
オープンから間もないため、まだ利用客が少ないようですね。
この間、店の前を通ったら……。

チャジャンミョン390円!」

という貼り紙が出ておりました。
店が増えて、価格破壊が進む新大久保の中華料理店ですが、
それでもかなり思い切った値段設定での勝負ですよね。
これまでも開店セールをしていた店はいくつかありますが、
それでも500円のラインで留まっておりました。

おそらく期間限定のセールだとは思いますが、
新大久保で中華を食べたいという方にはひとつの朗報かも。
機会があったら、ぜひ試してみてください。

さて、その「多利園」で宴会。

通りに面した1階フロアはさほど人が入れませんが、
2階に座敷があり、そこで宴会をすることも可能です。
この日は某方主催のオフ会に参加させて頂きました。

冒頭の写真はそこで出てきた料理のひとつ。
揚げた鶏肉と野菜を甘酢ソースで絡めたカンプンギです。

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クンマンドゥ(焼餃子)、ムルマンドゥ(水餃子)が出て……。

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こちらも定番のタンスユク(酢豚)。
冒頭のカンプンギとよく似ておりますが、
カンプンギは鶏肉、こちらのタンスユクは豚肉です。
食べているときも微妙に混乱がありましたね。

「あれ、こっちが何だっけ」

みたいな話になるのも楽しさのひとつかと。

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シメはやっぱり麺料理。
チャンポン(激辛の海鮮麺)と……。

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チャジャンミョン(ジャージャー麺)。
これらをみんなで分けて1次会のシメとしました。

これまであまり韓国式中華料理店では飲みませんでしたが、
改めて参加してみると、なかなか楽しいものですね。
普段、どうしても麺料理などの1品料理ばかり頼んでしまうため、
大皿料理に接することが、どうしても限られてきます。

名前は知っていても、あまり頼むことのない大皿中華。

・ヤンジャンピ(野菜と海鮮の冷製カラシソース)
・ナンジャワンス(肉団子と野菜のあんかけ炒め)
・ラジョギ(鶏肉のトウガラシ炒め)
・パルボチェ(八宝菜)
・コチュチャプチェ(チンジャオロース)

あたりがよく見るメニューの例かと思いますが、
留学時代までさかのぼっても食べたことがあったかどうか。
これらを制覇するためにはやっぱり夜に行かねばですね。
韓国中華の楽しみ方を、再確認できた夜でした。

店名:多利園
住所:東京都新宿区大久保1-16-24
電話:03-3204-9666
営業:11:00~翌2:00
定休:なし

<過去の関連日記>
(01月09日)新大久保「多利園」でチャムチャミョン。
2009.03.27.Fri 19:36 | 韓食日記 | trackback(0) | comment(2)
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少し間隔を開けてしまいました。
記事が溜まっているので、また頑張って更新したいと思います。

先日の記事で、『月刊Suッkara(スッカラ)5月号』の紹介をしました。
この号では師匠こと佐野良一さんの新連載がスタート。
新大久保の歴史について、実体験を元に振り返るという内容です。
それを記念し、師匠と僕の対談を誌面に載せて頂きました。

月刊Suッkara(スッカラ)5月号
http://www.amazon.co.jp/dp/B001UOJO2A/

新連載の舞台であり、この日の対談会場にもなったのが、
新大久保コリアンタウンの草分けとなった「武橋洞」。
1981年創業という、歴史のある韓国家庭料理店です。

以前も取材でお邪魔したことはあったんですけどね。
改めてこの日、料理を食べ、またご主人のいろいろな話を聞き、
店のディープな雰囲気にもひかれ、すっかりハマってしまいました。
取材も含め、1週間の間に3回も通っている次第です。

この日は、お世話になっている出版社の方々と訪問。
冒頭の写真は、創業当時から自慢のサムゲタン

たいていサムゲタンというと500グラム前後の雛鶏を使いますが、
この店では4、5人の人数で分けられる1キロの鶏を使用。
それが写真でもわかるように、土鍋に入って出てくるスタイルです。

いまでこそトゥッペギ(チゲ用の鍋)も珍しくなくなりましたが、
28年前はそんなもの、簡単に入手できないですもんね。
東京におけるサムゲタンの古き姿、という味も感じられます。

また、刻みネギがどっさり乗るのも特徴。

ただし、稀にネギ嫌いという人もいるため、
このネギは別の器に盛られて出されます。
ネギが嫌な人は、入れなければよい、という配慮です。

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ちなみにサムゲタンはシメの一品。
順序が入れ替わっていることのみご了承ください。

上の写真は同じく「武橋洞」名物のクルジョン。
ぷっくりとした牡蠣に小麦粉、溶き卵をつけて焼いています。
いわゆる牡蠣のチヂミですね。味はついているのでそのまま賞味。
牡蠣の風味を丸ごと味わえる料理です。

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チャプチェ(春雨炒め)は白さが際立つ珍しい仕上げ。
たいていチャプチェというと醤油で仕上げますが、
こちらは醤油ではなく、塩をベースとして作っている様子。
麺がシコシコとして、食感がよいのもいい感じです。

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こちらはトラジ(キキョウの根)の薬味ダレ和え。
たぶんレギュラーメニューではなかったと思います。

「こんなの食べます?」

というご主人のセリフで珍しい料理が出てくるのも、
この店の大きな魅力、ということを発見しました。

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青唐辛子とエゴマの葉の醤油漬け。
青唐辛子は辛そうに見えますが、意外にそうでもなし。
味が染みてて、ごはんが欲しくなりますね。

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そのほか、ケジャン(ワタリガニの薬味ダレ和え)や、
キムチジョン(キムチ入りのチヂミ)などもつまみつつ。

お酒はオイソジュ(キュウリ焼酎)を楽しんでみました。
隣の常連さんがやっているのを見て、真似したんですけどね。
キュウリの味で、焼酎がさっぱり飲みやすくなります。

以前はよくキュウリを入れて飲んだものですが、
たぶん、それって昔の焼酎が飲みにくかったからだと思います。
いまの焼酎は水のようにするすると飲めますからね。
もちろん水のように飲んでいたら、後で大変なことになりますが、
それでもキュウリを入れて、という習慣は減ってきた気がします。

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サムゲタンは店のご主人が取り分けてくれます。
高麗人参、ナツメとともに、ニンニクの風味が効いています。
この日は5人で食べましたが、6人でも食べられました。

お店のご主人曰く、

「量は少なく、種類は多く頼んで欲しい」

とのことなので、シメに食べるなら5、6人までは1匹で充分。
2匹頼むぐらいなら、他の料理を食べたほうが楽しめます。
サムゲタンをメインに食べる、というのなら3、4人前ですかね。

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店を出ると、外はこんな感じ。

マンションの半地下みたいな場所なのですが、
韓国料理店が5軒、タイ料理店なども集まって賑やかです。
コリアンタウンの外れなので、あまり知られていませんが、
この一角はなかなか盛り上がっていて楽しいですね。

特に店の外まではみ出して飲んでいる姿がいい感じ。
古くは80年代の「武橋洞」でも同じ光景が見られたそうですが、
よい意味での十年一日、といった雰囲気でしょうか。
師匠の連載を読みつつ、タイムスリップを楽しみたいと思います。

店名:武橋洞(むぎょどん)
住所:東京都新宿区大久保1-1-9
電話:03-3209-8162
営業:17:00~翌2:00
定休:第1、3日曜日
2009.03.26.Thu 13:15 | 韓食日記 | trackback(0) | comment(7)
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3月20日、21日でチンチャトークを開催しました。
今月はずいぶんたくさんの方に来て頂けて嬉しかったです。
これからも多くの人に楽しんでもらえるよう頑張ります。

冒頭の画像は、先月から始めた「チンチャ韓食新聞」の第2号。

せっかくなので裏面も利用して2ページに拡張しました。
当日の話だけでは、どうしてもいい忘れることが出てくるので、
大事なポイントをしっかり盛り込んで書き下ろた次第です。
回数を重ねた中で、だいぶ緊張はしなくなりましたが、
やはり話をするよりも、僕自身は書くほうが性に合うようですね。

来月のチンチャトークも土曜日、日曜日にまたがる変則開催。
以下のように確定しましたので、ご都合よいかたはぜひご来場ください。

=========================
■第18回八田りチングのチンチャトーク
日程時間:
(1)2009年4月25日(土)17時30分開演
(2)2009年4月26日(日)11時開演
(開場はいずれも開演15分前)
場所:新宿職安通り韓流ショップ「ナビコリア」
料金:1人1500円(税込)
定員:各回35人
チケット入手方法:2008年3月20日(金曜日)販売開始
1)ナビコリア店頭にて直接入手
2)ナビコリアにTELで申込み。TEL03-3232-0071。
3)メールで申込み。
http://www.navinavikorea.com/inquiry2/index.html

