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韓食日記

日々食べている韓国料理の記録です。
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<1月>
池袋「西武池袋本店」で韓流美・味展2012(1日目)。
http://koriume.blog43.fc2.com/blog-entry-1350.html

今年も残すところあとわずかとなってきました。

このブログでは、特に毎年の恒例行事というものもなく、
なんとなく翌年を迎えるのですが、たまには振り返りもいいかなと。
1月~12月までの、印象的な記事を選んでみました。

まず1月は「韓流美・味展」からのスタート。

あいにく天候に恵まれず、初日から雪だったんですよねぇ。
それでも会場は熱気に包まれ、食べたり、飲んだりと楽しみました。
その後「韓流美・味展」は横浜、柏、千葉でも開催されて全4回。
ありがたいことに韓流セミナーも皆勤で出演させて頂きました。

……と話が出たところで、他会場の様子もまとめておきましょう。

横浜「そごう横浜店」で韓流美・味展2012(1日目)。
http://koriume.blog43.fc2.com/blog-entry-1386.html
柏「そごう柏店」で韓流美・味展2012(1日目)。
http://koriume.blog43.fc2.com/blog-entry-1418.html
千葉「そごう千葉店」で韓流美・味展2012(2日目)。
http://koriume.blog43.fc2.com/blog-entry-1425.html

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<2月>
ご報告。
http://koriume.blog43.fc2.com/blog-entry-1353.html

2月はやっぱりコレですね。

この小さい手はおかげさまですくすくと成長し、
ヨタヨタ歩いたり、元気に転げまわったりしています。
たくさんのお祝いコメントをありがとうございました。

東上野「四季の里」でもらったミヨッククもいい思い出です。
初見の方は、ぜひ「韓国理解度テスト」を試してください。

ミヨッククで韓国理解度テスト&お知らせ。
http://koriume.blog43.fc2.com/blog-entry-1355.html

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<3月>
講座・イベントお知らせ&お仕事報告。
http://koriume.blog43.fc2.com/blog-entry-1363.html

3月はいちばんドタバタでブログが書けなかった月でした。
全部で6本の記事がアップされていますが、

・メールマガジンの転載×2
・お知らせ記事×2
・イベント後記×1
・飲食店紹介×1

ということで、ほとんどまともに書けていませんね。
日々、見に来てくださっている方には申し訳ない限りです。

ちなみに、上のチラシは亀戸でやっている通年の講座。
韓国料理の話だけで全10回とみっちり話をさせて頂いています。
来年、あと2回あるので、最後までしっかり頑張ろうという気持ちと、
今年は本当によくしゃべったな、という2つの意味でピックアップ。

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<4月>
「みなさん、これは韓国料理ですか!?」の考察。
http://koriume.blog43.fc2.com/blog-entry-1376.html

ときおり発作的になにかを考えてブログに長文を書く、
というのは自分自身に向けた整理の意味だったりもします。

後々見ると、これが本当にいい記録になっているんですよね。
こればっかりは気持ちの熱いうちに書かないとなくなってしまうので、
忙しい最中にも、できるだけきちんと書きたいと思っています。

ちなみに今年はほかにもこんな発作的考察記事が。

「韓国のトマトは本当に果物扱いなのか」の考察。
http://koriume.blog43.fc2.com/blog-entry-1416.html
自宅用手抜きヤンニョムチキンを追い求めて。
http://koriume.blog43.fc2.com/blog-entry-1422.html
twitter「短文韓食紀行」の次を考えるなら。
http://koriume.blog43.fc2.com/blog-entry-1461.html
韓国のコロッケはなぜカレーパン風なのか?
http://koriume.blog43.fc2.com/blog-entry-1466.html
日本メーカーの韓国商品パッケージを観賞する。
http://koriume.blog43.fc2.com/blog-entry-1449.html

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<5月>
第12回「八田・本田の楽しい韓食ナラ」後記。
http://koriume.blog43.fc2.com/blog-entry-1387.html

韓国料理研究家の本田朋美さんと一緒にやってきたイベント。
残念ながら、主催元の事情でこれが最終回となりました。

このイベントを通じて、出会った人もたくさんいますし、
丸2年続いて、いい雰囲気ではあったんですけどね。
ご協力、ご参加くださった皆様に改めて感謝したいと思います。

せっかくなので歴史をずらっとまとめようと思ったのですが、
案の定、途中でだいぶ後記が抜けていました……。

第1回「八田の"楽しい韓食ナラ”」後記。
http://koriume.blog43.fc2.com/blog-entry-1127.html
第2回「八田の“楽しい韓食ナラ”」後記。
http://koriume.blog43.fc2.com/blog-entry-1132.html
第3回「八田の楽しい韓食ナラ」後記。
http://koriume.blog43.fc2.com/blog-entry-1182.html
第4回「八田の楽しい韓食ナラ」後記。
http://koriume.blog43.fc2.com/blog-entry-1219.html
第5回「八田の韓食ナラ」後記&次回お知らせ。
http://koriume.blog43.fc2.com/blog-entry-1242.html
「韓食ナラ(マッコリの会)」大盛況御礼。
http://koriume.blog43.fc2.com/blog-entry-1250.html
第7回「八田の楽しい韓食ナラ(キムパプ)」後記。
http://koriume.blog43.fc2.com/blog-entry-1298.html
(第10回)池袋「西武池袋本店」で韓流美・味展2012(2日目)。
http://koriume.blog43.fc2.com/blog-entry-1351.html
八田・本田の楽しい韓食ナラ「第2回マッコリの会」後記。
http://koriume.blog43.fc2.com/blog-entry-1359.html
第11回「八田・本田の楽しい韓食ナラ」後記。
http://koriume.blog43.fc2.com/blog-entry-1365.html

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<6月>
ピングレ「バナナミルク(バナナウユ)」大人買い。
http://koriume.blog43.fc2.com/blog-entry-1390.html

6月はドリンク関連で大騒ぎをしました。
バナナウユだけでなく、レモネードブームもこの頃からです。

今年の韓国で大流行中のドリンクを発見。
http://koriume.blog43.fc2.com/blog-entry-1398.html
韓国で飲むべき「男」のペットボトル茶。
http://koriume.blog43.fc2.com/blog-entry-1399.html
バナナウユの新商品「トフィーナッツ味」登場。
http://koriume.blog43.fc2.com/blog-entry-1400.html
関内「MACCORURI」でプレミアムマッコリ。
http://koriume.blog43.fc2.com/blog-entry-1403.html
新大久保「大使館」店頭でレモネード販売開始。
http://koriume.blog43.fc2.com/blog-entry-1404.html

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<7月>
新大久保を訪れる韓国ファンと地元との関係。
http://koriume.blog43.fc2.com/blog-entry-1412.html

新大久保の諸問題についてちょっと真剣に向き合った記事。

この頃までは、新大久保も盛況が続いていたのですが、
8月の竹島問題を機に、バブルはすっかり弾けた感があります。
今後、日韓関係を振り返るときは、2012年8月というのが、
必ず大きなターニングポイントとして出てくるでしょうね。

2013年の新大久保と、さまざまな分野での日韓関係。
ここから何ができるかがいちばん大事なところです。

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<8月>
帰国しました&直近のお知らせ一覧。
http://koriume.blog43.fc2.com/blog-entry-1424.html

そんな激動の8月に僕はなにをしていたかというと、
のんびりリゾート気分で、江原道のひとり旅に出ていました。
この写真なんか、

「早朝のビーチで泳いじゃいました!」

という極めて浮かれた1枚ですしね。

「ここから何ができるかがいちばん大事!」

なんて偉そうなことをいったそばからこの有様ですから、
いやはや、説得力がないことこの上ありません。

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<9月>
錦糸町「コリマル」でお披露目会後記。
http://koriume.blog43.fc2.com/blog-entry-1436.html

9月は愛知遠征、千葉遠征とどちらにするか悩みましたが、
やっぱり梨花酒の喜びに軍配を上げることにしました。
つい、先日も新商品と一緒に送って頂きましたが
これを飲んでいるだけで、本当に幸せな気分になります。

愛知遠征、千葉遠征はこんな感じでした。

一宮(愛知)「ポルチプサムギョプサル一宮店」で看板3種。
http://koriume.blog43.fc2.com/blog-entry-1423.html
名駅(愛知)「兄弟カルククス」でカルククス&マンドゥ。
http://koriume.blog43.fc2.com/blog-entry-1426.html
栄(愛知)「Yummy栄本店」でヤミースペシャル。
http://koriume.blog43.fc2.com/blog-entry-1427.html
千葉中央(千葉)「スラッカン」でホルモン鍋ほか。
http://koriume.blog43.fc2.com/blog-entry-1432.html
栄町(千葉)「日韓居酒屋AYA」でジョンスンタン。
http://koriume.blog43.fc2.com/blog-entry-1433.html

