
浦項の竹島市場でソモリコムタンの朝食。
牛の頭を煮込んだスープで、これもここの名物だそうです。
浦項のというよりも、市場の名物という感じですけどね。
市場脇の通りに専門店がずらりと並んでおりました。
食べ終わったら、市外バスに乗って大邱へと移動。
その後、水原で用事があったので時間はなかったのですが、
これだけはぜひ大邱で食べておきたいと思ったのが……。

行列のできるチャンポン(激辛の海鮮麺)。
ただ、タクシーを飛ばして行ってみると11時40分の段階で、
店の人曰く、1時間半待ちという尋常ではない大行列。
諦めて別の機会にリベンジすることとしました。

かわりに行ったのが、8日目に餃子を食べた店。
そのときに発見していた謎メニューのひとつが、
こちらの「カキウドン」4000ウォンでした。
一般的に韓国の中華料理店で「ウドン」といえば、
タンメンを思わせる白いスープの海鮮麺を指すのが普通。
そこに「カキ」という単語がついていることから、
「これは日本語の牡蠣がそのまま残ったんだな!」
と推測。
いれゆるクルチャンポン(牡蠣入りのチャンポン)の亜種、
ウドンバージョンだと思って頼んだら……。

出てきたのがコレ。
どう見ても全国的によくある日本風のウドンでした。
大邱在住の友人によれば
「日本語のかけうどんがなまってカキウドン」
ということのようですね。
日本語が残ってという部分までは当たっていましたが、
まさか「かけうどん」とは想像できませんでした。
しかも「かけ」なのに具がいっぱい載ってるし。
大邱でこうしたウドンをカキウドンと呼ぶのはごく普通で、
むしろその友人は、不思議がる僕のことを不思議がっていました。
でも、日本風のウドンをカキウドンと呼ぶのはまだいいとして、
「それがなぜ中華料理店にあるんだ!」
という謎もいつか解明したいと思います。

続いて、謎メニューその2。
・ケランパン、4000ウォン
・ホットク、4000ウォン
この部分を見た瞬間、頭上で「?」が舞い踊りました。
ケランパンといえば、中に卵を入れた今川焼き。
ホットクのほうは、中に黒砂糖の蜜を入れたお焼き。
いずれも全国的にどこでも見られる屋台オヤツです。
しかるに。
「それがなぜ中華料理店にあるんだ!」
という疑問と、なぜ4000ウォンもするんだという疑問。
さらにホットクのほうは、まだ中国由来のオヤツなのでいいですが、
ケランパンはどう考えても、日本から伝わった料理のひとつ。
そんな困惑を解決するために頼んでみると……。

出てきたのがコレ。

そして、中はこんな感じ。
けっこう固めのボソッとした食感のパンに、
ざらっとした三温糖が入っているといえば伝わるでしょうか。
なんとも素朴なパンですが、不思議と後をひく美味しさ。
噛み締めるごとにそっけない味が妙に懐かしく、
砂糖のシンプルな甘さが、心の奥底に響いてきます。
ただ、そんな中にも疑問として浮き上がるのが、
ケランパン(卵パン)の卵はどこにいったののかという点。
おそらく生地に練り込まれているのではないかと思いますが、
予想外に「卵型のパン」とかだったらどうしようかとも。
ランチタイムの忙しい時間だったので確認できませんでしたが、
いつの日か、その謎も併せて解いてきたいと思います。
また、本来は謎メニューその3として、
・テンプラ、20000ウォン
というのもあったのですが、これは店の人に教えてもらって解決。
タンスユク(酢豚)のあんがかかっていないもの、という話なので、
衣をつけて揚げただけの豚肉をテンプラと呼ぶようですね。
いやはや、本当に謎の多いメニューでした。
大邱の中華料理事情はいずれ腰を据えて追いかけたいですね。

その後、KTXに乗って水原に移動。
お世話になっている料理研究家の先生に会うためですが、
ちょうど市庁で味噌造りの講義中とのことでそこに伺いました。
「市庁で味噌!?」
と聞いたときは思ったのですが、どうやら市民講座の一貫として、
テンジャン(味噌)の造り方を教える、という内容だった模様です。
市庁舎の屋上を開放して、味噌の甕を並べるってすごいですよね。
しっかり熟成したら、受講生の方は割安の値段で購入も可能。
残ったぶんは、老人ホームなどに差し入れる予定とのことです。

見学後は名物の水原カルビをご馳走になりました。
料理研究家の先生だけでなく、僕を浦項に呼んだ兄さんも合流。
韓国を代表する食賢人による超ハイレベルな味噌談義は、
韓国語の実力を除いても、ひたすら黙るしかないものでした。
いやあ、勉強しなきゃいけないことたくさんありますね。

最後は兄さんと水原駅前の路地裏でコプチャングイ(ホルモン焼き)。
焼酎をぐいぐい飲みながら、韓国料理の未来を語り合いました。
兄さんからの、
「八田は今後これをしっかりやれ!」
というアドバイスが身に染みた夜。
韓国出張も終盤にきて、よい頭の整理にもなった気がします。
今日を入れて残りあと2日。
しっかり気を引き締めて食べ歩きたいと思います。
<お知らせ>
日本で進化する韓国料理~食の韓流10年を振り返る~
http://www.rihga.co.jp/osaka/culture/single/detail/korean.html
<新刊情報>
韓国料理には、ご用心!
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スポーツソウルジャパン
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第16回盈徳ズワイガニ祭り!
今年は3月28日から4月1日までの開催で、
喜ばしいことに出張日程とぴったり重なりました。
盈徳といえば韓国でもっとも有名なズワイガニの産地。
これを逃しては一生後悔する、というぐらいの熱い気持ちで、
大邱から盈徳までひらりと足を伸ばしてきました。
盈徳のバスターミナルからタクシーで20分程度。
江口(カング)港一帯に専門店が集まっています。

大皿に盛られたスチームのズワイガニ。
お店の人とも相談しつつ、財布とも相談しつつ、
最終的に……。
・羅津産のズワイガニ(大) → 8万ウォン
・盈徳産のズワイガニ(小) → 7万ウォン
という2杯で注文。
メンバーは3人でしたが量はそれなりに充分でした。
お酒を飲まずカニだけ食べるなら1人1杯でも。
ちなみに羅津(ラジン)産というのは北朝鮮産で、
ロシア経由で来るため、輸入物という扱いですね。
他の店ではストレートにロシア産とも書いてあります。
なお、盈徳産のズワイガニ(大)の場合は、
羅津産と同じサイズで……。
「1杯20万ウォン!」
さすがにそれはちょっと手が出ませんでした。
いつかゴチになる機会があれば食べてみたいですね。
しかも盈徳産にはまだまだグレードがあり、
・パクタルゲ(パンパンに身の詰まったカニ)
・ファンジャン(金色のカニミソを持ったカニ)
といった用語も飛び交います。
ドラマ「食客」を見た方なら聞き覚えがあるかと。
金に糸目をつけないなら上には上があるようです。