◆2)と3)で申込み予約された方は、4月19日(日)までに、
ナビコリア店頭で代金引き換えでチケットをお受け取り下さい。
遠方で難しい場合、開催日にお支払い受け取り希望の方はナビコリアへご相談下さい。
開催日御支払いの方はキャンセルは絶対にお止めください。
(引き取り期間にお引き取りが無い場合は予約キャンセルとさせていただきます。)

◆定員オーバーの場合、キャンセル待ちなどのご連絡をします。

<会場>
ナビコリア
東京都新宿区歌舞伎町2-19-10第7金嶋ビル3階
職安通り「韓国広場」から明治通り方向、1階が喫茶店「ロッジ」
03-3232-0071

メールページ
http://www.navinavikorea.com/inquiry2/index.html
トップページ
http://www.navinavikorea.com/

<主催>
KJナビゲーションズ(通訳・翻訳・韓国語教室運営)
http://www.kjnavi.co.jp
ナビコリア
http://www.navinavikorea.com/
<協力>
よしもとクリエイティブエージェンシー
=========================

また、昨年12月に行って大好評だった、
博多開催の第2回が決定しました。
福岡県、および近県にお住まいの皆様。
ぜひこの機会にご来場頂ければと思います。

=========================
■第2回八田りチングのチンチャトークin博多
日程:4月11日(土)
時間:14:00開場、14:30開演
会場:BUZZ(下記参照)
出演:チング、八田靖史、アジアントール、オスペンギン、池ポコそん
料金:2000円
申込:チケットぴあにて発売中
http://ent.pia.jp/pia/event.do?eventCd=0914327&perfCd=001

<会場>
BUZZ
福岡県福岡市中央区天神3-6-4地下1階
092-712-0331
http://search.pia.jp/pia/venue/venue_access_map.do?venueCd=FBUZ
=========================

今度こそ、福岡の韓国料理も楽しまねばですね。
前回のアンケートで、いっぱいオススメ店を教えて頂いたので、
行く前までに、しっかり検討して探索したいと思います。
2009.03.22.Sun 15:02 | お知らせ | trackback(0) | comment(5)
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『月刊Suッkara(スッカラ)5月号』本日発売。
今月号は韓服特集のようですね。
『ファン・ジニ』人気の影響もあってでしょうか。

そんな特集記事もさることながら、
この5月号を皮切りに、貴重な新連載が始まります。
その名も……。

『新宿「武橋洞」ものがたり』

執筆者は師匠こと佐野良一さん。
タイトルにある「武橋洞」は新大久保にある韓国料理店です。

いまでこそ新大久保界隈は韓国料理店が増えましたが、
「武橋洞」が誕生した1981年頃は、まったく韓国料理店など皆無。
新大久保がコリアンタウンとして成長する最初のきっかけが、
「武橋洞」のヒットであったという逸話があります。

新大久保がなぜコリアンタウンになったのか。
80年代の新大久保に通い詰めていた師匠が自身の体験とともに、
伝説の黎明期と、いまに至るまでを綴る企画とのことです。

個人的にもこのあたりの話はいろいろ調べているのですが、
まとまった資料はなく、そもそも語れる人が限られております。
師匠がそこに切り込むというのは、たいへんに貴重なこと。
おおいに期待したいと思っております。

また、その新連載を祝し、

「新大久保師弟対談」

という企画も組んで頂きました。
僕と師匠がいまも引き続き営業中の「武橋洞」へ行き、
マッコルリを飲みながら新大久保について語るという内容。
ありがたくも一緒に登場させて頂いた次第です。
新連載とともに、興味のある方はぜひご覧ください。

月刊Suッkara(スッカラ)5月号
http://www.amazon.co.jp/dp/B001UOJO2A/
2009.03.21.Sat 16:40 | ニュース&情報 | trackback(0) | comment(3)
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韓国の野菜について知りたい、という記者さんに頼まれ、
それならばと、新大久保をご案内する機会がありました。
「韓国広場」に行けば、韓国の野菜もずいぶん揃っていますしね。
チョンガク大根、エゴマの葉、エホバク(カボチャの未熟果)など。
すぐ隣の国でも、やはり個性的な野菜がずいぶんあります。

スーパーを見学した後は、昼食を兼ねて「チャムナム家」へ。
ここならこまごまとしたキムチやナムルをたくさん出してくれますし、
ちょうどお母さんもいて、いろいろ話をしてくれました。

どころか、この日は新メニューの試食もさせて頂いて。

冒頭の写真、プルラクジョンゴルです。
牛肉とテナガダコを具にした鍋料理ですね。

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鍋の中にはテナガダコが丸ごと1匹。

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これをハサミでチョキチョキとカットし……。

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野菜に火が通るまで煮込んだら出来上がり。
ベースがプルコギ(牛焼肉)なので味付けはやや甘めです。
テナガダコを入れて、より豪華にしたプルコギという感じですね。
新メニューとして、今後アピールしていくとのことです。

という料理を見ながら、少し考えたのですが、
既存の料理に魚介類をプラスというのは最近の流れでもありますね。
プルラクジョンゴル自体は昔からあるアレンジなのですが、
ヘムルトクチム(魚介と餅の鍋)以降、さらに目立ってきた気がします。

カムジャタンに魚介類を入れたり、サムゲタンに入れたり。
大当たりをするメニューというのはまだ見かけませんが、
韓国人の好みには、マッチしているようです。

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ふわふわのケランチム(卵蒸し)と……。

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本日のお目当てだった、たっぷりのパンチャン(副菜)。
ランチからこれだけの料理を並べる、というのはすごいですよね。
おかげさまで有意義な時間となりました。

店名:チャムナム家(ちゃむなむちぷ)
住所:東京都新宿区百人町1-3-3サンライズ新宿1C
電話:03-3205-9233
営業:11:30~翌0:30
定休:なし

<過去の関連日記>
(04月14日)新大久保「チャムナム家」でタットリタン。
(04月19日)新大久保「チャムナム家」でタットリタン。
(04月20日)新大久保「チャムナム家」でキムチチゲ。
(10月12日)新大久保「チャムナム家」でテンジャンチゲ。
(12月06日)新大久保「チャムナム家」でユッケジャン。
▲(2006年)
▼(2007年)
(01月15日)新大久保「チャムナム家」でユッケジャン。
(02月04日)新大久保「チャムナム家」でまかないごはん。
(05月19日)新大久保「チャムナム家」でタットリタン&スユク。
(05月25日)新大久保「チャムナム家」でダブル鶏&出前料理。
(06月27日)新大久保「チャムナム家」でテジカルビ。
(07月11日)新大久保「チャムナム家」でツアーご招待。
(11月11日)新大久保「チャムナム家」でお会いした皆様へ。
(11月26日)新大久保「チャムナム家」でオモニの誕生日会。
(12月03日)新大久保「チャムナム家」で『Suッkara』の取材。
(12月13日)新大久保「チャムナム家」でプデチゲ。
▼(2008年)
(03月06日)新大久保「チャムナム家」でトロット三昧。
(08月28日)新大久保「チャムナム家」のリニューアル情報。
(11月01日)新大久保「チャムナム家」で新メニューのポッサム。
2009.03.20.Fri 12:24 | 韓食日記 | trackback(0) | comment(4)
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韓国リピーターであれば、このロゴをご存知のはず。
店に入ったことがなくても、たぶんあちこちで見ていますよね。
上の写真にあるように、400店舗展開のフライドチキン店。
日本では「TWO TWOチキン」という名前でいくようですが、
韓国では「トゥルドゥルチキン」という名前で知られています。

まあ、「トゥルドゥル」というのが「2」を重ねた言葉なので、
翻訳すれば「TWO TWOチキン」でも意味は同じです。
そもそもロゴからして「TWO TWO」ですしね。

いやはや、それにしても。

こんな有名店が進出していたとは知りませんでした。
聞けばオープンは昨年の11月とのこと。もう4ヶ月になりますね。
すでに赤坂界隈の韓国通には、知れ渡っているようです。
特に韓国人は本場の味に喜んでいるようですね。

09031802.jpg

場所はエスプラナード赤坂商店街(田町通り)沿い。
「チョンギワ新館」や、「おんがね」のあるあたりですね。
地下だけに場所はさほど目立ちませんが、
「TWO TWOチキン」の赤いロゴはさすがに目を引きます。

09031803.jpg

早速、メインメニューのフライドチキンから賞味。

薄めの衣でカラッと揚げているのが特徴とのこと。
かぶりつくと、衣からか下味からか、独特の香りが漂います。
フライドチキンの店はどこも秘伝のパウダーを持っていますが、
シナモン系の甘い香りが混ざっているように感じました。