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<10月>
板橋区民が韓国で板橋に行ってきた話。
http://koriume.blog43.fc2.com/blog-entry-1442.html

10月もなんだか忙しい日々だったように思います。
頭の中が煮詰まっているからこそ、

「ぱんぎょ すていしょーん!」

なんて、ふざけた記事を書きたくなる訳ですね。
ちなみにこの直前の記事も……。

韓国の飲食店における看板観賞のススメ。
http://koriume.blog43.fc2.com/blog-entry-1441.html

こんな感じのお遊び記事でした。

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<11月>
旅行ツアー「江原道まんぷく4日間」後記(前編)
http://koriume.blog43.fc2.com/blog-entry-1458.html
旅行ツアー「江原道まんぷく4日間」後記(後編)
http://koriume.blog43.fc2.com/blog-entry-1459.html

11月はやっぱりこの江原道ツアーでしょう。

8月にひとり旅を楽しんでいたというのも、
ただ遊んでいただけでなく、あくまでもツアーの下見でしたからね。
昨年末から今年にかけて、江原道と真剣に向き合いました。

ちなみに、来年3月には済州島ツアーも予定しています。

八田靖史と行く!済州島まるごと食べつくしの旅
http://www.mrt.co.jp/topics20121201.html

日程は来年3月23日(土)~26日(火)で3泊4日。
またブログでも、料理の詳細などしっかり紹介させて頂きますが、
ご関心ある方は、ぜひご検討ください。

あとブログでの記事は11月になってしまいましたが、
10月後半には、大阪遠征というのもありました。
長時間に渡って遊んで頂いた兄さん、姉さんに感謝です。

なんば(大阪)「赤坂一龍難波大阪店」で超長時間オフ会。
http://koriume.blog43.fc2.com/blog-entry-1453.html
今里(大阪)「万宝家」で大阪式韓国料理&居酒屋料理。
http://koriume.blog43.fc2.com/blog-entry-1454.html

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<12月>
赤坂「bibigo赤坂Bizタワー店」でビビゴライスほか。
http://koriume.blog43.fc2.com/blog-entry-1463.html

12月14日にオープンした「bibigo赤坂Bizタワー店」。
オープン前日に関係者の食事会に呼んで頂きました。

以前の韓食日記はとにかく食べ歩き、飲み歩きの記事ばかりでしたが、
最近はなかなかその時間が作れず、新店探索もろくにできていません。

自分の足で食べ歩かないと、アンテナがどんどん鈍ってしまうので、
来年はなんとかしないとなぁ、といちばん反省している部分です。
特に新店探索は課題ですね。ノルマでも決めて食べ歩きたいぐらい。

ちなみに今年新規で紹介できた飲食店は地方を除いてこんな感じ。
新規オープンだけでなく、ブログでの初登場も含めます。

西日暮里「DELIROTI」日本直営1号店誕生。
http://koriume.blog43.fc2.com/blog-entry-1356.html
新大久保「学校へ行こう」でチキン&即席トッポッキ。
http://koriume.blog43.fc2.com/blog-entry-1361.html
新大久保「春川鶏カルビ」でタッカルビ。
http://koriume.blog43.fc2.com/blog-entry-1367.html
自由が丘「美食韓国五味五彩」で霧島熟成神話豚&旬野菜。
http://koriume.blog43.fc2.com/blog-entry-1385.html
銀座「ボクデン銀座店」で豚足の焦がし醤油焼き。
http://koriume.blog43.fc2.com/blog-entry-1388.html
新宿「水刺齋」で水刺齋オリジナルチャプチェほか。
http://koriume.blog43.fc2.com/blog-entry-1408.html
錦糸町「コリマル」で梨花酒&お披露目会のお知らせ。
http://koriume.blog43.fc2.com/blog-entry-1428.html
若松河田「仁寺洞」で自家製トトリムクムチムほか。
http://koriume.blog43.fc2.com/blog-entry-1438.html
府中「モランボン本店」で石焼ローストビーフユッケピビンパ。
http://koriume.blog43.fc2.com/blog-entry-1440.html
青山「タッカンマリ×2」でタッカンマリの未来を見る。
http://koriume.blog43.fc2.com/blog-entry-1451.html

全部で11軒。少なっ!

いやはや、月1軒にも満たない数字じゃないですか。
ブログに書けなかった店もあるので、これがすべてではないですが、
これほどまでに書けていなかったとは、自分でも驚きました。

来年への課題が、痛いほど山積みになった振り返り企画。
しっかり反省点として受け止め、来年も頑張りたいと思います。

今年も1年お付き合い頂き、本当にありがとうございました。
それではみなさん、よいお年を!
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2012.12.29.Sat 22:46 | 韓食日記 | trackback(0) | comment(4)
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僕の肩書きはコリアン・フード・コラムニストですが、
最近はどうも、書くより、話す仕事を頂く機会が増えました。

今年の漢字1文字を僕が選ぶなら「話」です。

日本における韓国料理の現状や、トレンドだったり、
日韓のマッコリ事情、韓国の郷土料理についてなど。
お話をさせて頂く内容は、趣旨によってさまざまですが、
その準備をすることで、僕自身にも大きな勉強になっています。

冒頭の写真、日本で販売される韓国商品を集めたのは、
韓国の方々に、日本の韓国料理事情を知って頂こうというもの。

韓国から研修でいらっしゃった食品メーカーの方々に、
日本のメーカーはこんなことをしていますよ、という話をしました。
しかも、

「韓国語で!」

というリクエストだったのでプレッシャーは甚大。
話だけでは説得力を持たせるのに不安があったため、
実際の商品を並べて、なんとか格好をつけた感じです。

まあ、韓国語自体はヨレヨレでしたけどね。

きちんと伝わったかは一抹の不安があるところですが、
話のメインにしたのは、日本メーカーならではの細かな工夫。
往々にして韓国の方々は、

「自国でこれだけ売れているんだから日本でも売れるだろう!」

と考えがちなところがあります。

家庭用の商品だけでなく、飲食店の進出も同じことがいえますが、
韓国での感覚を、できるだけそのまま持ち込もうする傾向が強いです。
その背景には、商品のみならず、自国文化を伝えたいとの思いがあり、
海外で通用するとの評価が、愛国心を刺激する一面もあります。

もちろんその姿勢を否定する訳ではありません。

韓国ファンからすれば、韓国そのままのほうが評価されますし、
大多数の日本人にとっても、本場という響きは魅力的でしょう。

でも、その上で、というところですね。

実際にそんな姿を見ていて思うのが、本場性を損なわない程度で、
日本人に合わせる姿勢があってもいいんじゃないかということ。
もちろんどの会社でも、

「そのぐらいはちゃんと考慮しています!」

ということになるのでしょうが、僕はどうしても日本人なので、
もっとこうしたら、との思いが強くなるようです。

そんな視点から、日本メーカーの商品を改めて見ていくと、
僕自身にとってもずいぶん多くの発見がありました。
せっかくなので、ブログにもまとめようというのが記事の今回です。

なお、このあたりの話は、以前にもこんな形で記事にしました。

近所のスーパーで満喫する未来的韓食ライフ。
http://koriume.blog43.fc2.com/blog-entry-1379.html

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まずこちら、お馴染み丸大食品の「スンドゥブ」です。

これが、ふと気付いたらパッケージが少し変わっていて、
いまスーパーなどに出回っているのが……。

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こんな感じです。

えー、集合写真からアップにしたものでちょっと見にくいですが、
スンドゥブと書かれたすぐ右下に、

「売上No.1」

という文字が付け加わりました。
もっとよく見ると……。

2011年スンドゥブの素
丸大食品スンドゥブシリーズ(辛口・マイルド)
弊社調べ(KSP-POSデータより)

と説得力のある出典も明記されています。

丸大食品のスンドゥブは発売が2007年9月と早く、
いうなれば市場を作った会社ですが、現在は他社からも商品が出ています。
他社の商品に埋没しないよう、元祖を名乗った格好ですね。

「売上No.1ならきっと美味しいだろう」

という安心感をこの一言で与えられます。
そのほかパッケージの表面だけでも……。

「韓国家庭料理 豆腐でつくるチゲの素」
「豆腐と卵ですぐできる」
「お肉とあさりのエキスの濃厚スープ仕上げ」(辛口)
「お肉と魚介エキスのあっさりスープ仕上げ」(マイルド)

よく見るといろいろ書かれているんですよ。

韓国料理のことをまるで知らない人が手に取っても、
料理の概要から調理法まで、ひと目でわかる仕組みです。

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あるいはこちら、永谷園から出ている商品ですが、
鶏のから揚げに絡めて作る、ヤンニョムチキンの素です。
ただ、一般的にはまだ馴染みがない料理なので、

「韓国風から揚げ」

とわかりやすい説明が隣に出ています。
どころか、

「揚げずにできる」

とまで書いてありますね。
から揚げなのになぜそんなことが可能なのか、
その答えも右下に書いてあります。

「鶏もも肉を用意してフライパンで7分」
「コチュジャン・トマトベースの甘辛だれ仕上げ!」

ヤンニョムチキンという料理は知らなかったとしても、
韓国風のから揚げであり、調理法も味も想像できます。

これってすごいことじゃないですか!?