これは盈徳産のカニつけられている目印。
周辺の露店などで販売されているズワイガニには、
これがなくても盈徳産を名乗っている例がありました。
別の流通ルートがあるのか、名前だけの盈徳産か。
あるいは足が欠けていたりしても目印はつかない様子。
僕も細かな事情はまだまだよくわかっておりませんが、
現地で見た価格は、店によって本当にまちまちでした。
素人目線で確実に盈徳産のズワイガニを食べたい。
そんなときは目印を参考にするのがよいと思います。
地元の事情通などと一緒に行くなら別ですけどね。
身の詰まった盈徳産の中で足の少し欠けたやつを、
格安で味わうという裏テクニックもあるようです。

味のほうは小ぶりでも盈徳産のほうが上をいく印象。
ただ食べ応えでは羅津産も負けてはいませんでした。
量と質のどちらを重視するかというところですね。
一方、カニミソだけは盈徳産が圧倒的に美味。
そのあたりも考慮しつつ注文するのがよいかと思います。
他のお客さんも、値段と量のバランスを取りつつ、
安価なホンゲ(ベニズワイガニ)を足したりもしていました。
いろいろ頼んでシェアというのでもいいでしょうね。

ズワイガニのダシが効いた鍋と……。

カニミソのポックムパプ(炒めごはん)はサービス。
大皿が出てくると同時に、甲羅は下げられてしまうので、
カニミソで食べたいときはそれを断る必要があります。
僕らは盈徳産と羅津産の両方を味見したうえで、
盈徳産をつまみに残し、羅津産を炒めてもらいました。

その後、祭りの会場をウロウロしながら、
地元のマッコリを飲んだり、屋台料理をつまんだり。
・ズワイガニでダシをとったオデン
・ズワイガニ入りの味噌汁すいとん入り
・ズワイガニ入りビビンバ
といった贅沢料理が格安で出ていました。
それらを試食しながら、上の写真はデザート。
たい焼きのズワイガニ版という感じですかね。
ヨンドクテゲパン、という名前で売っていました。

ひと通り、ズワイガニ祭りを楽しんだ後は、
バスに乗って、再び浦項の町へと移動。
写真は夕食に選んだムルフェグクスという料理です。
刺身を冷や汁風に仕立てたのがムルフェであり、
そこに麺(グクス)を足すからムルフェグクス。
甘酸っぱいシャーベット状のスープに、
ヒラメの刺身と生野菜、そして素麺が浸っています。
これ夏の暑い時期に食べたら最高でしょうねぇ。

最後は海辺沿いのテント屋台で1杯。
活けのエビをたっぷり刺身にしてもらいました。
コッセウというエビで辞書を見るとサルエビですが、
画像検索で比較するとちょっと違うような気も。
日本に帰ったらしっかり調べたいと思います。
身の部分は刺身で食べて、頭は塩焼きに。
あるいは最初から丸ごと塩焼きにも出来ます。
これをバリバリと食べつつ……。

同じく名物のチョゲグイ(貝焼き)も注文。
ホタテ、ハマグリ、タイラギなどを堪能しました。
ということで9日目の日程も無事終了。
そのまま浦項に泊まって、翌朝大邱に移動し、
いまは大邱から水原に向かうKTXの中です。
今夜は水原で泊り、明日は京畿道を中心に巡ります。
<お知らせ>
日本で進化する韓国料理~食の韓流10年を振り返る~
http://www.rihga.co.jp/osaka/culture/single/detail/korean.html
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韓国料理には、ご用心!
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スポーツソウルジャパン
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「来月浦項に来い。味噌仕込むから」
「え゛!?」
「取材していけ。メシぐらいおごるぞ」
「え、えーっと……」
という会話の詳細は過去記事をご参照ください。
コリアうめーや!!第288号
http://koriume.blog43.fc2.com/blog-entry-1500.html
味噌を仕込むタイミングには間に合いませんでしたが、
一応、指示通りの「来月」に浦項を訪れました。
浦項というと海沿いの港町という印象が強いですが、
内陸方面に車を走らせると、山間部も存在します。
北部地域から続く太白山脈の最後あたりが浦項の山間部。
嘘か本当かは知りませんが、
「このへんの人は朝鮮戦争が起こったのも知らなかった」
というぐらいのド田舎にハンアリ(甕)の大群が並んでいます。
現在は約2000個、将来的には5000個まで増えるそうです。
多くの料理研究家や人気飲食店のシェフが絶賛する、
プレミアムテンジャン(味噌)がここで造られています。

竹長面(チュッチャンミョン)という地名から名前を取り、
ブランド名「竹長然(チュッチャンヨン)」となっています。
「然」の字は社長さんの名前にも入っている文字ですが、
「自然と歳月以外は何も入れていません」
というコンセプトにもかかっているんでしょうね。
テンジャンの原材料は、
「豆!」
「塩!」
「水!」
「以上!」
というのがいちばんのこだわりです。
地元産の大豆を使い、敷地内の地下200mから岩盤水を汲み上げ、
3年寝かせた新安産の天日塩で味を整え、あとはじっくり待つだけ。
いわゆる「名人」と呼ばれる人がいる訳でもなく、
地元の方々が、農閑期に交代で手伝いながら手造りで生産。
機械化されている部分も、
「豆を洗うのとつぶすところだけ」
というから徹底しています。
2009年の創業なので、会社としては新しいですが、
地元に密着している姿をしっかり見てきました。
まあ、社長さんとの付き合い自体は15年ほどだそうですし、
社長のお父様とはもっと古くからの付き合いだとか。
そういう緊密な人間関係があっての新しいビジネスですね。

ゲストハウスを作ったり、味噌造りの体験場を作ったり、
いろいろ計画はあるそうですが、ほとんどがまだまだ途中。
飲食店がある訳もでなく、この料理も地元の方の手造りです。
並の飲食店では到底かなわないほど素晴らしい味でしたけどね。
いずれも「竹長然」の醤油、味噌、コチュジャンを使った、
山間部ならではの春の味覚は、どれも衝撃のひとことでした。
詳細はまたいずれ。たぶんメルマガで書きます。

見学が終わったら、海沿いの地域まで繰り出して、
有名な竹島市場を巡り、また浦項名物も堪能しました。
サンマを生干しにして味わうクァメギです。
全国に宅配している有名な卸売店で家庭用セットを購入し……。

地元の飲食店に持ち込んで賞味。
ヌメッとして、シコシコとして、脂がにじみ出る。
ちょっとクセのある風味で苦手という人も多いようですが、
魚好き、珍味好きな人なら、むしろハマる味だと思います。
海苔と一緒にコンブかワカメを重ね、薬味を加えて、
チョジャン(酢コチュジャン)につけたサンマを載せて。
ええ、それはもう焼酎がどんどん進む味でした。