お店の方にいろいろ薀蓄を聞いてきましたが……。

・揚げ方、味付けなどは韓国と同じ
・圧力フライヤーを使った2度揚げがポイント
・鶏は国産の若鶏を使用
・鶏は仕入れた後、24時間熟成させる

というあたりがポイントの様子。
特にいちばんこだわったのは鶏のサイズみたいですね。
皮目に脂がつかない700グラムが絶対条件とのこと。

確かに新大久保あたりで食べるフライドチキンは、
どこも1キロサイズが標準なので、やや小さめになりますね。
サムゲタン用と、通常フライドチキンの中間的サイズです。
過剰な脂っぽさがなく、身も締まっているのがメリットとか。

ただ、国産で700グラムって相当珍しいです。

韓国ではひな鶏需要が大きいのでそのサイズもありますが、
日本では採算が合わないので、まず養鶏業者が扱いません。
小さいサイズの鶏が必要な場合は、外国産を使うのが主流。
ブラジル、アラブ、アメリカあたりの鶏がよく出回っています。

「よく日本で700グラムがありましたね!」

と驚いて尋ねたところ、
特別注文でおろしてもらっている、とのことでした。
そこは大手チェーンの強みということになるのでしょうか。

ちなみに上のひと皿が鶏1羽(1900円)。
ハーフでも注文することができるとのことです。

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こちらも定番のヤンニョムチキン。
店ではコチュジャンチキンの名前で売られています。
フライドチキンとこの2種類は韓国とまったく同じ味付け。
それに加えて、激辛味のスパイシーチキンと、
ニンニクソースのガーリックチキンを新たに開発したそうです。

それぞれ少しずつ味見をさせて頂きましたが、
個人的にはフライドチキンがいちばんの好印象。
鶏の味と、パウダーの味がよくわかりますね。

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赤坂という場所柄、早速芸能人もやってきている様子。
チョン・ジュノ、チャン・グンソクが来た、と店の方が誇らしげでした。

でも、僕が気になったのは、むしろいちばん右の野球選手。
WBCでいま大活躍しているキム・テギュン選手らも来店したそうです
アジアラウンドの際、本場の味で元気をつけていったようですが、
「なんて余計なことを……」と心の中で店の評価が少し下がったり。

でも確かに、チキン好きな韓国人には嬉しい店でしょうね。
事実、デリバリーも行っているため、近隣の店などから注文殺到。
むしろデリバリーで忙しい、という状況になっているそうです。

昨年、引っ越してから赤坂は地下鉄1本なので、
これからもちょくちょく通ってみたいですね。

韓国式フライドチキンは新大久保でも店が乱立していますし、
大手の「BBQ」なども、すでに日本進出を果たしています。
韓国フライドチキン業界の活躍が、また楽しみになってきた感じです。

あと、最後に情報ひとつ。

韓国式フライドチキンに欠かせない、角切り大根の酢漬けですが、
残念なことにサービスでなく、1皿につき200円かかる模様。
行かれる方はその点のみ、気持ちの準備をしておくとよいかと思います。

店名:「TWO TWOチキン赤坂本店」
住所:東京都港区赤坂3-21-3センチュリオンホテル・レジデンシャル・赤坂地下1階
電話:03-3587-4122
営業:17:00~翌5:00(月~土)、11:00~23:00(日、祝)
定休:なし
2009.03.18.Wed 19:46 | 韓食日記 | trackback(0) | comment(5)
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『るるぶ韓国』の09~10年版が発売になりました。
今年もライターとして参加させて頂いております。
昨年末に長期間韓国へ行ったのは、この取材でした。

ちなみに今回の目玉は、よーく目を凝らせば見えるかも。
表紙の中央、やや右部分に踊っている2人組がいます。

ピンと来るアナタはチンチャトーク通。
とまで書いたら、誰が載っているかはわかりますよね。
ぜひ書店で確認してみてください。

http://www.amazon.co.jp/dp/4533074545/

2009.03.17.Tue 16:55 | 韓食日記 | trackback(0) | comment(3)
毎年、同じ時期に、同じように苦しむのですが、
今年も確定申告とメルマガ配信のダブルパンチです。
昨日も確定申告書や領収書の束と格闘しているうちに、
いつの間にやら、時計の針が12時を過ぎていました。
今日もどうやら記事を書けそうにないようです。
とりあえずあと2時間、メルマガの執筆を頑張ります。
2009.03.15.Sun 22:13 | 個人日記 | trackback(0) | comment(0)
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今年からブログのできるだけ毎日更新を掲げ、
本の紹介や個人日記などのボリュームを増やしました。
そろそろ定着してきたかな、とも思っておりますが、
変わりに飲食店の紹介記事がガクンと減りましたね。

確かに外で食べる頻度が以前よりも減りました。
新しい店もできていますし、行きたい店もあるのですが、
仕事が忙しく、なかなか足を運べないのが現状です。

もう少し食べ歩きも、しっかりやろうと思いつつ。
ソウル出張前に行った話を、掘り出してみたいと思います。
店は浅草「四季の里」。最近はだいぶ軌道に乗ったみたいです。

冒頭の写真は名物のタットリタン(鶏肉と野菜の鍋)。

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この日は人数が多かったので鍋をもう1台頼みました。
いい感じにプデチゲ(ハムやソーセージの鍋)が煮えています。

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同じく名物料理であるフライドチキンとヤンニョムチキン。
ヤンニョムチキンには辛いタレがかかっています。
1羽をハーフ&ハーフにしてもらったバージョンですね。

この日は頼みませんでしたが、この2種類に、
ペクスク(茹でた丸鶏)を加えると「四季の里」3大鶏料理。
先日、ご夫婦で食べ歩いている方と話をしたのですが、

「制覇するために3回通いました」

とおっしゃっておりました。
確かに2人だと、鶏は1羽が適量ですよね。
いろいろ食べたい人は、大勢で行くことをお勧めします。

09031304.jpg

こってりゴマ油を効かせたチャプチェ(春雨炒め)。

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ずっしりとしたボリュームのケランマリ(卵焼き)。

09031306.jpg

ケランチム(卵蒸し)はいい感じのとろけ具合でした。
ぷくーっと膨らんだケランチムもいいですが、
半熟とろーりのケランチムも、食欲をそそられます。

スプーンですくってみて大正解。
なかなかグッと来る写真になりました。

いつもバシャバシャ撮っている料理写真ですが、
何かの拍子に、いい写真が撮れたりするんですよね。
みなさんもきっとそういう写真が手持ちにあるはず。
それらを募集してまとめたら面白いだろうなとも思ったり。

「グッと来る韓食写真!自慢大会」

そんなものを主催できないかと考えていたりします。
いずれやる気になったら、ぜひご応募ください。

09031307.jpg

この日は持ち込みでワインなどもありました。
後ろでぼやけているチャミスルとの対比がいい感じ。
焼酎もワインもたっぷり飲んで幸せでした。

と、思っていたところ……。

09031308.jpg

こんなサプライズがあったり。

これまでもずいぶん祝って頂いている皆様ですが、
ケーキを用意して頂き、改めて結婚祝いをしてもらいました。
一応、嫁の名前だけは消しておきますね。

ていうか、そのときも思いましたが、嫁の名前が先ですか。

「当たり前じゃん。八田氏はオマケ!」
「あたしたちには○○ちゃんのほうが大事だから!」
「名前があるだけでも感謝しなさい!」

というありがたいお言葉もあったり。
最近、思うのですが、僕の友人だったヌナたちが、
むしろ嫁のほうと仲良く遊んでおります。
それも特定のお仲間ではなく、けっこうあちらこちらで。

仲良くして頂くのは本当にありがたいことなのですが、
いつの間にか、僕抜きで遊んでいることも多々。

「女子飲み」

などという理由で弾かれることも多いので、
その裏で寂しく、ひとり飲みをしていたりもします。
そろそろ立場が完全に逆転しているようなので、
いずれ頭を下げて、飲み会に混ぜてもらおうと思います。

ともあれこの日、お祝いをして頂いた皆様には大感謝。
料理もたくさん食べて、楽しい1日でした。

店名:四季の里
住所:東京都台東区花川戸1-2-7コーポ早川1階
電話:03-3842-9229
営業:11:30~23:30
定休:なし

<過去の関連日記>
(07月18日)浅草「四季の里」がオープン。
(07月19日)浅草「四季の里」で懐かしい料理の数々。
(07月25日)浅草「四季の里」でひとりキムチチゲ。
(10月31日)浅草「四季の里」で誕生日パーティ。
(11月12日)浅草「四季の里」でまかないソゴギクク。
2009.03.13.Fri 20:37 | 韓食日記 | trackback(0) | comment(5)
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情報としてはちょっと遅くなりました。
2009年1月発売。あんそらさんの新刊です。
あんそらさんとは古くからのお友達で、
かつては一緒にブラックデーオフ会を楽しんだことも。