いや、当たり前すぎるほど当たり前のことですが、
改めて観賞すると、本当によくできていると驚かされます。
韓国からそのまま持ってきた商品は、表面がハングルだけで、

「そもそもなんの料理かわからん!?」

ということすらありますからね。
裏貼りをじっくり見ずとも、あるいは手に取らずとも、
商品の内容を理解させる、この丁寧さは素晴らしいです。

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あるいはこんな工夫をしている会社もあります。

「たこがおいしいチヂミの素」

ある程度、韓国料理に詳しい人であったら、
この時点でまず「チヂミにたこ?」と思うかもしれません。
韓国でならイカか、またはテナガダコを使うところでしょうが、
日本でならボイルしたタコのほうが手軽に入手できます。

材料で苦労することがない、というのがまず1点。
そして、チヂミという比較的ポピュラーになった料理に、

「たこがおいしい」

と付け加えることでイメージがわっと膨らみます。

ちなみにこれ、ダイショーの商品なのですが、
食材決め打ちで提案する韓国料理をたくさん出しています。

「たこがおいしい チヂミの素」
「エビがおいしい チャプチェ用セット」
「サーモンがおいしい ビビンバの素」
「鶏肉のトッポギ炒め用セット」

このラインナップもまとめるとインパクトがすごいですね。

どの料理においても、本場ではまず見かけないアレンジですが、
味を想像するに、まあきっと美味しいだろうというチョイスばかり。
実際、エビのチャプチェと、鶏肉のトッポッキは食べましたが、
予想通りに美味しいのはもちろん、素材との相性もよかったです。

日本で手に入りやすい食材で韓国料理にアレンジを加え、
しかもその魅力をネーミングだけで充分伝えているのはすごいです。

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こちらは日本食研から出ている「サムギョプサルのたれ」。
前述したダイショーからもよく似た商品が出ています。

この商品は僕にとって、存在そのものが衝撃的でした。

豚バラ肉を焼いて食べるだけのサムギョプサルという料理に、
商品化が必要という発想すら、まったくなかったからです。
おそらく韓国人の誰に話しても似た反応が返ってくるでしょう。

この商品はブロックの豚バラ肉を、カットした後に下味をつけるもの。

原材料名を見る限り、ゴマ油や、塩、ニンニクなど、
確かにサムギョプサルらしい味に仕立てるものとなっています。
あとはフライパンで焼いて、サンチュやレタスに包むだけ。

作り方をみれば、なるほどと納得できる感じでしょうか。

ある程度、韓国料理に慣れた人ならレシピすら必要ない料理ですが、
それでも多くの日本人にとってサムギョプサルはまだまだ未知の料理。

「これがサムギョプサルのたれです!」

と提示されれば、なんとなく聞いたことがある程度の料理でも、
安心して食卓に並べることができる、ということになります。

韓国料理を知りすぎると、逆に見えなくなってくる部分ですね。

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そして、こちらはモランボンの「ポッサム」。

これもまたサムギョプサル同様、韓国キャリアの長い人ほど、
ポッサムのどこに商品化の余地があるか悩むのではと思います。
茹でるか蒸した豚肉を、葉野菜に包んで食べるだけですからね。

ただ、これが見るとけっこう凝っていて……。

「豚肉をジューシーに仕上げるワイン蒸しの素」
「ピリ辛味噌だれ」

という2種類のソースが入っています。

1、ブロックの豚肉を表面だけフライパンで焼く
2、長ネギ、モヤシを加え「ワイン蒸しの素」をかける
3、フタをして弱火で25分蒸す
4、火を止めて余熱で20分火を通す
5、豚肉を切り、葉野菜と「ピリ辛味噌だれ」を添える

というのがざっくりとした作り方。
豚肉がブロックなので、火を通すのに少し時間がかかりますが、
調理自体は2種類のソースがあるおかげで至極シンプルです。

これまたなるほどと唸らされる商品ですね。

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さらにモランボンからもうひとつ。

これまたなんとも悩ましい「サムギョプサル鍋」という商品で、
豚バラ肉を焼いてから鍋にするという、なんとも斬新な発想です。

作り方を見ると、

1、フライパンにゴマ油、ニンニクを入れ豚バラ肉を焼く
2、鍋に水を入れ、本品を加えて煮立たせる
3、キャベツ、ニラ、長ネギを加えて煮込む
4、残ったスープでキムチチャーハンを作っても美味

といった感じになっています。

豚バラ肉を焼くことで香ばしさを演出し、
野菜を美味しく食べよう、という鍋料理のようですね。
味付けも、

「ごま油香るにんにく塩スープ」

ということなので、まあ韓国風でありサムギョプサル風。
こういう韓国に存在しない切り口の商品が出てくるのも、
日本で韓国料理を食べる面白さといえましょう。


……といった感じに、実際も話をしてみたのですが、
とにかく日本メーカーの商品をいろいろな角度で眺めてみました。

全体的にすごいすごいと褒めちぎった感じにはなりましたが、
韓国の方へのメッセージということで、味の評価とは無関係です。
僕自身、まだ食べていない商品もあるので、そこはご了承ください。

ただ、実際にこういった視点でスーパーに行きますと、
韓国料理好きなら、これはこれでけっこう楽しめるかなと。
韓国から輸入されてくる商品も含め、メーカーの方々というのは、
商品を手に取ってもらうために、ものすごい努力をしています。

同じ韓国料理を仕事にする者として、素直に、

「すごい!」

という賛辞を送りたくてこんな記事を書いてみました。

韓国料理が今後ますます家庭に浸透していくためにも、
どんどん魅力的な商品を、身近なものにして欲しいですね。
すべてのメーカーの方々に、心からのエールを送ります。
2012.12.26.Wed 23:42 | 韓食日記 | trackback(0) | comment(3)
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自宅に戻ると、こんな感じのお酒が届いていました。
韓国の伝統酒メーカー、麹醇堂から出ている商品の一群です。
麹醇堂の方は、新商品が出ると送ってくれるんですよね。

それ自体、たいへん嬉しいことなのですが、今回はそれに加え、
高級濁酒の「梨花酒」までもが加えられておりました。

「なんたる幸せ!」

年末の慌ただしい時期に、クリスマスプレゼントをもらった気分で、
思わず錦糸町方面に、深々と頭を下げた次第です。

まあ、日本でのオフィスは日本橋箱崎町にあるんみたいですけどね。

パッと思いついたのが錦糸町であり、僕の住む板橋区からなら、
錦糸町とて、箱崎町とて、さほど角度に違いがある訳ではありません。
ちなみに、なぜ錦糸町かというのは、こちらの記事をご参照ください。
なぜ僕が梨花酒で興奮しているかも、よくわかると思います。

錦糸町「コリマル」で梨花酒&お披露目会のお知らせ。
http://koriume.blog43.fc2.com/blog-entry-1428.html
錦糸町「コリマル」でお披露目会後記。
http://koriume.blog43.fc2.com/blog-entry-1436.html

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それにしても、このラベル表記はたまらないですね。

「梨花酒!?」
「本当にあの梨花酒!?」
「本当に本当!?」

と段ボールを開けるだけでも興奮しました。

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ただ、今回メインで扱うべきはコチラのほうでしょう。

麹醇堂が韓国で8月から発売している「アイシングマッコリ」。
ラベルには英語表記で「iCing」と書かれておりますが、
最初のアイが小文字になのはiPS細胞と同じ理由でしょうかね。

いずれ関係者の方にも聞いてみたいところですが、
ともあれ、いま韓国でこのマッコリが大ヒット中。

下半期のマッコリ市場を席巻したというような記事が、
ここ数日、韓国ではあちこちで飛び交っています。

[2012下半期ヒット商品]麹醇堂「アイシング」(ソウル新聞)
http://www.seoul.co.kr/news/newsView.php?id=20121221016005&spage=1
麹醇堂「アイシング」…ビールに負けない清涼感…フュージョンマッコリ(文化日報)
http://www.munhwa.com/news/view.html?no=20121224010322241520050
[2012下半期京郷ヒット商品]マッコリ市場新たな強者として浮上(京郷新聞)
http://news.khan.co.kr/kh_news/khan_art_view.html?artid=201212232019215&code=920401