持ち込みを許可してもらった店の名物はムルフェ。
中央の器にはヒラメの刺身と、刻んだ生野菜、千切りの梨、
そしてたっぷりの海苔と、甘辛い薬味ダレが入っています。

これをぐるぐるっとかき混ぜるとこんな感じに。
ここに水(ムル)を注いで食べる刺身(フェ)ということで、
ムルフェと呼ばれますが、冷や冷やっとして爽快な味わいです。
江原道や済州島では最初から水が入っていることが多いですが、
どうやら慶尚道では水なしで出てくることも多い様子。
このままフェムチム(刺身の和え物)で食べてもいいですし、
僕を浦項まで呼んだ兄さん曰く、
「ムルフェは3段階で味わうべし!」
という人もいる様子。
1、3分の1をフェムチムの状態で食べる
2、3分の1を別の器に取り置き、残りにごはんを入れて食べる
3、取り置いた3分の1を器に戻し、水を注いでムルフェとして食べる
というのが兄さん流。
ムルフェ道もなかなか奥が深いということを知りました。

その後、浦項から慶州に戻り、今後はKTXで大邱に移動。
東大邱駅周辺に宿を取り、このブログはそこで書いています。
夜は大邱に住む友人の案内で、中華街のマンドゥ(餃子)。
韓国式の揚げ餃子に近いクンマンドゥ(焼き餃子)と一緒に……。

なぜかチムギョスと呼ばれている蒸し餃子も注文。
他のメニューはマンドゥなのに、なぜこれだけ呼び名が違うのか。
またほかにもメニューを見ると、不思議な料理名が多く並び、
大邱の中華料理事情には謎が多いということを学んできました。
まだ、まったく整理がついていないのですべてこれからですが、
おそらく大邱の中華料理には相当な面白さが眠っていそうです。
以前、書いたヤキウドンもその象徴的なひとつですが、
それにも負けない不思議料理の片鱗を感じてきました。
コリアうめーや!!第247号
http://www.melonpan.net/letter/backnumber_all.php?back_rid=687907

2次会はこれまた地元感あふれるテント屋台。
豚肉の練炭焼きとウドンがここの名物だそうです。
これらを肴にしつつ、気持ちのよい夜を過ごしました。
さて、地方行脚もそろそろ終盤。
今日もこれからまた別の地方を目指す予定です。
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日本で進化する韓国料理~食の韓流10年を振り返る~
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2013年は釜山・蔚山・慶尚南道訪問の年。
毎年、この訪問の年シリーズには積極的に参加しています。
むしろその前年からフライングで足を運んで食べ歩き、
発信に努めているぐらい、熱心に応援しているぐらいです。
「今年は○○訪問の年だから、あのエリアに行こう!」
という、いいきっかけになるんですよね。
地方を目指すリピーターには、ちょうどいい企画でしょう。
ということで、昨夜泊まった釜山を早朝に発ち、
まず向かったのは慶尚南道の宜寧(ウィリョン)郡。
この地域を代表する名物が、冒頭のソバです。

蕎麦粉を使った温かい麺料理で、韓国語でもソバ。
古い時代の日本語がそのまま残って定着した例でしょうが、
実際に食べてみると、日本の蕎麦とはずいぶん違いました。
煮干しをベースとしたあっさり味のスープに、
澱粉を混ぜたとおぼしき、つるつるの麺が浸っています。
コショウと粉唐辛子が入って味わいはなかなかスパイシー。
具には細切りのチャンジョリム(牛肉の醤油煮)と、
ホウレンソウ、キャベツ、緑豆モヤシが入っています。
あとは刻みネギが少々。付け合せに大根キムチ。
名前こそソバですが、日本料理の気配はほとんど皆無ですね。
ルーツをたどれば、日本とも関係がきっとあるのでしょうが、
食べれば食べるほど韓国料理であり、韓国料理として美味しい。
そんな感想が意外でもあり、また納得できるものでした。

ソバを食べた後は、もうひとつの宜寧名物であるマンゲトク。
マンゲというのが慶尚道方言でサルトリイバラという植物を意味し、
その葉っぱで包んだトク(餅)ということになります。
と言いつつ、写真を見て頂ければ一目瞭然なのですが、
これって、どう見ても日本でお馴染みのカシワ餅ですよね。

1個のサイズは小さいですが、中にはアンコも入っています。
カシワの葉でなく、サルトリイバラを使っただけの違いですが、
実は日本でもサルトリイバラの葉で代用する地域があるとのこと。
カシワ餅でなく、イバラ餅という名前で呼ぶそうですが、
それとほとんど同じものが、宜寧でも親しまれています。
小さな町ですが、ソバの店も、マンゲトクの店もたくさん。
日本人にとっては、どうにも親近感を覚える町でした。

目的を達成したら、再びバスで移動し今度は馬山(マサン)。
市町村合併でいまは昌原(チャンウォン)市の一部になりました。
以前もここで名物のアグチム(アンコウの蒸し煮)を食べましたが、
今回目指したのは、やはり名物であるポックッ(フグのスープ)。
アグチム通りから、目と鼻の先にポックッ通りがあります。
豆モヤシとセリを煮込んださっぱりスープにフグを入れるのですが、
どんな種類のフグを入れるかで、値段が細かく分かれています。
・ウンボク(シロサバフグ)
・チョルボク(クサフグ)
・カチボク(シマフグ)
・チャムボク(トラフグ)
の4種類があって、下にいくほど値段が高いです。
普段であれば、いちばん安いウンボクしか食べませんが、
せっかく馬山まで来たので……。

1人前2万ウォンのトラフグをチョイス!
やや小ぶりではありますが、しっかり2尾が入っており、
その上品な旨さを、骨の隙間までしゃぶって堪能しました。
いやぁ、これは美味しかったですねぇ。

あんまり美味しかったので、もう1杯いっちゃいました。
1人前1万5000ウォンのシマフグは黄色いラインが美しい見た目。
先のトラフグに比べて、身が大きく、食べごたえは充分でしたが、
やっぱり身の味わいでは、1枚格が下がるとの印象でした。
おそらく多分に値段の影響を受けた感想とも思われますが、
逆にスープのほうはどちらも大差なく美味しかったですね。
どのみちポックッを食べるときは2日酔いの朝が多いので、
スープをメインにすするなら、安いフグで充分と確信しました。
そのうえで旨いフグを食べたいときは値段を惜しむべからず。
5000ウォンを余計に払ってもトラフグに軍配を上げたいと思います。

その後、市場などを見学しつつ、馬山→釜山→慶州と移動。
今夜の宿は慶州の市外バスターミナル近くに確保し、
この記事も、そこのモーテルでせっせと書いています。
ここまで来たのは、明日の予定を考えてということなのですが、
到着してまず悩んだのが、夕食に何を食べるかということ。
慶州は昔から何度も来ていて大好きな町のひとつですが、
とかく食の魅力に欠けるところで、いつ来ても頭を抱えます。
今回もガイドブック片手に、悩みに悩んだのですが……。
「発想の転換!」
という素晴らしい着想を得て窮地を脱しました。
まあ、自画自賛するほどたいした着想ではないのですが、
慶州でダメなら、慶州を出ようというのが今日の結論。
地図を見ていて気付いたのですが、慶州は蔚山に隣接しており、
その蔚山には、慶州とはまた違った名物がたくさんあります。
ということで、颯爽と慶州を飛び出して向かったのが、
蔚山市蔚州郡に属する鳳渓(ポンゲ)という町。
ここには大規模な牛焼肉の専門店通りがあります。
上の写真、霜降りのトゥンシム(ロース)をつつきながら……。