大阪在住なので、昨年は大阪出張の際に、
取材にご協力頂いたり、遊んで頂いたりしました。

あんそらさんはこれまでにも……。

韓国へ行きたい!
http://www.amazon.co.jp/dp/4895779505/
イラスト徹底ガイドらくらくソウルの旅
http://www.amazon.co.jp/dp/4780401291/

といった本を書かれており、
また韓国だけでなく、

台湾へ行きたい!
http://www.amazon.co.jp/dp/4780404649/

という著書があります。
いずれも楽しく元気なイラストが満載のガイド本。
今回は食に特化して、ソウルの飲食店を取材なさっています。

いずれもあんそらさんが食べ歩いて美味しかった店。
定番韓国料理あり、マイナー系の料理あり、カフェもあり。
店の数でいうと、50数軒という感じでしょうか。
オールカラー、各店舗写真もたっぷり載っています。

先日のソウル取材にもこの本を持っていき、
合間のプライベートタイムに早速、利用してみました。

09031202.jpg

いちばん先頭に載っていた仁寺洞の「釜山食堂」。
生スケトウダラを丸ごと1尾入れたセンテチゲ(タラ鍋)です。

さりげなく写真、左上にスケトウダラの目玉が見えており、
左下には尾っぽが飛び出ているのがわかりますか?
鍋のへりに沿う感じで、身体を「つ」の字に曲げた状態。

胴体部分に2度ほど包丁が入っておりますが、
完全には切れておらず、丸ごとの形をほぼ保っています。
ほかにダシ用のワタリガニが入り、セリをたっぷり。
ニンニクをがっつり効かせているのも大きな特徴です。

食堂などでトンテチゲ(冷凍スケトウダラの鍋)はよく見ますが、
センテチゲ(生スケトウダラの鍋)を出す店は珍しいですね。
足を運んだ日は、週末だったこともあって大混雑でした。

唯一の失態は、店にこの本を持参できなかったこと。

取材終わりの流れで行ったため、宿に置きっぱなし。
店の人にも本を見て日本から来たと言ってはみたのですが、
忙しい時間だったこともあり、うまく伝えられませんでした。
実際に本を持って行くと、店の人も喜んでくれるんですよね。
せっかく本を見て行ったのに、惜しいことをしました。

なお、本のデータはこんな感じ。

書名:『ソウルで食べたい!』
著者:あんそら
版元:メイツ出版
価格:1680円(税込)

アマゾン
http://www.amazon.co.jp/dp/4780405335/
楽天
http://item.rakuten.co.jp/book/5964990/

とネット書店へのリンクを貼ってみましたが、
今日現在の段階で、もう売り切れているじゃないですか。

大手書店のサイトには在庫ありと出ているので、
お急ぎの方は、書店を回るほうが確実かもしれません。
興味のある方は、ぜひお求めください。
2009.03.12.Thu 23:05 | 韓食日記 | trackback(0) | comment(5)
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知人から情報を頂き、遅まきながら購入。
小山薫堂さんナビゲートの巻頭特集で

「ソウル二泊三日。驚愕の美味へ!」

というページが組まれています。
前号でもスンドゥブチゲ(柔らかい豆腐のチゲ)を特集していましたし、
最近の『dancyu』は少し韓国に力を入れているのでしょうか。

ちなみに店のチョイスは恵比寿「虎の穴」の辛永虎さんが担当。
飲食店6軒、スパ1軒が紹介されております。

たまたま知っている名前の店もありましたが、
あまり知られていない店のほうが多い印象ですね。
さすがは『dancyu』、と思いましたが……。

すぐに大きな事実を発見。

飲食店6軒のうち、4軒の住所が京畿道です。
なんでもテーマのひとつが「脱都心」とのこと。
もうこんな企画が出てくるようになったんですねぇ。

確かにソウル中心部の飲食店情報はほぼ制覇された状態。
隠れたいい店を見つける、というのはなかなかに至難の業です。
ソウルを離れて地方へ、という選択肢もありますが、
そうなると、今度は郷土料理ばかりになってきますもんね。

一山、盆唐などソウル郊外でも交通の便がよいところは、
新興住宅地として開発され、いい店もずいぶんあります。
そういう場所の情報ももっと紹介されていいな、と思っていましたが、
すでに『dancyu』が取り上げるような時代になっていましたか。
いやはや韓国業界の流れは本当に速い、速い。

あと今後は、ソウルの外側地域も面白いかなと思ったり。
ガイドブックで見かける店のほとんどが、中心地に固まっており、
ソウルの外側は、区の名前を聞いてもまるで知らなかったり。
散歩の達人的な視点で、街歩きができたら楽しいですよね。

活況に沸く明洞を横目に、ソウルの端っこをコツコツ探検。
そんな楽しさも今後追求していきたいと思います。
京畿道の情報収集もマメに行う必要がありそうですね。
2009.03.11.Wed 18:36 | 韓食日記 | trackback(0) | comment(3)
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昨年の2月下旬に「北区オフ会」というのを開催しました。
そのとき、2次会でと計画しつつ、1軒目の店があまりに反応よく、
満場一致で断念した、という曰く付きの料理がありました。

それが北区名物の「からし焼き」。

豚肉と豆腐を唐辛子とともに煮込んだ料理。
唐辛子だけでなく、ニンニクもどっさり入って刺激的です。
ちょっとスンドゥブチゲ(柔らかい豆腐の鍋)風でもありますね。
十条近辺の居酒屋ではよく見るメニューだそうです。

まだ裏取りができていないのですが、
在日コリアンの料理にルーツがあるという話も。
ネットにも情報が見当たらないので、もう少し調べたいと思いますが、
今回食べてみて、ひとつの記憶が蘇ってきました。

この料理、2005年に歌舞伎町で食べたことがありますね。
ブログ「韓食日記」の前身である、HP時代の「韓食日記」。

韓食日記(コリアうめーや!!)
http://www.koparis.com/~hatta/nikki.htm

その「8月29日(月)」の項目に以下のような一文があります。

=========================
歌舞伎町で友人の誕生日。
ミヨッククや、オリジナルメニューのからし焼きなどを食べました。
=========================

残念なことに、元画像が行方不明なのですが、
サムネイルのように載っている写真も確かにからし焼き。
千切りキュウリとネギが乗っているのも同じですね。

当時はその存在を知りませんでしたから、
オリジナルメニューなどと書いてしまっています。
店の人からも、

「これはウチのオリジナル!」

なんて言われた記憶もおぼろげにありますが、
元祖論争に発展するような話ではたぶんないのでしょう。
探せばもっと北区以外のいろいろな地域にひっそりあるのかも。
いずれ機会があったら、ゆっくり調べてみたいですね。

ちなみにこの日は「ダメ人間になるまで飲む」、
という趣旨の飲み会で、有志が集まっておりました。
このからし焼きを皮切りに、全部で4軒ハシゴを楽しんだ次第。
今日は1日、身体がアルコール漬けになった感覚でした。

それはそれは楽しかったんですけどね。

ともかくも長年の宿題がひとつ解決して何より。
いずれまた足を運び、今度はライスとともに食べたいと思います。
たぶんこの料理、酒の肴としてよりも白飯に合います。

そしてもうひとつ。

板橋区オフ会、北区オフ会から1年が経過しましたが、
その当時掲げた、23区オフ会もそろそろ再開せねばですね。
在住の荒川区や台東区、葛飾区あたりをいま狙っています。
仕事の状況と折り合いをつけつつ、気持ちが熱いうちになんとか。
アホな企画ではありますが、興味のある方はぜひご参加ください。

09031002.jpg

※追記:元画像発見しました!

こちらのほうがスープが多く、唐辛子の発色もいいですね。
フラッシュを使って撮影しているのも影響しているのでしょうが、
唐辛子の質や、調理法なども関係しているように思います。
ともかくも、過去の記憶が現代の体験とうまくつながりました。
2009.03.10.Tue 23:52 | 韓食日記 | trackback(2) | comment(8)
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昨日、頑張って料理を作った反動。
ということでもないのですが、今日の昼食はカップラーメンでした。
自宅から徒歩2分のところにある韓国スーパーで購入。
やはり三河島という立地は、韓国好きにとって非常に便利です。

ちなみに3個購入しましたが、夫婦2人で3個食べたのではなく、
左にあるチャパゲッティを保存用にし、残りの2種類を食べました。

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一緒に購入した燻製たまご。
韓国のコンビニでよく見かけるよね、といいつつ……。

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中をあけてみると、塩の袋に韓国語!?