いずれも韓国語なので、興味のある人だけ読んでください。

ずいぶん売れているみたいだし、韓国人の友人からも、
コレ美味しいよ、と教えてもらったりで、飲みたかったんですよね。
なんともいいタイミングで送ってもらいました。

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なお、このマッコリにおけるいちばんの特徴がココ。
アルコール度数を4%と、低く設定しているんですね。

日本でも「ソウルマッコリ」や「CJおいしいマッコリ」などが、
缶入りの3%を出していますが、韓国もマッコリ市場は同様の傾向に。
ほかにもウリスルが3%の「me3(ミスリ)」を発売しています。

さっそく試飲してみましたが、爽やかなグレープフルーツ味で、
最初スポーツドリンクのような風味で、その後にマッコリが来る感じ。
微発泡感も含めて、ぐびぐび喉越しを楽しむにはいいですね。
個人的にも4%なら、ギリギリアルコールとして楽しめます。

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缶の裏を見ると、日本語のラベルが貼られていました。

ということはこれ、日本でも販売するぞということですね。
あるいは、どこかですでにもう販売が始まっているのかも。

たぶんこのグビグビ感と爽快な味わいは冬よりも春夏向け。
これからの時期に種をまいて、暑い時期に備えるのでしょう。
2013年に向けた新商品、おおいに期待したいと思います。
2012.12.25.Tue 10:46 | 韓食日記 | trackback(0) | comment(0)
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ソウルの明洞で10月にオープンした「明洞コロッケ」。

明洞聖堂の向かいにあるのですが、普段は扉が閉まっており、
11時と18時の1日2度だけ、店を開くという営業スタイルです。
(※注:店が軌道に乗ったら営業時間は変更があるかもとのこと)

12121802.jpg

そんな希少性も手伝ってか、店の前には大行列がずらり。

だいたい販売の30分前から人が並び始めるそうです。
僕らは15分前に行って、20番目以降というぐらいでした。

12121803.jpg

写真が昼と夜と交錯して恐縮ですが、見た目はこんな感じ。

このあたりで「ん!?」と思って頂ければ幸いなのですが……。

12121804.jpg

韓国のコロッケって、いわゆる日本のコロッケとは違うんですよね。

僕らが思うジャガイモコロッケも韓国ではコロッケと呼びますが、
むしろそれは日本料理として、後から入ってきた別種の料理。

韓国人にとってのコロッケは、ベーカリーで買うパンの一種であり、
カレーパン風の揚げパンに、ひき肉、野菜、春雨などが入ったものです。
ピロシキに似た感じのパンといえば、より伝わるでしょうか。

ちなみに、「明洞コロッケ」の例で行くと……。

・野菜
・ジャガイモ
・マスタード
・クリームチーズ
・アズキ

という5品の具があって、従来のコロッケとは一線を画す豪華さ。

ちなみに上の写真は、野菜コロッケを撮影したもので、
中にはコーンやニンジン、タマネギなどの具が入っていました。

なお、個人的なオススメはクリームチーズで、

「カレーパンの中からチーズケーキが出てきた!」

というような驚きを楽しめます。
しかも、イロモノ的でなく、しっかり美味しい。

これがいま韓国で流行の兆しを見せています。

12121805.jpg

なお、韓国で普通のコロッケというとこんな感じ。
そのへんのベーカリーに入れば、どこでも売っています。

「明洞コロッケ」と違うのは、まずパン生地の分厚さですかね。
具も見た目でなんとなく伝わるのではないかと思いますが、
定番のひき肉、野菜、春雨といった面々がしっかり入っています。

12121806.jpg

あるいはまた別のベーカリーで撮影した写真ですが、
左がチャプチェ(春雨)コロッケで、右がチキンカレーコロッケ。
チキンカレーコロッケは新商品という扱いでした。

チャプチェコロッケは、英語訳がベジタブルコロッケになっていたので、
やっぱり春雨と野菜、それにひき肉がちょっと入る感じですかね。

12121807.jpg

チキンカレーコロッケは……まあ、カレーパンですよね。
日本で食べるカレーパンと、大きく異なることはありません。
……というあたりで、やっぱり日本人としては悩む訳です。

こいつはなんでカレーパンでなく、カレーコロッケなんだろうと。

12121808.jpg

手元の資料をひっくり返しましたが、役に立つものはまるでなく、
唯一あったのが、こちらのベーカリーを取材したときの記録です。

群山にある韓国最古のベーカリー「イソンダン」。

日本統治時代に日本人がやっていた店を引き継いで、
終戦直後の1945年に創業したという歴史あるお店です。

創業当時からの人気商品に、あんぱん、野菜パン、そぼろパン……。

12121809.jpg

そして、コロッケがあります。

当時の取材メモにコロッケの中身が書いてあったのですが、
春雨、タマネギ、豚肉、カレー粉……。

「カレー粉!?」

また、試食したときのメモにも、

「うっすらカレーの香りがするがさほど強くはない」

と感想を書いています。
店の人も、カレーコロッケというような説明をしていましたが……。

12121810.jpg

値札を見ると、カレーコロッケとは書いていないですね。
ただのコロッケであり、カレー味が標準スタイルのようです。

さて、ここから推理するに……。

たぶん、コロッケという名前からして製法は日本から伝わったはず。
また「イソンダン」において、創業当時からの商品ということは、
日本統治時代に入ってきて、定着した可能性が高いと思われます。

また、日本におけるコロッケの歴史は明治、大正あたりから。
そして、カレーパンの歴史はどうやら昭和初期になる様子。

すると時代的なことから考えても……。

・日本統治時代に日本からカレーパンの製法が伝わる
 ↓
・まだ新しい料理なので知っている人が少ない
 ↓
・それ以前からコロッケという料理はある
 ↓
・よく似ているからコロッケと呼ばれてしまう
 ↓
・やがてアレンジが加えられ春雨などが具に入る
 ↓
・韓国式のコロッケ誕生

という説明なら矛盾はないかなぁと。

韓国ではほかにも、オデンが練り物を指す呼び名でもあったり、
日本酒の俗称が銘柄由来の「正宗(チョンジョン)」であったり。
日本語本来の意味とは、ずれて定着したものが多々あります。

韓国式中華料理店で食べられる、タンメン風の「ウドン」もそうですね。
日本式のウドンとは無関係に、中華のウドンというメニューがあります。

この手の話は、明確な資料もなく、断定が難しいのですが、
ひとつの仮説として、韓国コロッケのカレーパン由来説を考えてみました。

今後、あれこれ調べていく中で、

「まったく違った!」

ということもあるかもしれませんけどね。
もしなにか有力な情報をお手持ちの方は教えてください。

韓国コロッケの謎、引き続き調査していきたいと思います。
2012.12.18.Tue 22:33 | 韓食日記 | trackback(0) | comment(4)
コリアうめーや!!第283号

<ごあいさつ>
12月15日になりました。
早いもので、あっという間に年末です。
今年配信のメルマガも、これが最後。
その年、最後の号は恒例の企画があります。
ちなみに、この企画を始めたのが2004年。
当時のおかしなテンションそのままに、
イロモノ的なキャラがふたり登場します。
往年の「ザ・ベストテン」を思わせる、
ランキング形式で1年を振り返るという設定。
司会のふたりと、僕の間抜けな掛け合いが、
年末の定番ということになっています。
慌ただしい時期に脱力系の企画ではありますが、
気楽に読み流して頂ければ幸いです。
コリアうめーや!!第283号。
年男の称号を名残惜しむ、スタートです。


<2012年これがうまかったベスト10!!>

「こんばんは。司会の古里柳徹子でございます」
「こんばんは。宇米谷宏です」

「コリやなぎ徹子と、うめーや宏。」
「2人合わせてコリアうめーや!!でございます」

ぱちぱちぱちぱちぱちぱち。

「いやー、今年も我々の季節ですね」
「はい、今年も出番があることに感謝感激です」

「八田氏が今年1年食べた料理を振り返って」
「特に印象的だったものをベスト10形式で発表」
「2004年に始まったこの企画がなんと」
「今年ではや9年目……の7回目です」

「あー、9年目なのに7回目ですか……」
「はい、この話をするたびに陰鬱な気持ちに」
「とはいえ、まぎれもないこの企画の歴史ですからね」
「包み隠さず毎年恒例の恨み節に移りましょう」

「過去にどんなベスト10があったのか」
「まずは、ざざっとご覧頂きます」

2004年これがうまかったベスト10!!
http://www.koparis.com/~hatta/koriume/koriume91.htm
2005年これがうまかったベスト10!!
http://www.koparis.com/~hatta/koriume/koriume115.htm
2008年これがうまかったベスト10!!
http://www.melonpan.net/letter/backnumber_all.php?back_rid=600495
2009年これがうまかったベスト10!!
http://www.melonpan.net/letter/backnumber_all.php?back_rid=641611
2010年これがうまかったベスト10!!
http://www.melonpan.net/letter/backnumber_all.php?back_rid=674252
2011年これがうまかったベスト10!!
http://www.melonpan.net/letter/backnumber_all.php?back_rid=700801