いつか食べたいとリストアップしていたコチラも制覇。
新鮮な牛赤身肉をひと口大にカットして生で味わう、
その名もカクトゥギユッケ(角切りユッケ)です。

カクトゥギ(大根の角切りキムチ)状に切ることからの命名ですが、
思ったほど真四角ではなく、むしろペラッとした感じでしたね。
大邱あたりでムンティギと呼ばれる牛刺身の亜種といった雰囲気。
標準語ではユクサシミ(肉刺身)と呼ばれるアレに近いです。
ただ、コチュジャンとゴマ油を混ぜたタレで食べるとなかなかいい感じ。
ネーミングの面白さと、この地域だけの特別なユッケなので、
話のネタとしては、けっこう使い勝手がよさそうで嬉しい限りです。
なお、慶州から鳳渓までのアクセスですが、
行きは市外バスターミナルからタクシーで20分、約2万ウォン。
帰りは500番の市内バスで30分、1500ウォンの距離でした。
ただ、バスは30分に1本と少なく、降りるところもわかりにくいので、
慣れた人以外は、タクシーを利用したほうが無難かと思います。
といったところで、以上が本日食べた料理の報告。
明日以降も精力的に頑張って食べ歩きたいと思います。
そして、最後にひとつお知らせ。
おかげさまで新刊「韓国料理には、ご用心!」は好評発売中ですが、
その内容をぎゅっとまとめた講座を来月に大阪で行います。
昨年も地方料理を語ったリーガロイヤルホテルが会場。
大阪近辺の方でお時間ある方は、ぜひご参加頂ければと思います。
日本で進化する韓国料理~食の韓流10年を振り返る~
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八田靖史と行く済州島まるごと食べつくしツアー。
おかげさまで予定していた全行程を消化し終了しました。
ご参加頂いた皆様、本当にありがとうございます。
まだ、おそらく帰宅途中ではないかと思いますが、
ゆっくり休んで、胃袋の疲れを癒して頂ければと思います。
そして、僕自身は済州島から国内線で釜山に飛び、
ひとり沙上駅近くのモーテルでこれを書いています。
この後は自主取材ということで慶尚道を中心に巡り、
個人的な地方経験値を高めていく予定です。
それらも随時、報告していければと思っていますけどね。
とりあえず食べつくしツアーの最終日に食べたものを、
これまでと同じく、一覧ということで紹介します。
まず冒頭の写真は済州島料理の代表格であるアワビ粥。
これをメインに頂きつつ……。

脂したたるコドゥンオグイ(サバの焼き魚)にも舌鼓を打ちました。
済州島に来るとあれこれいろいろな高級魚に出会いつつも、
地味な存在ながら、サバの旨さにはいつも素直に驚かされます。
食べ慣れたサバに歓声があがるってスゴイことですよね。

湯気の噴き出るケランチム(韓国式の茶碗蒸し)も好評でした。

最後の食事であるランチはカルチグッ(タチウオのスープ)をチョイス。
ぶつ切りのタチウオを、白菜、カボチャと煮込んだ料理ですが、
澄んだスープの、あっさりすっきりとした味わいが持ち味です。
素材の鮮度を、シンプルな調理で活かすのが済州島料理の特徴ですが、
この料理こそ、それを象徴するにふさわしい一品だと思います。

一緒にチャリムルフェ(スズメダイの冷や汁風刺身)も注文。
背骨ごと筒切りにしたスズメダイのカシカシとした噛みごたえと、
千切りキュウリの清涼感を、冷たいスープとともに味わいます。

パンチャン(副菜)には菜の花のナムルの姿も。
こういう地味な済州島らしさを発見するのも楽しい部分ですね。

今回のツアーは全般的にずいぶん自由時間が多かったのですが、
昼食後はなんと3時間もの余裕をもって市場を巡りました。
唐辛子やゴマ油を買ったり、塩辛、アマダイの干物を買ったり。
もちろん3時間ずーっと市場にいなければならない訳でなく、
途中で切り上げて、カフェでのんびりしている方もいらっしゃいました。
僕も自由時間を頂いたので、なにをしようか悩んだ結果……。

掟破りのもう1食。
こっそりひとりでもう1軒行っちゃいました。
解散まで黙っていたので、ツアー参加者のみなさんは、
帰国後にこのブログを見て、唖然としていることと思います。
ツアーでは召し上がって頂けなかった郷土料理のひとつ。
コギグクス(豚スープ麺)です。

豚骨スープに中太の麺を入れて茹で豚を具に載せて。
済州島式のとんこつラーメンといった趣の料理ですね。
今回の出張報告(2)でもコギグクスを紹介しましたが、
店によってだいぶ味が違うということを学びました。

市場での買い出しを終え、空港に向かう途中でさらに寄り道。
済州島スイーツのオメギトク(餡入りの粟餅)をつまみ食いして、
3泊4日の食べつくしツアーは、いよいよ本当に終了です。
最終的にどれほどの料理を食べたか数えきれないほどですが、
おかげさまで3泊4日、済州島料理を最大級に召し上がって頂きました。
個人的にもみなさんの反応を見ながら、
済州島料理の実力を再認識した次第。
やっぱりこの島は、美食あふれる幸せな島です。
いずれまたゆっくり総括もしたいと思いますが、
取り急ぎ、現地からの速報はこんな感じ。
僕自身も仕事を超えておおいに楽しませて頂きました。
ご参加頂いた皆様、そしてスタッフ、関係者の皆様には
改めまして、心からの感謝を伝えたいと思います。
ありがとうございました!
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おかげさまで食べつくしツアーも終盤戦。
かなりの種類、かなりの量を食べつくしてきましたが、
その合間にはきちんと観光もしております。
春の済州島というと、やっぱりこういうイメージですよね。
一面の菜の花畑と後ろに見える城山日出峰という美景。
ここからプロが撮れば、カレンダーの3月を飾る写真になります。
ほかにも遊覧船に乗って海から城山日出峰を眺めたり、
市場や、民俗村など、代表的な観光地も巡っております。
しっかり観光してこそ、食事も美味しく頂けますからね。

そして、いつもの食べたもの一覧ですが、
まず3日目の朝食はコサリユッケジャンからスタート。
ワラビと豚肉を柔らかくほぐしたとろとろのスープです。
済州島でもだいぶ作る人が減ってしまった郷土料理。
とにかく手間がかかる、というのがその理由らしいですが、
こうしてお店で食べられるというのはありがたいことです。

こちらは予定外で追加されたモムクッ。
豚のスープにホンダワラという海草を加えています。
これも済州島ならではの味覚ですね。
朝からスープとごはんでしっかり腹ごしらえをしたら、
あちこち観光に出かけて……。