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よく見るとメーカーはサムソン火災でした。
火災保険の会社が、燻製たまごも作っているんですね。
妙な因果関係をつい想像してしまったりもします。

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もらった割り箸ももちろん韓国モノ。
ハングルで、

「ラーメンは農心が美味しいです」

と書かれています。
こういう小物ひとつひとつが泣かせますね。

09030806.jpg

ふと見れば、こんな大ネタも。

「賞味期限 ¥1600」

賞味期限が1600円という時点でネタ確定ですが、
値段そのものもゼロがひとつ多いという大問題。
お会計は普通に160円でしたけどね。
このあたりのゆるさも、本国に通じる何かがあります。

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燻製たまごをかじりつつ、ラーメンをすする午後。
その後、ほんの少し机に向かって仕事をして、
夕方からは飲みに出かけます。つまりこれから。

たぶん今夜中にブログの更新はできないなと読んで、
事前に更新しておくことにしました。

それでは、行ってまいります!
2009.03.08.Sun 16:28 | 韓食日記 | trackback(0) | comment(4)
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忙しい2月が過ぎ、少し余裕が出てきました。
ゆっくり夕食を作って食べるヒマもなかったですからね。
久しぶりに、時間をかけて料理を作ってみました。

メインの料理は右下にあるポソットゥルケタン。
キノコを具にし、エゴマの粉をたっぷり入れたスープです。
韓定食の1品として、たまに見かける料理ですが、
日本ではまだ、あまり存在を知られていないようです。

ヤフーとグーグルで検索をかけてみましたが、
「トゥルケタン」でのヒットは1件もありませんでした。
珍しい料理ではありますが、そこまでマイナーとは驚きです。

そのほか、この日作ったのは、

・ミニトマトとエリンギのオリーブオイル炒め、
・御徒町の某大衆酒場風湯豆腐
・縮みホウレンソウのナムル
・コドゥンオキムチチム(サバとキムチの煮物)
・タマネギとオクラととんぶりのサラダ

それと、グリルに入っていて、集合写真に乗り遅れた……。

09030702.jpg

・焼きソラマメ

これらをつまみに、ビールを飲んでテレビでWBC観戦。
気持ちよく酔っ払ったので、今日はもう眠ります。
ではでは、おやすみなさい。
2009.03.07.Sat 23:13 | 韓食日記 | trackback(0) | comment(4)
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ソウル滞在中に出会った、お店の方や、一般の方々などに、
合間合間で、パンチャンの再利用問題について聞いてみました。
昨年末に、客の残したパンチャン(副菜)を使いまわし、
他の客に出している飲食店が、大多数だったと問題になった件。

昨年は韓国でも食の衛生、安全が問われた年だっただけに、
大きな話題となり、ニュースでも大きく取り上げられました。
それから数ヶ月。どんなものかと思ったのですが……。

いつの間にやら、沈静化しているんですかね。

本質的な問題は解決しないまま、熱は冷めている気がしました。
特に印象的だったのはタクシーの運転手さんによる、

「韓国人は料理がたくさん並ぶのが好きだからね」
「使いまわしたって言っても、口に入れたものじゃない」
「別に汚いものじゃないから大丈夫さ」

というセリフ。
飲食店関係者がいうならまだしも(それはそれで大問題ですが)、
一般消費者の立場で、この意見が出るのは驚きです。

でも、確かに韓国人の本音が混じっているかなとも。

韓国人も使いまわしをよしとしている訳ではないでしょうが、
かといって、パンチャンの量が減るのは好みません。
パンチャンを使いまわさないで店側が利益を守るとすると、

・量を減らす
・値段を上げる

の二択しかないでしょうから、客としては不満です。
これを解決するには、韓国人全員が食事への意識を改革し、
食べ切るぶんしか要求しない、また店も出さない覚悟が必要となります。
ただこれは、韓国人が長年培った食の基本精神と矛盾するんですね。

「客が食べきれないほどの量を出すのが美徳」

という国ですから。
気持ちの問題でもあり、改革は容易ではないでしょう。

パンチャンをたくさん出す
 ↓
食べきれないので、残り物が出る
 ↓
店側はもったいないので使いまわす
 ↓
仮に使いまわさなくても生ゴミが増える
 ↓
もったいない!

というところまで韓国人は頭で理解しつつ、
でも、やっぱり食事のときは、料理をずらりと並べたい。
と矛盾した気持ちを抱えているのでしょう。

結果的に、報道が大きく出たときは大いに怒ったものの、
少し時間が経ち、まあいいやになってしまったのかなとも。
根本的な解決がしにくい、大きな問題です。

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そんな中で見つけたいくつかの試み。
初めて訪れた店ので、以前からのシステムかもしれませんが、
パンチャンの再利用問題を受けているものと推測しました。

ハングルで書かれているのは、

「パンチャンのおかわりはセルフです。残さないようにしましょう」

冒頭の写真が、そのパンチャンを置く台。
最初に少しずつ出しておいて、追加は客に任せる。
食べたい人は、食べるだけを自分で取るというシステムです。

09030603.jpg

もうひとつ別の店。
大きな器に入ったキムチと、取り皿が運ばれてきました。
これも自分の食べるだけを取ってください、という意味でしょう。
同じく、店の壁には「残さないようにしましょう」との貼り紙が。

余談ですけど、店の壁にはずいぶん貼り紙が増えましたね。

店のメニューに原産地表記が義務付けられたため、
「米:国産、キムチ:国産」などの貼り紙がずいぶん目立ちます。
しっかり貼り紙をする店や、既存のメニューにマジックで書き足す店など、
店ごとの対応も、雰囲気をよく表しているようで面白かったり。

セルフでのおかわりも、キムチを壷で運んでくるのも、
前々からある手法ですが、確実に増えている気はします。
使いまわしをせず、たっぷり感を出すにはいい方法なのでしょうね。
また、こうした対策を明確にすることで、ウチの店は使いまわしをしていない、
と暗にアピールをする役割も担っているようです。

韓国人にとっては、気持ちに矛盾する頭の痛い問題でしょうが、
いまや韓国料理は韓国人だけのものではないですからね。
ウォン安時代に、大勢の観光客が訪れていることも含め、
このまま沈静化させず、問題意識を高く持って欲しいものです。
2009.03.06.Fri 16:15 | 韓食日記 | trackback(0) | comment(5)
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昨年から韓国の牛肉事情に着目しています。
きっかけとなったのは米国産牛の輸入問題にかかわるデモ。
もっとも加熱した時期には暴動騒ぎにも発展しており、
連日、新聞紙面を賑やかしておりました。

僕もちょうどその時期、ソウル取材に出かけており、
デモ隊に遭遇して、「キミらは記者か?」などと聞かれたり。
翌日の報道で、韓国人記者がデモ隊に殴られており、
対応を間違えていたら危なかったかも、という体験もしました。

そのへんの話は、メルマガにも書いています。

コリアうめーや!!第179号
http://www.melonpan.net/letter/backnumber_all.php?back_rid=584450

そのメルマガでは、輸入牛への不安から、
国産牛、特に「韓牛」人気が上がっているとも書きました。
日本でいう和牛に相当する、ブランド牛です。
また人気上昇、需要拡大の一方で、価格高騰にも驚きました。

もともと韓国の牛肉って、ずいぶん高いですけどね。
高級店に行けば、日本よりも値段が高かったりします。
また霜降りよりも、赤身のほうが好まれているため、
日本人が、

「本場の焼肉!」

と入れ込んで行ったものの、
さして感動せずに帰ってきた、という話も多く聞きました。

「韓国で焼肉を食べるなら豚!」

というキーワードがリピーターや在住者を中心に、
ほんの数年前まで熱く語られていたのはそんな理由からです。
今では韓国の豚焼肉もずいぶん有名になりましたけどね。

そういった状況を頭に入れつつ、今回も韓国に行ったのですが、
「韓牛」人気の流れは、さらに拡大しているように感じました。
値段が高いので、ブームというほどのインパクトはありませんが、
確かに食文化の一角で、着実に進化を続けている印象です。

理由はいくつかあるのですが、まず情報の細分化。

以前は「韓牛使用」というだけで充分自慢でしたが、
今回の取材では、

・○○産の韓牛を使用
・韓牛の「1++、1+」等級のみを使用
・韓牛を1頭買いして使用

というセリフを何度となく聞かされました。
それも焼肉店だけでなく、牛肉以外の料理がメインの店でも。
日本でも「A5」ランクの牛肉などと表現しますが、
韓国ではそれが「1++」と表現されます。

読み方は1等級の「ツープラス」。
韓国語的に書けば、「トゥ プルロス」。
略されて「トゥプル」ともいうようです。
「1+」の場合は「ワォンプル」ですね。

ただ、これも情報が出てくるとやはり反動があるようで、

「100頭のうち1、2頭しかいない1++の韓牛!」

というのがなぜかゴロゴロ出回っている様子。
取材した店では、こちらが問うまでもなく証明書を出され、
うちのは本物だと、強く力説されました。

また、冒頭の写真もちょっとしたポイントがあり、
ハングルで「1等級韓牛のみ使用」と書かれています。
1等級と聞くと、最高級のように聞こえますが、
実際には上で書いたように「1++」と「1+」があるので、
2等級、3等級との間に挟まる、中間的な品質となります。
このあたりは消費者が賢くならねば、というのもありますね。