「もう、見るたびに心苦しいですね」
「2006年、07年に空白の暗黒時代があります」
「これは八田氏がまるで韓国に行けなかった時期」
「ベスト10が組めず、この年末企画も中止でした」

「我々に仕事を!」
「年に1度の出番を!」

「そう訴えかけた成果がどうやらあったと見えて」
「はい、今年も5年連続となる企画実現です」
「いやあ、よかった。本当によかった」
「これを逃すと、また1年後ですからね」

「ただ、そう喜んでばかりもいられません」
「え、どうしてですか!?」

「八田氏は今年の初訪韓が6月と遅かったうえ」
「6月!?」
「訪韓回数も昨年7回から半減して4回」
「4回!?」

「日数で数えても25日と1ヶ月に満たない数字」
「あー、2010年でも訪韓4回で32日でしたね」
「これでまともなベスト10が組めるのか……」
「なるほど、そこをまず確認せねばですね」

「ええ、きっちり問い詰めたい思います」
「それでは八田氏を呼んでみましょう」

「八田氏~!」

あー、どーもー。毎年お疲れさまです。
確かに今年は4回しか韓国に行けませんでしたが、
それは2月に娘が生まれたからなんですよね。
まあ、めでたい話ということで、ご容赦ください。

「はあ、相変わらず危機感のない人です」
「子どもが生まれたのを、怠慢の言い訳にするとは」
「まことにもってこの先が思いやられますが」
「いつものことと飲み込んで、話を先に進めましょう」


「じゃあ、早速ランキングいきますかね」
「はい、まずは第10位から第8位までの発表です!」

ダララララララララララ……。ジャン!!

第10位、ソウルのオシャレ系パッピンス!
第9位、ソウルで念願の夏料理2品!
第8位、宮中から伝わった幻の伝統酒「三亥酒」!

「はい、3つが出揃いました」
「毎年、地方料理が多いですが、今年はソウルがふたつ!?」
「今年はソウル取材が2度あったようですしね」
「八田氏に解説して頂くとしましょう」

はい、実はソウルがふたつじゃなく3つですね。
第8位の三亥酒(サメジュ)もソウルの伝統酒です。
今年は6月、11月とみっちりソウル取材に出かけて、
久しぶりにソウルの食を再確認した年でした。

中でも印象的だったのがパッピンス(カキ氷)の変化。

ここ数年、オシャレ系パッピンスはずっと流行で、
気になりつつも、あまり食べていなかったんですよ。
それを11月の取材であちこち話題店を回って、
自分の知識はだいぶ古くなっていたと痛感しました。

さらさらの氷と、いたずらに量を載せないトッピング。
そして、それを若い子たちが混ぜないで食べているのも、
時代の変化を感じさせる大きな発見でした。

そして、第9位の夏料理2品というのは、
夏の魚であるミノ(ホンニベ)がまずひとつ。

西海岸でとれる立派なサイズの高級魚なのですが、
これをソウルの専門店で旬のド真ん中に味わいました。
刺身、ジョン(衣焼き)、スープとひと通り食べたのですが、
どれもさすが高級魚と思える旨さでしたねぇ。

もうひとつの夏料理は北朝鮮の郷土料理でチョゲタン。
冷麺の中に、裂いた鶏肉と生野菜を加えた料理です。

これは以前にも食べたことがあったのですが、
写真がなくて、コラムなどに書けなかったんですよね。
きちんと写真を撮って、心残りを解消しました。

三亥酒は宮中からソウルの両班家に伝わった伝統酒。
ちょうど技能保有者の先生が来日なさったときに、
運よくインタビューをさせて頂きました。

それを記事にしたのがコチラ。

宮中から伝わった幻の伝統酒「三亥酒」!
http://mrs.living.jp/entame/korea/2012/06/25/post-198.html

朝鮮王朝の第23代純祖の次女、福温公主を初代とし、
嫁から嫁へと伝わって現在の先生が5代目の伝承者。
一般販売をしていない、本当に幻のような銘酒ですが、
味のほうも、歴史に劣らず素晴らしいものでした。


「はい、なんだかずいぶん長く語りましたね」
「地方は強いわりに、ソウルは弱いですからね」
「たぶんコンプレックスの裏返しでもあるのでしょう」
「ソウルにすこーし詳しくなったぞと」

わはははははは。(場内爆笑)

「まあ、熱く語ってくれるのはよいこと」
「はい、この調子でどんどんいってみましょう」

「それでは第7位から第……え、なんです?」
「え、第7位から、第6位までにして欲しい?」
「それで、次が第5位から第2位までをいっぺんに?」
「また、ずいぶんなワガママを……ぶつぶつ」

「えー、それでは気を取り直しまして」
「八田氏のリクエストで第7位と第6位の発表です」

ダララララララララララ……。ジャン!!

第7位、夏を独占する即席レモネードブーム!
第6位、歓喜のバナナウユ日本発売開始!

「はい、ふたつが並びました」
「あー、どちらも飲料系からということですね」

「これはさっきのソウルで味をしめましたね」
「なにか順位の中に統一感をもたせようと」
「相変わらず小手先でコチョコチョいじるのが好きな人です」
「わざわざ順位を減らした理由がモロバレですね」

がはははははは。(場内爆笑)

「では、八田氏にコメントを聞きましょう」
「八田氏どうぞ!」

あはは、さすがに付き合いが長いだけあって、
心の内はすべて見透かされていますよね。

第7位と第6位は今年話題になった飲料から。
6月のソウル出張でレモネードブームを発見し、
Twitterなどで興奮とともに速報として流しました。

その後、新大久保などにもそのブームが波及。
今年の夏は本当にレモネード一色でしたね。

韓食日記/今年の韓国で大流行中のドリンクを発見。
http://koriume.blog43.fc2.com/blog-entry-1398.html

また、6月1日から日本での販売が始まった、
ピングレ社の通称「バナナウユ」も衝撃的ニュース。
日本では「バナナミルク」という名前での販売ですが、
韓国の国民的乳飲料の進出は大事件でした。

韓食日記/ピングレ「バナナ味牛乳」を心待ちにする皆様へ。
http://koriume.blog43.fc2.com/blog-entry-1389.html
第271号/2012年6月のバナナウユ狂騒曲!!
http://koriume.blog43.fc2.com/blog-entry-1402.html

「はい、飲料系からふたつのランキング入りでした」
「確かに夏はずーっとレモネードの話をしていましたね」
「この夏はこの話で乗り切る、などと語っていたとか」
「旬のネタを見つけると、すぐそれに頼りますよね」

「といったあたりで、第5位の前に番外の発表です」
「いわゆる次点のような扱いですね」

番外、冬の明洞にコロッケブーム到来!

「はい、韓国でコロッケですか」
「しかもブーム到来とは興味深いですね」

えー、夏はレモネードの話題で乗り切ったので、
この冬はそれをコロッケにスイッチしようかなと。
11月の取材で、明洞に行ったら大行列ができていて、
何かと思ったら、コロッケの専門店でした。

来年の韓国にコロッケブーム到来!?
http://mrs.living.jp/entame/korea/2012/11/26/post-246.html

まあ、コロッケといっても日本とは違って、
カレーパン風の揚げパンを指すんですけどね。

そんな面白さも手伝って、日本でも話題になるかなと。
来年、うまいこと時流に乗ってブームになれば、
タイミングを合わせておおいに語ろうと思います。

「はい、やっぱりあざとい作戦でした」
「今年番外に入れて、来年自慢するつもりでしょうね」
「オレは去年から目をつけていたと!」
「まあ、ブーム自体が来ないかもしれないですけどね」

はははははは。(場内冷笑)


「さて、それでは第5位から第2位です」
「いっぺんにどどっと行きましょう!」

ダララララララララララ……。ジャン!!

第5位、旬のハタハタ1年ぶりのリベンジ!
第4位、巨津港でスケトウダラの澄まし鍋!
第3位、江陵「ソジチョガットゥル」のモッパプ!
第2位、最高級の横城韓牛は1++&No.9!