昼食はトムベゴギ。
まな板に載せた茹で豚を、葉野菜に包んで味わいます。
水で洗って薬味を落とした古漬けキムチと一緒に食べるほか、
・コンブとスズメダイの塩辛
・葉野菜とサムジャン(包み味噌)
といった組み合わせで味わいます。
もともと済州島は豚肉料理の旨い島として有名ですが、
このトムベゴギはその中でもぜひ食べて欲しい料理ですね。
皮付きの豚バラ肉がプルンプルンのとろっとろです。

一緒にカルチグイ(タチウオの焼き魚)も頂きつつ。

一気に飛んで、夕食は「刺身系満韓全席」!
というのは僕が勝手に命名したものですが、
膨大な量の料理がずらり出てくる刺身店に行きました。
約20皿の料理がまずテーブルに並べられた後……。

こうした刺身の盛り合わせが……。

全部で4回出てきます。
第1陣が牡蠣、ホヤ、ユムシなどの珍味類。
第2陣がタチウオ、サーモン、マグロ、エビ。
第3陣が大小のアワビとスズメダイ、サザエ。
第4陣がタイとヒラメ。
ドタバタしていて第1、4陣の写真を撮り忘れたのは内緒ですが、
これらを肴に、粟マッコリ、粟酒をカパカパ飲みました。
いい感じにみんなで酔っ払い、満腹になり、
「もう食べられない!」
というところで……。

さらなるシメがどーんと登場。
アワビの塩辛(肝入り)をどっさり入れた石焼きビビンバと……。

ワタリガニの旨味濃厚な海鮮粥。
最終日の夜を飾るにふさわしい怒涛の満腹コースでした。
いやはや、済州島って本当に幸せな島です。
そして、僕らに残されたミッションはあと2食。
最終日は買い出しを兼ねた市場巡りも予定にあるので、
屋台グルメなどにもチャレンジできればいいですね。
それではこれから、朝ごはんを食べに出かけてきます!
<新刊情報>
韓国料理には、ご用心!
http://www.amazon.co.jp/dp/4883205800/
http://books.rakuten.co.jp/rb/12257440/
<紹介記事>
スポーツソウルジャパン
http://www.sportsseoul.jp/article/read.php?sa_idx=4447
の
八田靖史と行く済州島まるごと食べつくしの旅。
おかげさまで順調に美味しいものを食べ進んでおり、
どうやら本当に食べつくせそうな予感がしてきました。
まだまだツアー途中なので、ざっとではありますが、
食べたものの一覧だけでも報告していきます。
まず朝食として、ヘムルトゥッペギ(海鮮味噌チゲ)。
残念なことに、天然のトコブシには出会えませんでしたが、
アワビ、ミナミアカザエビ、アサリ、ウニなどが入っています。
この磯の香り濃厚なチゲでごはんを食べつつ……。

済州島産の肉厚なアマダイもつつきました。
何度食べてもやっぱり美味しい、済州島ならではの焼き魚です。

天候にも恵まれ、馬羅島のチャジャンミョンも制覇。
麺にヒジキ、緑茶を練り込んだ、自家製麺のジャージャー麺です。
具にはエビとイカも入って、なかなか豪華ですが……。

一緒に頼んだチャンポン(海鮮麺)もかなりのものでした。
大量のムール貝と、エビ、カニ、サザエ、アサリなどなど。
旨味濃厚なスープと、同じく自家製の麺がよく絡みます。

おやつは緑茶と緑茶ケーキ、または紅茶ケーキ。

そして、夕食は黒豚でした。
オギョプサル(皮付き豚バラ肉)の塩焼きに……。

肩ロース部分のヤンニョムグイ(タレ焼き)。
これらの焼肉をひと通り堪能しつつ、
ごはんとテンジャンチゲ(味噌チゲ)にも舌鼓を打ちます。

仕上げはムルネンミョン(スープ冷麺)と……。

ピビムネンミョン(混ぜ冷麺)の両方。
焼肉、ごはん、麺というゴールデンコースで、
身も心も満腹になったのですが……。

最後は有志で済州ビールをぐいっと飲んできました。
いずれの料理ももっと詳細に語りたいところですが、
なにしろ明日も早朝から、食べ歩きの予定が満載。
明日に備えて、このへんで失礼したいと思います。
以上、グルメツアーのリアルタイムダイジェストでした。
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http://www.sportsseoul.jp/article/read.php?sa_idx=4447

八田靖史と行く済州島まるごと食べつくしの旅。
おかげさまで順調に美味しいものを食べ進んでおり、
どうやら本当に食べつくせそうな予感がしてきました。
まだまだツアー途中なので、ざっとではありますが、
食べたものの一覧だけでも報告していきます。
まず朝食として、ヘムルトゥッペギ(海鮮味噌チゲ)。
残念なことに、天然のトコブシには出会えませんでしたが、
アワビ、ミナミアカザエビ、アサリ、ウニなどが入っています。
この磯の香り濃厚なチゲでごはんを食べつつ……。

済州島産の肉厚なアマダイもつつきました。
何度食べてもやっぱり美味しい、済州島ならではの焼き魚です。

天候にも恵まれ、馬羅島のチャジャンミョンも制覇。
麺にヒジキ、緑茶を練り込んだ、自家製麺のジャージャー麺です。
具にはエビとイカも入って、なかなか豪華ですが……。

一緒に頼んだチャンポン(海鮮麺)もかなりのものでした。
大量のムール貝と、エビ、カニ、サザエ、アサリなどなど。
旨味濃厚なスープと、同じく自家製の麺がよく絡みます。

おやつは緑茶と緑茶ケーキ、または紅茶ケーキ。

そして、夕食は黒豚でした。
オギョプサル(皮付き豚バラ肉)の塩焼きに……。

肩ロース部分のヤンニョムグイ(タレ焼き)。
これらの焼肉をひと通り堪能しつつ、
ごはんとテンジャンチゲ(味噌チゲ)にも舌鼓を打ちます。

仕上げはムルネンミョン(スープ冷麺)と……。

ピビムネンミョン(混ぜ冷麺)の両方。
焼肉、ごはん、麺というゴールデンコースで、
身も心も満腹になったのですが……。

最後は有志で済州ビールをぐいっと飲んできました。
いずれの料理ももっと詳細に語りたいところですが、
なにしろ明日も早朝から、食べ歩きの予定が満載。
明日に備えて、このへんで失礼したいと思います。
以上、グルメツアーのリアルタイムダイジェストでした。
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八田靖史と行く済州島まるごと食べつくしの旅。
無事、初日がスタートしております。
今回は全部で11名の方々にご参加頂きました。
昨年の江原道ツアーに比べると、こじんまりですが、
みんなと話をするには、正直このぐらいが僕は嬉しいです。
済州空港でみなさまとご挨拶を交わし、そのまま昼食。
冒頭の写真、コガルフェ(サバとタチウオの刺身)に……。

ソンゲクッ(ウニ入りワカメスープ)。

そして、ケクチュリジョリム(カワハギの煮付け)。
最初の食事から、なかなかのボリュームで飛ばしています。

オヤツに西帰浦オルレ市場名物のモダッチギ。
トッポッキ(韓国餅の炒め物)の豪華版だと思ってください。
海苔巻き、オデン、餃子、チヂミ、茹で卵が沈んでいます。

夕食はコドゥンオジョリム(サバの煮付け)に……。

ビジュアルが強烈な、記憶に残るヘムルタン(海鮮鍋)。
アワビの下には、ワタリガニ、テナガダコ、大量のアサリ、
大量のミナミアカザエビ、といった面々も隠れています。