日本ではすでに施行されている牛肉の履歴表示制度も、
韓国では段階的に少しずつ、実施しているところだそうです。
今回取材させてもらった店の方からも、

「まだ不十分だが、できるだけ履歴のたどれる韓牛を仕入れている」

との話がありました。
米国産牛肉の輸入問題を機に、安全への取り組みが、
少しずつ進んでいるのはおおいに歓迎すべきことです。

こうした流れは、より牛肉価格の高騰を生みそうですが、
一方で、リーズナブル系牛焼肉店が注目を集めているも面白い点。
高級部位だけでなく、希少部位などで品数を充実させる店や、
精肉店が牛焼肉店を兼ねて人気を集めるケースも増えています。

今回の取材では「霜降り」にこだわる、という店にも出会えましたし、
韓国の牛焼肉事情は、今後だいぶ情報を入れ替える必要がありそうです。

「韓国焼肉における牛肉回帰」

旅行客にとっても面白いキーワードになる予感。
今後も引き続き、注目していきたいところです。


※追記
当初「A++」などと書いてしまいましたが、
「1++」の誤りです。お詫び、訂正させて頂きます。
2009.03.05.Thu 18:22 | 考察 | trackback(0) | comment(2)
09030401.jpg

コリアうめーや!!第192号

<ごあいさつ>
3月になりました。
いよいよ春の訪れが間近です。
2月下旬のソウルに出かけてきましたが、
思いのほか暖かくて驚きました。
いっぱい着込んで仁川空港に降り立ったものの、
結局、すぐに1枚脱いで行動することに。
耳がちぎれるほどの寒さを覚悟していましたが、
日中はあたふた動くと汗ばむぐらいでした。
一転、帰国後の我が家は相変わらず寒いですけどね。
暖かい春はもうすぐと信じ、もう少し耐えようと思います。
さて、そんな帰国直後のテーマですが、
取材を通して感じたことを書きたいと思います。
これまでも何度か取材の裏話は書きましたが、
今回はちょっと意外な展開がありました。
コリアうめーや!!第192号。
新たな足音を聞く、スタートです。


<ウォン安バブルの韓国で取材の苦悩!!>

さて、困った。
僕はいま大変に苦悩している。

タイトルがすでに「取材の苦悩」なので、
ああ、その話なんだな、とみんなは想像するだろう。
確かに今回の取材はいつもより大変だった。

だが違う。

すでに終わった苦悩ではなく、
まさに現在進行形の苦悩が別にあるのだ。
ある程度、予想されたことだが……。

……胴回りの増量が著しい。

5泊6日の飲食店取材ですっかり身体が肥え、
出国前から比べて、体重が大幅に増加してしまった。

ベルトをすれば、ギチギチの締め付け具合に驚くし、
立っているときはまだしも、座るとベルトそのものが弾けそう。
急激に脂肪が増えたせいで、腹の皮が突っ張る感さえある。

いかん、いかん、いかん。

韓国に行って太るのはこれまでもあったが、
今回は明らかに食べすぎに、食べすぎを重ねた。
酒はほとんど飲まなかったので暴飲暴食ではないが、

暴食、過食、激食、爆食、猛食、乱食、狂食……。

その限りを尽くした気がする。
満腹の状態でも、とにかくなお食べ続け、
いまも胃袋が肥大気味になっている。

このメルマガを書きながらも、
ついつい柿の種を2袋食べてしまった。

週明けからは取材内容をまとめる作業に入る。
原稿と格闘しながら、減量にも取り組まねばならない。
しばらくは自分に厳しく生活していくとしよう。

と、個人的な前置きを踏まえつつ。

09030402.jpg
飲食店取材の合間に食べた取材とは無関係のカルグクス。

09030403.jpg
飲食店取材の合間に食べた取材とは無関係の焼き魚定食。

09030404.jpg
飲食店取材の合間に食べた取材とは無関係のコムタン。

今回の取材。

飲食店ばかりを巡ったおかげで多くの発見があった。
その大半は仕事絡みなので、まだ公開することはできないが、
本筋とは関係ない部分で、裏話を披露してみたいと思う。

これまでもこのメルマガでは取材裏話を書いている。
第167号ではソウル他の取材、第176号では全州取材。
そこから当時の感想を少し抜粋してみよう。

(コリアうめーや!!第167号より)
=========================
むしろ取材を進めていく中で驚きを感じたのは、
意外にも、きちんとした韓国の姿であった。

なにしろすべての取材が驚くほどスムーズ。

取材交渉は現地のコーディネート会社が行ったのだが、
アポイントから何から、すべてきちんと話が通っている。
=========================

(コリアうめーや!!第176号より)
=========================
今年4月に出かけた全州取材も順調だった。

指定された時間に、きちんと担当者が待っている。
取材にも慣れており、どこも協力的であった。
=========================

いずれも対応のよさに驚いている。
しばらく前までは、アポイントの不備やドタキャン、
突然のスケジュール変更などが多かったためだ。

日本をはじめとする海外メディアからの取材が増え、
対応に慣れてきた、というのが大きいのだろう。
おかげで取材もしやすく、本当にありがたかった。

だが今回。

その感想が同じようにはいかなかった。
予想外の出来事があまりにもたくさん重なった。
いまの韓国がどのような状況にあるのか。

取材しての感想から分析してみたいと思う……。

と書いてみたが、ちょっと仰々しいな。
帰国後の興奮から「分析」などと知的な単語を使ったが、
せいぜい「考察」ぐらいの内容かもしれない。

僕の予想は食の流行でも当たらないことが多いので、
「戯言」程度に受け止めてもらってもよいだろう。

09030405.jpg
寒かった昨年1月のソウル取材。レートの関係で懐も激寒。
09030406.jpg
暖かだった昨年4月の全州取材。線路奥でレンギョウが咲いている。

さて、ゴホン。

今回、驚いたのが取材拒否店の多さである。
これまでも観光客があまり行かない店などは、
取材を申し込んでも断られることが少なからずあった。

「国内メディアも含めて取材はすべて断っている」
「忙しい時期なので、取材への対応ができない」
「いまでも充分繁盛しているので広報の必要はない」
「リニューアルを予定しているので、その後にして欲しい」

店ごとに理由はさまざまだが、断られるのは仕方ない。
取材を希望する側としてはもちろん残念なことだが、
店の考えや事情を差し置いてまで、無理強いはできない。

だが、基本的には断られることのほうが少数で、
たいていは快く受けてもらうことが多かった。

それが1年でガラッと変わってしまった。

それもなぜここが、というような有名店で断られる。
たいていの取材では、有名店と穴場店を混ぜて組み立てるため、
多くの場合、穴場店のほうで断られることが多い。

有名店というのは過去に取材を受けているから有名店。
取材も日常茶飯事であり、断られることはまずない。
そんな店から断られるというのが不思議だったが、
実際にソウルへ行ってみて、その理由がよくわかった。

あまりにも日本メディアの取材が多いのだ。

今回行った店は20軒前後だったが、
その中ですら、あちこちで取材が重なった。

<事例1>
15時のアポイントでA店に行くと、
同時間に別の取材陣もアポイントを取っていて来店。
店側は日本からの取材ということで同じ話だと思っており、
ふたつの取材陣がバッティングしてしまった。

<事例2>
18時のアポイントでB店に行くと、
すでに14時に来たではないか、と担当者に驚かれる。
話を聞いてみると、別の日本メディアと判明。

<事例3>
C店を訪問する前に確認の電話を入れると、
取材の話は聞いていないと断られる。
アポイントを担当した現地の会社に確認をしてもらったところ、
別の日本メディアが前々日に取材で来て、そちらと勘違いされていた。
店側としては取材依頼に対し、きちんと対応したつもりだったが、
そのために、我々の取材をアポなしと誤解してしまった。

<事例4>
D店にアポイントを入れようとすると、
すでに連絡を受けている、と店側から言われる。
確認してみると、まったく別の日本メディアと誤解されていた。

僕らが回った店だけでこの状態なので、
おそらくソウル中で似たようなことが起こっているだろう。
いまのソウルはちょっとした混乱状態なのだ。

こうした状況が生まれたのはウォン安の影響が大きい。

昨年から続く、ウォン安の影響で観光客が急増。
それに伴い、新聞、雑誌、ネット媒体などに需要が生まれ、
それぞれが韓国特集を組んで取材に訪れている。

その多くは韓国旅行を専門に扱う媒体ではないため、
どうしてもその立ち位置がビギナー寄りに偏る。
結果、一部の有名店に取材が集中しているのだ。

そしてまたメディアに登場したことによって、
読んだ観光客も、その店に殺到することになる。
本来なら商売繁盛でよいことにも思えるが、
店のキャパシティを超える事態にも発展しているようだ。