「はい、第5位から第2位までです」
「んー、これはやはりネタを揃えてきましたね」
「わざわざまとめた理由がよく見えてくるようです」
「それでは八田氏に話を聞いてみましょう」

はい、いずれも今年江原道で食べたものです。

去年のランキングには入りませんでしたが、
12月中旬に江原道へ行ったんですよね。
そしてまた今年は夏と秋の2度行きましたので、
1年の間に、3回訪れたことになります。

僕自身、江原道は2003年以来と久しぶりで、
長いこと行けなかった欲求が爆発したような感じです。
江原道とともに歩んだ1年といってもいいですね。

そんな訳で江原道で食べたものから4品。

ほかにもいろいろ美味しいものはありましたが、
印象的なものを、ずらりと選んでみました。

まず、ハタハタは昨年の12月に行ったのですが、
旬を逃して、卵を持ったメスに出会えませんでした。
それを今年11月にリベンジした次第です。

第261号/語源と逸話を楽しむ冬の旬魚!!
http://koriume.blog43.fc2.com/blog-entry-1349.html
韓食日記/旅行ツアー「江原道まんぷく4日間」後記(前編)
http://koriume.blog43.fc2.com/blog-entry-1458.html

巨津港のスケトウダラ鍋も美味しかったですね。
鮮度がいいので、粉唐辛子で真っ赤に染めることなく、
澄まし仕立てにする、というのが産地ならでは。
一緒に出てくる副菜も、珍しいものだらけでした。

第279号/東海岸で美食に出会うための大原則!!
http://koriume.blog43.fc2.com/blog-entry-1445.html

そして、ヨン様が著書で紹介していた、
江陵の韓定食店「ソジチョガットゥル」のモッパプ。
江原道における両班家庭の伝統料理というのを、
実にシンプルな形で、うまく伝えてくれるお店でした。

第281号/僕とヨン様と江陵のモッパプ!!
http://koriume.blog43.fc2.com/blog-entry-1460.html

そして、江原道料理の筆頭には横城韓牛。

最高の肉質を示す「1++」というランク付けと、
最高の霜降り具合を示す「No.9」という称号。
最高&最高の韓牛を堪能した貴重な機会でした。

秋のツアーでも、皆様に食べて欲しかったのですが、
残念ながら、仕入れの状況でかないませんでした。
だからこそ貴重な肉ということでもありますけどね。

第277号/真剣勝負のひとり焼肉in横城!!
http://koriume.blog43.fc2.com/blog-entry-1434.html

「はい、気持ちのこもったランキングでした」
「本当に江原道と向き合った1年ですね」


「さて、最後に残るのは第1位のみ」
「2012年のベスト1はどうなったのでしょう」

ダララララララララララ……。ジャン!!

第1位、自宅で約8キロの愛情ミヨックク!

「はい、出ました。第1位はミヨックク!」
「韓国式のワカメスープですが、約8キロですか!」
「大量のミヨッククを自宅で食べた理由とは!」
「八田氏に説明して頂くとしましょう!」

ええ、冒頭にもちょっと触れましたが、
今年いちばんのニュースは娘が生まれたことです。

韓国では子どもが生まれると、産後の母親に、
ミヨッククを作って食べさせるのが習慣。
お世話になっている東上野「四季の里」のお母さんが、
約8キロものミヨッククを作ってくれました。

もともとミヨッククに定評のあるお母さんですが、
こういうときに食べるというのは、味もひとしおですね。
これにかなう味は、なかなかないと思います。

韓食日記/ミヨッククで韓国理解度テスト&お知らせ。
http://koriume.blog43.fc2.com/blog-entry-1355.html


「はい、どうやら今年もきれいにまとまった様子」
「一生にそう何度も食べられないミヨッククですからね」
「これが第1位というのは納得のゆく結果でしょう」
「貴重な思い出として、大事にして欲しいと思います」

「さて、今年のメルマガもこれで最後です」
「また来年、元気な笑顔でお会いしたいですね」

「素敵な2013年が皆様の元に訪れますよう!」
「一同、心よりお祈り申し上げます!」
「今年も1年、本当にありがとうございました!」
「それではみなさん、よいお年を!」


<お知らせ>
来年3月に済州島ツアーを予定しています。
島ならではの郷土料理を食べつくす3泊4日。
ご興味ある方は、ぜひご検討ください。

八田靖史と行く済州島まるごと食べつくしの旅
http://www.mrt.co.jp/topics20121201.html

<リンク>
ブログ「韓食日記」
http://koriume.blog43.fc2.com/
Twitter
http://twitter.com/kansyoku_nikki
FACE BOOK
http://www.facebook.com/kansyokunikki

<八田氏の独り言>
さて、次は年始企画の準備ですね。
あと半月でうまいことまとまるかどうか……。

コリアうめーや!!第283号
2012年12月15日
発行人 八田 靖史
hachimax@hotmail.com

メールマガジン購読・解除用ページ
http://www.melonpan.net/melonpa/mag-detail.php?mag_id=000669
2012.12.16.Sun 09:59 | 韓食日記 | trackback(0) | comment(0)
コリアうめーや!!第282号

<ごあいさつ>
12月になりました。
この挨拶を厳寒のソウルで書いています。
ソウルは今年いちばんの冷え込みということで、
気温は見事に氷点下のあたりをウロウロ。
道端の水たまりもピキピキと凍っています。
このまま寒さに耐える日々を思うと頭が痛いですが、
幸いなことに出張は今日でおしまい。
これから飛行機に乗って日本に帰るところです。
なお、今回の出張報告は仕事の兼ね合いもあるため、
いずれまたゆっくりということにさせてください。
なので、今号のテーマは180度ひねって、
思いっきり過去をほじくり返す、昔話を用意。
久しぶりに留学時代の話題を振り返り、
若かった自分の姿を、第三者的に見つめます。
コリアうめーや!!第282号。
あの日、夢破れた瞬間の、スタートです。


<1999年の日式料理を振り返る!!>

先日、ある仕事の準備として、
日式料理について調べる機会があった。
韓国料理における日式料理の立場をテーマに、
セミナー形式で語るといった内容。

もろもろ調べたうえで、

・日式料理とは?
・韓国に定着した代表的な日式料理
・日本料理の受容と普及の過程
・地方の郷土料理に見る日本料理の影響

上記のような項目を立てて話をした。

それぞれ必要な部分では写真も準備。
それらをスライド形式で見てもらいながら、
韓国ならではの日本料理を語った。

最近の韓国では本格的な日本料理も増えているが、
古くに伝わってコリアナイズされたものも多い。
長い年月の間に韓国的な好みで改良が進み、
すっかり韓国食文化の一部分として定着している。

中にはだいぶ変貌を遂げたものも多いので、
日本人の立場としては、

「こんなものは日本料理ではない!」

と思えてしまうことも多々ある。
だが、それは正直、日本における外国料理もお互い様。
ここは広い心で受け止めて、

「ほほう、日本料理がこんな姿に!」

と楽しんだほうが精神衛生的にもいい。

ただ、そう思えるのは心に余裕があるからで、
そうでないと、食のイライラはむしろ恨みとして残る。
日式料理についてあれこれと調べながら、
心に余裕のなかった留学時代がよみがえってきた。

以下は、僕が留学時代に書いた日記をもとに、
再構成して書いた日式料理の体験記である。

舞台は1999年。僕は23歳の若造だ。


――外国で日本料理を食べるのは楽しい。

美味しい日本料理との出会いは感動的であるし、
なんだこれはと、理解に苦しむ出会いもまた楽しい。
ただ、その意味からすると、韓国は距離的にも文化的にも近く、
理解に苦しむ日本料理も、常識的な範囲で物足りない。

かつて僕がネパールで出会った、

1、ライスのうえに千切りキャベツを載せる
2、その上に真っ黒に焦げたひと口カツを載せる
3、さらに卵2個の目玉焼きを載せる
4、誰がなんといおうと、これはカツ丼!

というような仰天メニューはあまりない。

韓国で食べる日本料理は、見た目からよく似ているし、
日本人が食べても、まずまず美味しいものが多い。

一般的な韓国料理を食べるよりは、どうしても値段は張るが、
よほどの高級店でなければ、目が飛び出るほどでもない。
今日はちょっといいもの食べるか、くらいのものだ。

僕の住む新村の町にも日本料理店は多い。

日本式ラーメンを出す店、回転寿司店、日本居酒屋。
あるいは日本スタイルの、ほかほか弁当店も最近できた。
ここでは揚げたてのトンカツも容易に購入できる。

日本料理に飢えた留学生には救世主的存在だ。

余談だが、韓国に住む日本人の日本料理への反応は、
大きく3パターンに分類できるように思う。

・日本料理に固執するタイプ
・日本料理を食べないことに固執するタイプ
・その中間に位置する「ふーん」という人たち

日本食料理が食べられるという情報を得て、
助かったと飛び出していく人があれば、

「俺は韓国にいる間は韓国料理しか食わん!」

と意地を張る人もいる。

その中間で、食べたければ食べるけど、
なければ別にそれでかまわないという人も多い。

僕はどちらかといえば固執するタイプだったようで、
特に留学初期の頃はいつも日本料理に飢えていた。
韓国料理が嫌なのではないが、毎日だとやっぱりつらい。
日本料理が食べたいなあと、しみじみ思っていた。