インスタントラーメンをシメに入れて……。

デザートはハルラボン(デコポン)と巨大なイチゴ。
初日だから胃袋にも余裕があるだろうとの見込みでしたが、
いやあ、みなさん本当によく召し上がって頂いています。
この勢いなら、本当に3泊4日で相当の料理を食べつくせますね。
明日以降も、目一杯楽しんでいきたいと思います。
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済州島ツアーに先駆けて2日前乗りしたおかげで、
なんとかツアー終了までの締切をすべて片付けられました。
これで原稿の心配をすることなくツアーに専念できます。
そのせいで食事以外はモーテルにこもりきりでしたけどね。
缶詰状態というのは仕事がはかどるので助かります。
そんな事情から、あまり積極的ではない食べ歩きですが、
出張1~2日目の成果を一覧で紹介したいと思います。
といっても詳細はまた書くので、あくまでもざっとということで。
まず、冒頭の写真が牛の希少部位焼肉。
・チャドルバギ(牛バラ肉)
・チェビチュリ(カルビの内側にある肉)
チェビチュリはお店の人が、
「カルビとハラミの間あたりの肉!」
と説明してくれましたが、日本だとなんと呼ぶんですかね。
ハラミに近いような食感で、なかなかに旨味が凝縮していました。

こちらはケクチュリジョリム(カワハギの煮付け)。
ツアーにも入っていますが、済州島料理の中でも好みの1品です。
2尾のサイズが大小でしたが、大きいほうは肝が美味しく、
小さいほうは、大きいほうに比べて身が美味しかったです。
それぞれに魅力があるものだ、ということを学んだ次第。

Twitterでもつぶやきましたが、2日目の朝はコギグクス。
豚骨スープに、中麺(中太のストレート麺)が入っています。
茹で豚がたっぷり載るので、
「韓国版とんこつチャーシュー麺!」
といった感じの料理。
済州島にしかない料理ですが、
済州島では至るところで見かけます。

こちらもTwitterでつぶやいたパンオフェ(ブリの刺身)。
・ペッサル(腹側の身)→周辺部分
・トゥンサル(背中側の身)→中央
・チヌロミ(?)→右下の赤いもの
という3種類が盛り合わせになっています。
チヌロミだけがよくわからなかったのですが、
普通に訳すとチヌロミは「ヒレ(鰭)」の総称。
どこかは不明ですが、希少部位として扱われているようです。
なんとなくハツ刺しを食べているような食感で、
ゴマ油と塩のタレにつけて食べろ、という説明でした。
ほかにもペッサルは白菜キムチと一緒に、
トゥンサルはサムジャン(包み味噌)で食べるようです。
ワサビ醤油もありましたが、食べ方もだいぶ違いますね。

ブリの刺身と一緒に頼んだティギム(天ぷら)。
盛り合わせもできるとのことで、3種盛りにしてもらいました。
左から、
・メル(カタクチイワシ)
・パンオ(ブリ)
・オサルチ(キス)
という3種類。
メルとオサルチはそれぞれ済州島の方言で、
標準語だとそれぞれミョルチ、ポリミョルと呼ばれます。
地方に出ると、方言と標準語のすり合わせが大変。
ひとつひとつ食べながら勉強ですね。
といったところで、ここまでに食べたものは以上。
今回はツアー以外、いずれも自主的な取材なので、
いくらでも情報を垂れ流し放題なのがとても気楽です。
時間との勝負ではありますが、出来るだけ報告を頑張ります。
あとは本の宣伝もしながらですね。
新刊「韓国料理には、ご用心!」はおかげさまで出だし好調。
Amazonのランキングでもなかなかいい順位を記録しています。
楽天のほうでも扱いが始まりました。
韓国料理には、ご用心!
http://www.amazon.co.jp/dp/4883205800/
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<紹介記事>
スポーツソウルジャパン
http://www.sportsseoul.jp/article/read.php?sa_idx=4447

昨日から済州島にやってきています。
土曜日からの済州島グルメツアーに備えて、
参加者のみなさんより先に到着しました。
すっかり春の気分で来ましたが、さすがに風が強く、
気温も下がって、けっこう寒いのに驚きました。
午前9時現在の気温は9度、今日の最高気温が13度。
週末にかけて、さらに寒くなるとの予報もあるので、
ツアー参加者のみなさんはご参考ください。
冒頭の写真は飛行機から眺めた漢拏山。
なお、今回の出張はちょっと長めに設定し、
ツアーの後もそのまま残ってウロウロする予定。
済州島から慶尚道方面に移動して食べ歩きをしつつ、
少しずつ北上して、4月1日にソウルから帰国の予定です。
その間、ブログでも随時報告したいと思い、
タイトルを「出張報告(1)」としました。
1があれば、2も3も、それ以降もきっとあるはず。
自分自身に向けてしっかりプレッシャーをかけてみました。
まずは到着報告ですが、今後にご期待ください。