「取材はありがたいが増えすぎて今は困る」

そんな理由から取材を断る店が増えているのだろう。

09030407.jpg
仁寺洞の町にも大勢の観光客が訪れていた。
09030408.jpg
混雑する仁寺洞キル入口の観光案内所。

それを踏まえて。
僕はいまひとつの確信を得ている。

過去から続く日韓関係の時系列において、
いまのこの時期は、ひとつの時代を作るだろうということ。
将来、この2000年代を振り返ったときに、

・2008~9年のウォン安ブーム

は時代を区切るひとつのキーワードになるはずだ。
僕らが日韓関係を語る際によく用いる、

「韓流の前と後では……」
「サッカーW杯の日韓共催を前後して……」
「IMF(アジア通貨危機)の頃……」
「ソウル五輪よりも前に……」

といったフレーズに匹敵する時代性がある。
それは現在、韓国を訪れている人たちの多くがビギナーであり、
韓国という国と、いままさに出会っているからだ。

その証拠に、いまの韓国では繁華街の明洞が大混雑。

僕も足を踏み入れてみたが、過去にないほど日本人が多い。
みな地図を片手に、メインストリートを歩いており、
リピーターの旅行とは、また違った姿がそこにはあった。

これまで韓国人気を支えたの韓流世代ではなく、
またそれ以前から、韓国にハマった人たちでもなく。
ウォン安効果で新たな世代が韓国を訪れている。

それは、

「ソウルの景色が変わった」

と思えるぐらいの衝撃であった。

ここ数年、韓流以前、以後という区分があったように、
今後は、ウォン安以前、以後という区分が生まれるだろう。
そんな予感が、明洞の町並みにはあった。

そしてこのブームからは、さらなる展開も予想される。

今回のウォン安ブームをきっかけとして韓国にハマり、
ビギナーからリピーターに変わる人は少なからずいるだろう。

それは再度、韓国を訪れるだけではない。

現地で食べた料理の感動を日本でも求めたり、
次の訪韓に向けて、雑誌やウェブで情報を収集したり。
あるいは韓国語を勉強する人もいるであろう。

ハマったときに必要とされる情報は過去と比べ、
いまや格段に研ぎ澄まされた状態で用意されている。

このことから考えるに……。

日韓関係はさらに盛り上がる要素がある。
そして……。

「僕の仕事ももう少しあるかもしれない」
「韓流以降、いつ仕事がなくなるかヒヤヒヤしてたけど」
「もうあと1~2年くらいは大丈夫かもしれないな」
「いやあ、ラッキー、ラッキー」

という皮算用も成り立つ。

本当に仕事が続くかどうかは、もちろん不確定だが、
その光明は見えたという意味でも有意義な取材だった。
09030409.jpg
徳寿宮前の兵士と記念撮影する人も多数。
09030410.jpg
入口付近では観光用のバスがたくさん待機していた。

さて、きちんと理論立てて書いた割には、
身勝手な結論になったので、エピソードを追加。
取材をしつつ印象的な出来事があったので、
それを書いて、締めくくりとしよう。

取材先は書かないが、超のつく高級有名店。
そこで今回、僕がひとつ大きなミスを犯した。

それはアポイントを入れる前段階での失敗。

きちんと約束の時間に僕らは到着したのだが、
担当者が出てくると、その話が通っていなかった。
アポなしで押しかけた、迷惑な取材陣と誤解されかけたが、
こちらの事情をしっかり伝え確認してもらう。

取材の話が現場に通っていないことはままある話。
先方が確認している間、僕らはしばし別室で待たされ、

「有名店なのに対応がなっていないな」

と多少不愉快に思っていた。

だが、なっていないのはこちらのほうだった。
もろもろ確認をした結果、僕は連絡をしたと思っていたが、
実は連絡先を間違えており、支店に連絡が行っていた。

取材許可を出したのは支店で、訪れたのは本店。
それではアポイントが通っているはずがない。
僕は真っ青になったが、逆に店の人の対応は素早かった。

「○○店と連絡が取れ、アポイントが確認されました」
「いまから移動はできないでしょうから当店で引き継ぎます」
「準備をさせて頂きますので、別室にどうぞ」

来店客の邪魔にならない個室に通されるとともに、
店の責任者が出てきて、取材の便宜を図ってくれた。
アポイントが確認されるまでのタイムロスを含めても、
充分過ぎるほどスムーズに予定の取材を終了した。

その対応はさすが高級店といえるものだった。

あまりの凡ミスだけに僕はおおいに反省するとともに、
この高級店に対し、深く感謝をしなければならない。
自腹ではちょっと行きにくいぐらいの高級店だが、
いつか収入が増えたら、必ず客として行きたいと思う。

その店の料理とサービスを真の意味で再度味わい、
その感動もまた、恩返しの意味でしっかりと伝えるのだ。

いつかその日が来るまで。

ウォン安ブームの恩恵などと浮かれずに、
自分の仕事を一生懸命、全うしたいと思う。

09030411.jpg
今回のベストショット。明洞で屋台の撮影をしていたところ、
観光客らしきお姉さんがピースサインで応えてくれた。
隣では韓国人カップルが串ソーセージを「あーん」している。


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落ち着いたら、まとめて更新したいと思います。
http://www.koparis.com/~hatta/

<八田氏の独り言>
韓国好きの世界に1年生がやってきた。
そんな想像をしてしまう春だったりします。

コリアうめーや!!第192号
2009年3月1日
発行人 八田 靖史
hachimax@hotmail.com
2009.03.04.Wed 18:24 | 韓食日記 | trackback(0) | comment(2)
09030301.jpg

コリアうめーや!!第191号

<ごあいさつ>
2月15日になりました。
僕の住む東京はここ数日妙に暖かく、
ポカポカとした春の陽射しです。
すでに花粉が舞い散り始めたとの情報もあり、
嬉しくもあり、悲しくもありという感じ。
寒さが和らぐのは本当に嬉しいんですけどね。
また涙と鼻水の季節がやってきます。
月末にまたソウル出張に出かける予定ですが、
そのまま初夏まで住み着きたいぐらい。
かゆい目、鼻づまりと戦うのはこりごりです。
さて、そんな愚痴めいたことをつぶやきながら、
今号のメルマガではちょっとした珍料理を大紹介。
昨年末の韓国取材で仕入れてきた話を、
料理の由来とともにまとめてみます。
コリアうめーや!!第191号。
頭を柔らかくしつつ、スタートです。

<慶州で発見、冷温逆転の麺料理!!>

例えて曰く……。
と書いたところで筆が止まった。

何に例えるべきか思い浮かばなかったのだ。
あるものを別の何かに例えるという表現は、
文章を容易にする反面、その内容が問われる。

極端でも、ひとりよがりでも、マニアックでもダメ。
かといって、あまりにステレオタイプでもダメという、
表現者の技量が問われる部分なのだ。

という言い訳のような前提の上で。

僕が悩んでいるのは、温度を逆転させた料理。
料理の世界には温かい料理を冷たくしてみたり、
あるいはその反対だったりという工夫がある。

料理や食材の意外な一面を引き出せるし、
季節感を裏返しに楽しめるメリットもある。

例えば、冷やしラーメン。

温かいスープで食べるべきラーメンをあえて冷やし、
清涼感を演出するとともに夏向けの装いに変える。

真夏でもラーメンを食べたいが、つけ麺の気分ではなく、
また冷やし中華を食べたい訳でもない。
そんな欲求から生まれた温冷逆転料理である。

あるいは、にゅうめん。

夏の風物詩でもある素麺をあえてダシ汁に浸し、
温かく、消化にもよい麺料理として別の魅力を引き出す。
軽めのボリュームなので夜食にもちょうどいい。
これまた理想的な冷温逆転料理である。

これを踏まえて。

僕が悩んでいるのは「冷→温」で逆転し、
かつ、にゅうめんよりも意外性があるものという存在。
素麺は夏場に冷たくして食べることが多いものの、
温かいにゅうめんもそこまで珍しい料理ではない。

「え、それを温めて食べるの!?」

という反応が理想的。
にゅうめんではちょっと弱いのだ。
ちなみに逆の例だとこんなものが挙げられる。

・冷やしオデン
・冷やしカレー
・冷やしカツ丼
・冷やしタンタンメン
・冷やしタイ焼き

いずれもネットで検索すると出てくる。
冷やしたぬきそばや、冷製パスタにはない意外性が、
これらの料理には詰まっていると思う。

だが、逆はなかなか思い浮かばなかった。

・温やっこ
 →湯豆腐など温かい食べ方も一般的
・温野菜のサラダ
 →世に広く知れ渡り過ぎている
・トマトのオデン
 →意外性はあるが、トマト自体は煮込みにも使う
・アイスクリームの天ぷら
 →温かいのは外側だけでアイスに影響しない
・焼きリンゴ
 →アップルパイなど温かい料理も豊富