そんなある日のことだった。

僕らの元に素晴らしい日本料理情報が舞い込んだ。
なんと延世大学の学食が日本料理フェアを開催するという。
学食といえば、格安の値段で腹いっぱい食べられるのが魅力。
しかもメニューはかなり豊富に揃えられるという。

「これはまたとないチャンス!」

僕らはクリスマスを待つ子どものような気分で、
当日を指折り数えながらワクワク過ごした。

そして迎えた日本料理フェアの日。

僕らは学校の授業が終わるのももどかしく、
延世大学の学食を目掛けてバタバタ駆け出して行った。
当然のごとく、大混雑、大行列という状況だったが、
日本料理が食べられるなら、それも苦ではない。

「今日を逃して日本料理フェアは体験できぬ!」

行列の最後尾で、品切れにならないことを祈りつつ、
やきもき、じりじりと自分たちの順番を待った。
牛歩戦術のような歩みで、日本料理に迫る気分は、
宝の山を目前に、沼で足を取られたような感じである。

永遠とも思われる、おあずけタイムに耐え、
ヨダレが足元に水たまりを作った頃。
ようやく僕らの目の前に日本料理が現れた。

このときの気分を今も忘れられない。

忘れられない。
忘れられない……。
忘れたくても、忘れられない……。

忘れてたまるか、このヤロー!


学食のテーブルを前に無言の我ら。

「……」
「……」
「……」
「……」

僕らはできるだけたくさんの日本料理を食べるため、
各人が違うメニューを選び、シェアすることにしていた。
その意図通り、僕らの前に日本料理はずらり並んだが、
場の雰囲気はずっしり重く、それぞれの表情も暗い。

「……」
「……」
「……」
「あの……」

重苦しい空気の中、ひとりが口を開く。

「これ、日本料理かなぁ?」
「うん……」

隣のひとりが静かにうなずく。

「日本料理、いや日本風料理って感じだね……」
「あー、そうね……」
「……」
「……」

ずらりと並んだ日本料理。

しかし、それはずいぶんと面妖な代物だった。
ひとつひとつ、じっくり見ていくとしよう。

まず、オデン。

これは明らかに韓国の町中でよく見かける、
屋台式の韓国オデンを、そのまま器に盛ったものだ。
卵やコンニャク、はんぺんといった日本で定番の具が見えず、
ただ、ひたすら練り物の具が皿に盛られている。

だが、味自体は日本のオデンとさほど遠からず、
目新しさはないが、これはこれで大きな文句はない。
 
次に、お好み焼き。

これは明らかに韓国料理のパジョン(チヂミ)だった。
ソースがかかっていないし、カツオブシも振られていない。
ネギが入った小麦粉の生地をただぺったり焼いただけ。
しかも、あろうことか具にキムチが入っている。

そして、天ぷら。

衣がやけに分厚く、むしろフリッターのような見た目。
ゲソが中に入ったこの天ぷらは、これまた屋台でよく見る、
韓国式のティギムをそのまま出したようであった。

さらに、寿司。

握り寿司や巻き寿司が盛り合わせになっているのだが、
その巻き寿司がまず、キムパプ(韓国式海苔巻き)である。
ゴマ油が表面に塗られてテカテカ光っている。

その隣には韓国語でユブチョバプと呼ばれる稲荷寿司が鎮座。
一応、握り寿司らしきものも、いくつか混じっていたが、
形が妙にまん丸く、刺身を貼りつけたおにぎりのようだった。

圧巻は刺身丼である。

どんぶりごはんの上にサンチュと白身魚の刺身。
そこにワサビ醤油がかかっていれば、まだ納得できたが、
チョジャンと呼ばれる酢とコチュジャンを混ぜたソースがかかる。
どうみてもこれは韓国のフェドッパプ(刺身丼)だ。

刺身盛り合わせにも、チョジャンがかかっている。

えらくスジ張った上に、半分凍ったままのマグロ。
やけに水っぽい白身魚の刺身と、茹でたゲソにワカメ。
これらが大皿の上で、乱雑極まりなく転がっている。

「……」
「……」
「……」
「……」

「日本料理フェアって書いてあったよね」
「うん、書いてあったね」
「これ、ほとんど韓国料理だよね」
「そうだね」

期待が大きかったぶん、僕らの落胆も大きかった。
ほぼ無言のまま食事を終え、とぼとぼと学食を後にした。
足取りは鉄ゲタを履いているかのように重かった。

1999年、敗北の日式料理体験である――


以上が僕の日式料理体験記である。

学食主催のリーズナブルなフェアではあるが、
期待が大きかっただけに、僕らの失望は大きかった。
留学初期、日本料理に飢えていたからこそ、
その傷は大きく心に残ったのだと思う。

いま振り返っても、そのときの悲しみは生々しい。

ただ、その悲しみを冷静に振り返るなら、
それは貴重な90年代の日式料理体験だったともいえる。
時代が進んだいま、似たようなフェアを行うなら、
低予算でも、もっと日本的な料理が出てくるだろう。

それだけこの10数年で日韓の距離は近付いた。

今回の出張中にもたくさんの日本料理店を見た。
韓国で活躍する、日本資本の外食チェーンも増えている。
日本と遜色のない日本料理はもう珍しくない。

だが、その一方で乖離し続ける面白さもある。

今回の韓国出張でもっとも印象的だったのが、
ソウルで流行の兆しを見せている、韓国式のコロッケ。
名前こそ、日本由来のコロッケが使われているが、
韓国でのコロッケは、カレーパンのような揚げパンに近い。

詳細は不明だが、古い時代にねじれた状態で伝わり、
そのままパンの一種として広まったらしい。

そのコロッケが韓国で新たな進化を始めている。

出張中の興奮そのままに書いた記事があるので、
ここでは省略し、下記にリンクを貼っておくとしよう。

リビングWeb/来年の韓国にコロッケブーム到来!?
http://mrs.living.jp/entame/korea/2012/11/26/post-246.html

これを見て、日本料理と違うと憤慨するか、
これもまた食文化のひとつと面白がってみるか。
どちらを選ぶのも、

「また楽し!」

と思える心の余裕を大事にしたい。


<リンク>
ブログ「韓食日記」
http://koriume.blog43.fc2.com/
Twitter
http://twitter.com/kansyoku_nikki
FACE BOOK
http://www.facebook.com/kansyokunikki

<八田氏の独り言>
コロッケとの出会いは衝撃的でした。
当面、熱く韓国のコロッケを語りたいと思います。

コリアうめーや!!第282号
2012年12月1日
発行人 八田 靖史
hachimax@hotmail.com

メールマガジン購読・解除用ページ
http://www.melonpan.net/melonpa/mag-detail.php?mag_id=000669
2012.12.15.Sat 17:41 | 韓食日記 | trackback(0) | comment(0)
12121401.jpg

今年の夏から心待ちにしていたお店がついにお目見え。

すでに「イオンモールむさし村山店」が1号店として、
10月にオープンしましたが、こちらが旗艦店となる模様です。

赤坂Bizタワー店は、本日12月14日(金)がオープン初日。

前日である昨日、マスコミ向けの会見やイベントが行われ、
また、夜には関係者による食事会もありました。

ありがたいことに関係者の方からお誘いを頂きまして、
ひと足先に、「bibigo赤坂Bizタワー店」へと足を運んできた次第です。

冒頭の写真が、看板料理であるビビゴライス。

この「bibigo」は韓国の大手食品メーカーであるCJが、
「韓食の世界化」プロジェクトの一環として始めたもの。
世界へ羽ばたかせ、世界で愛される韓国料理という視点から、
従来のビビンバを、新たなスタイルにアレンジしたものです。

現在、韓国以外にアメリカ、中国、シンガポール、イギリスと、
5ヶ国で営業をしていて、日本は10月オープンで6ヶ国目。
直後、ベトナムでもオープンしているので現在7ヶ国で営業中です。

ちなみに「bibigo」という店名は韓国語の「ピビダ(混ぜる)」と、
英語の「to go(テイクアウト)」を合わせたものだとか。

飲食店で楽しむとともに、気軽に持ち帰って食べることも、
イメージして作られた、ある種ファストフード的な料理です。

従って、この料理には従来のビビンバとは異なる特徴があり、
まあ、見た目からしてだいぶ違いますが、注文の時点で……。

1、ライスの選択
2、トッピングの選択
3、ソースの選択

という3つの選択肢が与えられます。
一覧にすると、こんな感じですね。

<ライスの選択>
・白米
・黒米
・玄米
・麦米

<トッピングの選択>
・炭焼き牛プルコギ
・炭焼きあっさりチキン
・テリヤキチキン
・炭焼きホットポーク
・豆腐

<ソースの選択>
・コチュジャン
・レモン醤油
・胡麻ドレッシング
・サムジャン

これらを組み合わせて好みのビビゴライスを作ります。
冒頭の写真では、

「黒米+炭焼き牛プルコギ+レモン醤油」

を選択しました。
いろいろ組み合わせを楽しめるのが大きな魅力。
画一的なコチュジャンの味だけでないのも嬉しいですね。

12121402.jpg

全体をかき混ぜると、こんな感じの見た目に。

もともとがサラダをイメージしたビビンバですが、
サラダ感覚どころか、サラダそのものという感じですね。
ごはんの入ったサラダといっても過言ではないように思います。

ちなみに、こうしたサラダタイプのビビンバだけでなく、
ボウル入り、石焼きという、標準的なビビンバもあります。
ライス、トッピング、ソースを選べるのはそちらも同じ。