そして、こちらの報告もせねばですね。
新刊の「韓国料理には、ご用心!」は本日発売。
一部、ネット書店では明日の発売にもなっておりますが、
早いところでは、今日から書店にも並ぶはずです。
韓国料理には、ご用心!
http://www.amazon.co.jp/dp/4883205800/
また、本の紹介記事も少しずつ出始めました。
スポーツソウルジャパン
http://www.sportsseoul.jp/article/read.php?sa_idx=4447
スポーツソウルジャパンは、韓国スポーツ誌の日本版サイト。
韓流情報とともに、社屋のある新大久保情報も発信しています。
そんな縁から、今回の本も記事に取り上げて頂きました。
一部、紙面イメージも出ていますので、ぜひご覧ください。
また、スポーツソウルジャパンでは書籍紹介のほかにも、
SNSと連動した「イベント」なども仕掛けて頂けるとのこと。
そのあたりの情報もまたお知らせしたいと思います。
取り急ぎ、以上、到着の報告と新刊発売のお知らせ。
そろそろ朝食として狙っているお店の開店時間なので、
このあたりで本日の食べ歩きに出発したいと思います。
コリアうめーや!!第289号
<ごあいさつ>
3月15日になりました。
花粉が飛び散る、たいへんな時期です。
朝起きれば目がシバシバして開かず、
鼻は詰まるし、クシャミは出るし。
薬が効いているうちはいいのですが、
切れ始めのあたりがけっこうしんどいです。
春になって暖かくなるのは歓迎ですが、
毎年、花粉症には悩まされますね。
さて、そんな中、今号のテーマですが、
ちょっと迷走したような内容に仕上がりました。
一応、着地点はしっかりしているはずですが、
むしろ爆弾的なオチになっているかも。
右往左往するような文章を逆に楽しみつつ、
最後まで読み進めて頂ければ幸いです。
コリアうめーや!!第289号。
まぶしさを問いかける、スタートです。
<波乱万丈だった2003年のオレ!!>
明日発売の「韓国語ジャーナル44号」で、
フォトライターの栗原景さんと対談をさせて頂いた。
全体のタイトルが、
「これからのために、これまでの10年の話をしよう」
となっており、僕ら以外にも、
多くの専門家が10年を振り返って語った。
・韓流の10年
・字幕翻訳の10年
・韓国留学の10年
といった切り口があり、
いずれも時代を感じられて面白い。
韓国語ジャーナルはたいへん残念なことに、
この号をもって休刊となることが決まっている。
ひと区切りをつけるという意味では、
日韓の未来を見据える、絶好の企画だった。
そしてまた、来週の21日(木)になると、
今度は僕の新刊も発売になったりする。
「韓国料理には、ご用心!」
という少し刺激的なタイトルだが、
決して韓国料理を否定的に叩くような趣旨ではない。
むしろ、韓国料理への愛情を最大限に込め、
「ご用心=身近な存在になってきたから関心を持とう」
という意味で全体を語っている。
主たるテーマはこんな感じ。
第1章:新大久保がコリアンタウンになった理由
第2章:「食の韓流」と新定番料理の台頭
第3章:日本で進化するマッコリ
第4章:日本の食卓に浸透する韓国料理
第5章:韓食の世界化と韓食の日本化
日本におけるここ10年ほどの韓国料理を、
ギュッとひとまとめに整理をしたという内容だ。
韓国語ジャーナルが10年。
僕の新刊もやっぱり10年。
突然、10年にこだわりだしているのは、
やはり今年が、
「韓流10年!」
という節目の年だからだろう。
NHK-BSにおける『冬のソナタ』の放映が、
2003年4月に始まっており、それを起点とした計算だ。
そんな意味から今年は振り返りがブーム。
そう勝手ににらみ、このメルマガでもなにかできないか、
ひと通り、いろいろな可能性を模索してみた。
まず考えたのは、メルマガの10年だが、
これは創刊が2001年なので、ちょっとキリが悪い。
じゃあ、僕の個人的な10年だったらどうだろう。
といったところから、ふと思ったのが、
「あれ、10年前って何してたっけ?」
という素朴な疑問。
留学から帰ってきたのが2000年末で、
その翌年に大学へ戻り、2002年3月に卒業。
就職せずにフリーター兼フリーライターの道を歩み、
なにやら日々を無為に過ごしていた頃である。
「えーと、10年前、10年前……」
と当時の記録を発掘してみると、
意外なことに、なかなか波乱万丈な日々だった。
「面白いじゃないか、10年前のオレ!」
というところから、この10年間ではなく、
方針転換をして、きっかり10年前の自分を振り返る。
コリアン・フード・コラムニストは韓流黎明期に、
どんな活動をして、何を頑張っていたのか。
語ったところで、誰も得をしないような内容だが、
振り返りブームにかこつけて、無駄に書き綴ってみる。
そもそも、このメルマガは2001年3月の創刊で、
この3月15日配信号は、なんと丸12周年の記念号。
そのぐらいのワガママは許されてしかるべきだろう。
うん、そうだろう、そうだろう。
まず、自分の10年前を振り返るに当たって、
もっとも詳細な記録といえるのが、
「週刊サメガレイ」
と題された友人向けの私的メールマガジンである。
僕はこれを留学直後の2001年1月から書き始め、
2006年2月まで全235号を重ねた。
日々のよしなしごとを自由気ままに書いては、
友人らに宛てて、勝手に送りつけるというスタイル。
これがいま見ると、いい感じの記録になっている。
それらをすべて読み返してみたところ、
僕の2003年にはこんなことがあった。
月ごとの単位で大きなものを並べてみる。
・01月:韓国出張(30日間)
・02月:自宅引きこもり月間(旅行記を執筆)
・03月:自宅引きこもり月間(旅行記を執筆)
・04月:韓国のテレビ番組取材を受ける
・05月:アルバイトを再開する
・06月:韓国出張(約2週間)
・07月:『八田式「イキのいい韓国語あります。」』発売
・08月:韓国出張(約1週間)
・09月:韓国出張(2泊3日)
・10月:大学で初めての講演
・11月:コラム執筆&ビジネス文書の翻訳などに奔走
・12月:韓国出張(3泊4日)
ざっと見て、まず思うのが韓国出張の頻度。
1月に30日間かけて韓国一周したのを筆頭に、
全部で5回、合計で2ヶ月も滞在している。
しかも、出張とカッコよく書いているものの、
ほとんどが自腹出張であり、要は旅行だ。
よくそんなお金があったものだとも思うが、
1月の出張は、眞露から奨学金をもらっていた。
食の日韓交流という企画に応募をしたところ、
見事合格して50万円をもらったのである。
そのおかげで地方料理をひと通り体験できたのは、
いま振り返っても、大きな幸運だったといえる。
その後、僕は2ヶ月に渡って自宅にこもり、
韓国一周の旅行記を、ひたすら黙々と書いた。
なにやら旅行作家のような暮らしぶりだが、
決して依頼された原稿ではなく、ただの自主的な執筆。
事実、400ページ強の原稿を書き上げたものの、
どこにも発表されず、ハードディスクに眠っている。
ライターの卵といえば聞こえはよいものの、
奨学金以外の収入はないのだから、ほとんどニート。
直球で語れば、ただのアクティブな無職だ。
自由気ままではあるが、26歳にもなって、
よくもまあ、こんな生活をしていたものだと思う。
いま僕が26歳の自分に会ったとしたら、
間違いなく、人生をナメるなと説教するはずだ。
……と書いたところで、思い出したが、
そういえばこの時期、周囲の大人からよく説教されていた。
僕が人生をナメてて、耳を貸さなかっただけで、
良識ある人たちはみな心配してくれていたのだろう。
10年経ってようやくその気持ちがわかった。
ただ、闇雲ながらも自らの道を突き進んだことで、
僕のもとにはこの年、大きな幸運が降ってきた。
・04月:韓国のテレビ番組取材を受ける
・07月:『八田式「イキのいい韓国語あります。」』発売
・10月:大学で初めての講演
メディアからの取材、書籍の出版、そして講演。
これらはいまの僕にとって、それぞれ重要な仕事だが、