ということでいずれも脳内ボツになった。
唯一、最後に残った候補が……。

・ホットビール

だったのだが、その驚きは伝わるだろうか。
ともかくもそういう冷温逆転料理を韓国で発見してきた。
そういう話がしたいのだ。

09030303.jpg
江原道江陵市の草堂豆腐。写真右の豆腐は温めてあり、温やっこ風。

発見場所は古都として名を馳せる慶州。

かつて新羅の王都として栄えた町で、
街中に古墳や寺などがわんさかと存在する。
世界遺産にも指定される、韓国有数の観光地だ。

旅行シーズンには国内外から多くの人が訪れるが、
ひとつ悩ましいのが、食にまつわる問題であった。

「慶州は素晴らしい観光地だが食の魅力に欠ける」

とは以前から指摘されてきた問題点である。

もともと慶州の属する慶尚道エリアの料理は、
粉唐辛子を多用する、辛く、濃い味付け特徴。
隣の全羅道に比べると、韓国内での評価も低い。

ただじっくり探索していくと、個性的な郷土料理もあり、
印象だけで低く評価するのもよくないとも思う。

今回、慶州で発掘してきたのもB級料理ではあるが、
他地域では見かけない個性が発揮されていた。

第187号のメルマガでもちらっと書いたが、
慶州の食は、もう少しきちんと調査をすれば光ると思う。
うまく行けばますます魅力的な観光地になるはずだ。

ちなみにこれまで広く知られた慶州名物といえばこんな感じ。

・皇南パン(アンコ入りの饅頭)
・校洞法酒(もち米を原料とした醸造酒)
・サムパプ(ごはんの葉野菜包み)
・ヘジャンクク(蕎麦粉のムク※と豆モヤシのスープ)
・メットルスンドゥブ(石臼で豆をひいた柔らかい豆腐の鍋)
・ソンカルグクス(韓国式の手打ちうどん)

※デンプンをゼリー状に固めた料理の総称

ここに僕は、

・温チョルミョン

という料理を付け加えたい。

「温」を付けたように温かいチョルミョン。
韓国語でも「オンチョルミョン」と発音する。

09030304.jpg
アンコがぎっしり詰まっている皇南パン。
09030305.jpg
校洞法酒は蔵元でしか買えない幻の酒。
09030306.jpg
大豆を石臼でひいて作るメットルスンドゥブ。

チョルミョンはもともと冷たい麺料理で、
サンチュなどの生野菜とともにサラダ感覚で食べる。
味わいは酸味と甘味を利かせたピリ辛味。
場合によっては、韓国版冷やし中華などとも称される。

料理でなく、麺そのものもチョルミョンと表現し、
単語の意味としては「しこしこした歯触りの麺」となる。
誕生したのは、今年僕がイチオシにしている仁川で、
ある製麺所が冷麺作りに失敗したところから生まれた。

舞台となったのは1970年代の仁川市中区。
京洞に位置する「クァンシン製麺」という工場で、
冷麺の太さを決める、穴の口径を間違えたのが原因だった。

「なんだか太い冷麺が出来てしまったなぁ」
「捨てるのも、もったいないですよね」
「近所で食堂をやっているばあさんのところに持っていきな」
「はい、わかりました」

という経緯だったとかなんとか。
持ち込まれたのは同じく中区仁ヒョン洞に位置する、
「マンナダン」という粉食店(軽食堂)とのこと。

すでにこの店はないが、ここでチョルミョンと名付けられ、
それが少しずつ仁川市内で広まり話題となった。

全国区の料理に発展したのは、東仁川駅前の新浦市場。
「シンポウリマンドゥ」というチェーンの粉食店がメニューに取り入れ、
店が全国展開する過程で、チョルミョンも広まったとされる。

いまやチョルミョンは夏場の風物詩的な存在であり、
また鍋料理などへのトッピングとして麺だけも使われる。
些細なミスをただの失敗とせず、食文化の1ページを彩る、
新たな味に仕立て上げた人たちの功績は大きい。

そしてそのチョルミョンが遠く離れた慶州でまた生まれ変わる。
それもまた痛快なエピソードではないだろうか。

09030307.jpg
東仁川駅前にある新浦市場。
09030308.jpg
新浦市場にある「シンポウリマンドゥ1号店」。

慶州でオンチョルミョンを出すのは「明洞チョルミョン」。
いろいろと調べてみたところ、特に慶州の郷土料理という訳でなく、
この店が独自に開発し、好評を得た料理とのことだ。

韓国では何かひとつ流行すると、2匹目のドジョウを求め、
次々に同業他店が増えるが、今のところその様子はない。
地元でも知っている人だけが通う店、という感じだ。
大多数の人にとっては、ただの「珍料理」に過ぎないのだろう。

店に入ってみると、メニューはチョルミョンばかり4種類。

・ムルチョルミョン(冷スープ)
・ピビムチョルミョン(辛いタレでスープなし)
・オデンチョルミョン(温スープ、オデン乗せ)
・ユブチョルミョン(温スープ、刻み油揚げ乗せ)

温かいスープは下の2種類だけだが、
さりげなく、ムルチョルミョンも珍しい。
ちなみにムルチョルミョンは忠清北道が有名なのだが、
それはまたいずれの機会に取っておくとしよう。

ピビムチョルミョンがいわゆるチョルミョンの普通型。
あえて混ぜるという意味の「ピビム」とつけるのは稀である。

オデンかユブか迷いつつ、結局ユブのほうをチョイス。

出てきたのは冷麺と同じステンレスの器で、
麺とともに、ウドン風のスープで満たされていた。
具には刻んだ油揚げと春菊、溶き卵が加えられている。
なお値段はいずれも4000ウォンであった。

スープをすすってみると穏やかな味わい。

煮干、昆布系の淡いスープで、当たり前だが温かい。
ピビムチョルミョンと同じ、甘く酸っぱいコチュジャンダレが、
ポトンと落とされており、食べる過程で混ざっていく。

麺の食感がまた独特である。

チョルミョンは強靭なコシが持ち味の麺だが、
それがスープで和らげられ、プヨプヨモチモチしている。
ウドンとも、ラーメンとも違う不思議な食感。
弾力とコシが同居しているが、微妙に相反する感じもある。

「こ、これは食べたことのない食感!」

讃岐うどんが恋人同士の同居であるとしたら、
オンチョルミョンは野郎同士のルームシェア風。
だが決して、家庭内別居ほどの距離感はない。

相思相愛の一体感ではないが、妙な団結力を感じる。

いちばん近いのは日本の焼肉店で食べる温麺だが、
冷麺よりも太いため、やはりそれとも異なる。
オンチョルミョンにしかない、独特の食感であろう。

09030309.jpg
油揚げのほか春菊も入るユブチョルミョン。
09030310.jpg
麺を温かくして食べるとまた違った食感が生まれる。

考えてみると不思議な話だ。

チョルミョンは粉食店で誕生した料理。
その粉食店は冷麺も、温かいウドンも扱うのが普通だ。

辛いタレで混ぜて食べるのが定番の麺料理とはいえ、
冷たいスープも、温かいスープもすぐ身近にある。
それを組み合わせようと考える人がなぜいなかったか。

たぶん固定観念による盲点の料理なのだろう。

「この料理、こうしたらどうかな?」

という探究心は食文化を豊かにする。
そしてそのチャンスは意外と身近に転がっているのだ。
いずれ、この店にもまた足を運んで、
どんなヒントから、思いついたのか尋ねてみたい。

仁川生まれ、慶州育ちのあったかチョルミョン。

興味のある人はぜひ試してみて欲しい。

09030311.jpg
ピビムチョルミョン。生野菜の下に麺と辛いタレが隠れている。

<お知らせ>
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<八田氏の独り言>
慶州以外のエリアでもごく稀にあるとか。
もしご存知の方がいたらぜひ教えてください。

コリアうめーや!!第191号
2009年2月15日
発行人 八田 靖史
hachimax@hotmail.com
2009.03.03.Tue 23:01 | 韓食日記 | trackback(0) | comment(3)
09030101.jpg

メルマガを書いていたら今日が終わってしまいました。
せっかくなので写真1枚だけでもなんとかアップ。
今回、非常に印象的だった、日本人だらけの明洞です。
2009.03.01.Sun 23:59 | 個人日記 | trackback(0) | comment(2)






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八田 靖史(八田氏@K・F・C)
美味しい韓国料理を探す毎日。コリアうめーや!!管理人。コリアン・フード・コラムニスト。ブログは2005年12月開設。