これで値段はランチタイムは、スープと水キムチ、
小皿が2品がついて980円、石焼きのみ1050円。
ディナーは単品のミニサイズ限定で550円、石焼き600円。

僕らが食べたのもミニですが、それなりにボリュームがありました。
例えば4人で食べて、シメにシェアするならミニひとつで充分。
それ以外にも、ずいぶんいろいろメニューがありますしね。

12121403.jpg

お店はカウンター席も用意されておりましたが、
4人がけのテーブル席が、主体という感じになっています。
ランチだけでなく、夜もしっかり使って欲しいということでしょうね。
品数はそこそこですが、小技を効かせた料理が揃っています。

こちらがまず、いちじく&アボカドサラダ。
甘酸っぱいザクロドレッシングをかけて頂きます。

12121404.jpg

トッポッキ(餅炒め)は宮中式に醤油味で炒めたもの。
タケノコ、シイタケ、赤ピーマンなど、野菜がたっぷりです。

12121405.jpg

キムチ盛り合わせと……。

12121406.jpg

ナムル盛り合わせなども頼みつつ。

12121407.jpg

マッコリはCJ&サッポロの「おいしいマッコリ」シリーズ。
手前にあるのは、マンゴー味とピンクグレープフルーツ味です。
缶入りタイプを、グラスに移して持ってきてくれます。

12121408.jpg

主菜格にタッポックムタン(鶏肉と野菜の鍋料理)を注文。
一般的にはタットリタンと呼ばれることの多い料理です。

鶏肉とジャガイモ、タマネギなどを煮込んだ料理ですが、
そこにトマトを加え、イタリアンパセリをあしらっているのが独特。
韓国料理から、イタリアンに寄せたようなアレンジですが、
そのあたりも「bibigo」らしさの演出ということでしょう。

12121409.jpg

こちらはサムジャンチキン焼き。

鶏肉にサムジャン(合わせ味噌)を塗って焼いたもので、
写真では見えませんが、鉄板を固形燃料で温めながら提供しています。
鶏肉も柔らかく、ちょっと韓国風な味噌漬けといった感じ。

12121410.jpg

シメには冒頭のビビゴライスとともに冷麺も注文。

メニューには「ビビゴ秘伝の韓国冷麺」と書いてありますが、
事前の報道にあったように、盛岡冷麺を使っているようですね。
日本ではこちらのほうが受ける、という判断でしょうか。

これらとあとひとつ気になった料理に、カボチャのジョンがあり、
頼んでみたのですが、残念ながらこの日は品切れでした。

メニューの写真を見る限り、韓国カボチャを細い千切りにし、
少量のもち粉生地とまとめて、お好み焼き状に焼いたものという感じ。
こちらも独特なので、いずれ機会があれば食べてみたいですね。
個人的にもランチなどで、また足を運ぼうと思っています。

おそらく今後、日本でも出店をどんどん増やしていくでしょうし、
世界化の象徴ともいうべきお店ですから、国の威信もかかっています。
失敗は出来ませんし、それ相応の力も注いでいくはずです。

韓国が目指す、韓食の世界化を具現化するための大きな1歩。
今後の展開も含め、おおいに注目していきたいと思います。

店名:bibigo赤坂Bizタワー店
住所:東京都港区赤坂5-3-1赤坂Bizタワー1階
電話:03-5575-5560
営業:11:00~23:00
定休:なし
http://www.bibigo.com/
2012.12.14.Fri 15:18 | 韓食日記 | trackback(0) | comment(0)
12121301.jpg

えー、長らくご無沙汰してしまいました。
これまでも更新がバタッと途絶えることはよくありましたが、
ここまで長い間、止めてしまったのは初めてかと思います。

ちょうど3週間ぶりということになりますね。
ご心配などおかけしていたら、まことに申し訳ございません。

最後の更新が先月の22日で、その翌々日から韓国出張。
Twitterなどでは、ぼちぼちと取材の合間につぶやいていましたが、
そのあたりまでは、いつも通りの多忙という感じでした。

大変だったのは、むしろその取材を終えて帰ってきてから。
帰国直後から仕事が立て込んだのに加え、身内に病人が出て、
入院というような騒ぎにもなり、1週間ほどドタバタでした。

仕事上の打ち合わせや、忘年会の誘いなどはみなキャンセル。
目先の仕事をなんとかこなし、ようやく昨日あたりから、
平常運転モードに、入りつつあるといった状況です。

まあ、年末であることも含めて仕事は山積みですけどね。

なんとか、ブログもTwitterも動かしていくので、
改めまして、お付き合いのほど宜しくお願い致します。

ちなみに冒頭の写真は出張中に市庁前で撮ったもの。
時に意味はないです。クリスマスっぽいかなと。

12121302.jpg

まず、大事なお知らせがひとつ。

先月、江原道ツアーのほうが無事終了しましたが、
今度は来年3月に向けた、済州島ツアーのお知らせです。
会社が変わって、今度はモランボンツーリスト。

八田靖史と行く!済州島まるごと食べつくしの旅
http://www.mrt.co.jp/topics20121201.html

日程は来年3月23日(土)~26日(火)で3泊4日。

合間に観光なども挟みますが、基本的には食べるのがメインで、
済州島ならではの郷土料理を堪能したいと思っています。
詳しくは上記ページのスケジュールに記載されていますが……。

・ケクチュリジョリム(カワハギの煮付け)
・ムルフェ(冷や汁風の刺身)
・チョンボクヘムルタン(アワビ海鮮鍋)
・コドゥンオジョリム(サバの煮付け)
・オブンジャクトゥッペギ(トコブシの海鮮チゲ)
・フッテジグイ(黒豚の焼肉)
・コサリユッケジャン(豚肉とワラビのスープ)
・トムベゴギ(済州島式の茹で豚)
・カルチクッ(タチウオのスープ)

といったあたりがメインになってくる予定。
これらに済州島ならではのオヤツなども加えまして、
食べつくしの旅、ということで計画しています。

12121303.jpg

そして、今回の目玉としてこんな場所を足しました。

済州島から連絡船に乗ってさらに南へ25分。
大韓民国最南端の碑が立つ、馬羅島(マラド)を目指します。

歩いても1周1時間程度、人口100人の小さな島ですが、
最南端のロマンを求めて、訪れる観光客は多数。
そのため、どうしたことか島いちばんの名物として、
海草、魚介入りのチャジャンミョン(炸醤麺)が食べられます。

本格郷土料理ばかりで、ここだけネタに走った感はありますが、
どうせなら人の行かないようなところへも行ってみたいなと。
最南端で味わうチャジャンミョンの味はまた格別ですし(たぶん)、
島そのものも、たいへん気持ちのいい場所です。

まあ、海が荒れたらそもそもフェリーが出ませんので、
その点だけは、申し訳ありませんが予めご了承ください。

天候に恵まれることを、今回ばかりは本当に心から願いつつ。
ちょうど日程の合う方は、ぜひご検討頂ければと思います。

12121304.jpg

そして、お世話になっているお店関連からお知らせが少々。

こちらは東上野にある「四季の里」ですが、
創業店である浅草のほうを閉めたとの連絡がありました。
常連の皆様は、すでにご存じの方も多いかもしれませんが、
お父さん、お母さんに会いたい方は、東上野に行ってください。

12121305.jpg

そして、若松河田の「南陽屋」からも閉店予定のお知らせが。
再開発に引っかかったらしく、来年の3月半ばで店を閉めるそうです。
最後に食べておきたい料理のある方は、年内、年明けでお急ぎください。
移転計画もあるのかな。また続報があればお知らせします。

ということで、取りあえずもろもろのお知らせでした。
ペースを取り戻し、年末年始の更新を頑張りたいと思います。
2012.12.13.Thu 12:25 | 韓食日記 | trackback(0) | comment(2)






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八田 靖史(八田氏@K・F・C)
美味しい韓国料理を探す毎日。コリアうめーや!!管理人。コリアン・フード・コラムニスト。ブログは2005年12月開設。