それぞれが「初体験!」として凝縮されている。
・11月:コラム執筆&ビジネス文書の翻訳などに奔走
また、ライターの仕事をもらい始めたのもこの頃。
2003年の前半は、まるっきりニートであったが、
後半はヨチヨチ歩きながらも仕事をしている。
僕がライター活動を始めたのは2001年だが、
身を立て始めたのは、この時期からだろう。
だが、いま思いついて当時の確定申告書を見たら、
手取りの年収が、アルバイトを含めて106万しかなかった。
実家に住んでいたので、食べる、寝るは困らなかったが、
よく生きてたなオレ、と改めてあきれる次第である。
やっぱりこの26歳は人生をナメていた。
というところまで書いて、まとめなのだが、
この唐突で中身のない自分語りは、
「それでもこの2003年はまぶしく見える!」
という部分に着地をする。
まあ、10年経ったオレが見るのだから、
過去の若さがまぶしいのは、ある意味当然のこと。
とはいえ10年前の自分をうらやむのは悔しい。
むしろ、さらに10年後のオレに、
「2013年はまぶしく見える!」
といわせるために頑張らねばならない。
例えば、新刊の「韓国料理には、ご用心!」が、
僕の代表作に成長すれば、革命的な年になる。
すると、これは是が非でもたくさん売れねばならない。
「だから、みんな買ってね!」
というのがオチ。
……ではなく、話はもうひとひねりする。
実はしばらく前から考えていたことなのだが、
少し新しいことを始めたいと思う。
本が売れて代表作になるのとは別に、
新しいことに挑戦する2013年としたい。
まだまったく具体的ではないのだが、
やりたいのは発信の場をリニューアルすること。
あちこちに書き散らかして散漫になっているのを、
少し整理して体勢を立て直したいのだ。
それに伴って……。
このメルマガは今年で閉じようと思う。
キリよく、9月1日配信の第300号で最終回。
残りあと11号で、おしまいにする。
以上、突然の終了宣言。爆弾発言。
2013年は心機一転、再始動の年。
<お知らせ>
3月21日(木)に新刊が発売になります。
タイトルは「韓国料理には、ご用心!」。
版元は三五館、定価は1260円(税込)。
ここ10年ほどの日本における韓国料理事情を、
ギュッとまとめて整理をしたという内容です。
http://koriume.blog43.fc2.com/blog-entry-1503.html
<リンク>
ブログ「韓食日記」
http://koriume.blog43.fc2.com/
Twitter
http://twitter.com/kansyoku_nikki
FACE BOOK
http://www.facebook.com/kansyokunikki
<八田氏の独り言>
創刊から13年目を迎えての決断。
まずは最終回まで全力を尽くします。
コリアうめーや!!第289号
2013年3月15日
発行人 八田 靖史
hachimax@hotmail.com
メールマガジン購読・解除用ページ
http://www.melonpan.net/melonpa/mag-detail.php?mag_id=000669
<ごあいさつ>
3月15日になりました。
花粉が飛び散る、たいへんな時期です。
朝起きれば目がシバシバして開かず、
鼻は詰まるし、クシャミは出るし。
薬が効いているうちはいいのですが、
切れ始めのあたりがけっこうしんどいです。
春になって暖かくなるのは歓迎ですが、
毎年、花粉症には悩まされますね。
さて、そんな中、今号のテーマですが、
ちょっと迷走したような内容に仕上がりました。
一応、着地点はしっかりしているはずですが、
むしろ爆弾的なオチになっているかも。
右往左往するような文章を逆に楽しみつつ、
最後まで読み進めて頂ければ幸いです。
コリアうめーや!!第289号。
まぶしさを問いかける、スタートです。
<波乱万丈だった2003年のオレ!!>
明日発売の「韓国語ジャーナル44号」で、
フォトライターの栗原景さんと対談をさせて頂いた。
全体のタイトルが、
「これからのために、これまでの10年の話をしよう」
となっており、僕ら以外にも、
多くの専門家が10年を振り返って語った。
・韓流の10年
・字幕翻訳の10年
・韓国留学の10年
といった切り口があり、
いずれも時代を感じられて面白い。
韓国語ジャーナルはたいへん残念なことに、
この号をもって休刊となることが決まっている。
ひと区切りをつけるという意味では、
日韓の未来を見据える、絶好の企画だった。
そしてまた、来週の21日(木)になると、
今度は僕の新刊も発売になったりする。
「韓国料理には、ご用心!」
という少し刺激的なタイトルだが、
決して韓国料理を否定的に叩くような趣旨ではない。
むしろ、韓国料理への愛情を最大限に込め、
「ご用心=身近な存在になってきたから関心を持とう」
という意味で全体を語っている。
主たるテーマはこんな感じ。
第1章:新大久保がコリアンタウンになった理由
第2章:「食の韓流」と新定番料理の台頭
第3章:日本で進化するマッコリ
第4章:日本の食卓に浸透する韓国料理
第5章:韓食の世界化と韓食の日本化
日本におけるここ10年ほどの韓国料理を、
ギュッとひとまとめに整理をしたという内容だ。
韓国語ジャーナルが10年。
僕の新刊もやっぱり10年。
突然、10年にこだわりだしているのは、
やはり今年が、
「韓流10年!」
という節目の年だからだろう。
NHK-BSにおける『冬のソナタ』の放映が、
2003年4月に始まっており、それを起点とした計算だ。
そんな意味から今年は振り返りがブーム。
そう勝手ににらみ、このメルマガでもなにかできないか、
ひと通り、いろいろな可能性を模索してみた。
まず考えたのは、メルマガの10年だが、
これは創刊が2001年なので、ちょっとキリが悪い。
じゃあ、僕の個人的な10年だったらどうだろう。
といったところから、ふと思ったのが、
「あれ、10年前って何してたっけ?」
という素朴な疑問。
留学から帰ってきたのが2000年末で、
その翌年に大学へ戻り、2002年3月に卒業。
就職せずにフリーター兼フリーライターの道を歩み、
なにやら日々を無為に過ごしていた頃である。
「えーと、10年前、10年前……」
と当時の記録を発掘してみると、
意外なことに、なかなか波乱万丈な日々だった。
「面白いじゃないか、10年前のオレ!」
というところから、この10年間ではなく、
方針転換をして、きっかり10年前の自分を振り返る。
コリアン・フード・コラムニストは韓流黎明期に、
どんな活動をして、何を頑張っていたのか。
語ったところで、誰も得をしないような内容だが、
振り返りブームにかこつけて、無駄に書き綴ってみる。
そもそも、このメルマガは2001年3月の創刊で、
この3月15日配信号は、なんと丸12周年の記念号。
そのぐらいのワガママは許されてしかるべきだろう。
うん、そうだろう、そうだろう。
まず、自分の10年前を振り返るに当たって、
もっとも詳細な記録といえるのが、
「週刊サメガレイ」
と題された友人向けの私的メールマガジンである。
僕はこれを留学直後の2001年1月から書き始め、
2006年2月まで全235号を重ねた。
日々のよしなしごとを自由気ままに書いては、
友人らに宛てて、勝手に送りつけるというスタイル。
これがいま見ると、いい感じの記録になっている。
それらをすべて読み返してみたところ、
僕の2003年にはこんなことがあった。
月ごとの単位で大きなものを並べてみる。
・01月:韓国出張(30日間)
・02月:自宅引きこもり月間(旅行記を執筆)
・03月:自宅引きこもり月間(旅行記を執筆)
・04月:韓国のテレビ番組取材を受ける
・05月:アルバイトを再開する
・06月:韓国出張(約2週間)
・07月:『八田式「イキのいい韓国語あります。」』発売
・08月:韓国出張(約1週間)
・09月:韓国出張(2泊3日)
・10月:大学で初めての講演
・11月:コラム執筆&ビジネス文書の翻訳などに奔走
・12月:韓国出張(3泊4日)
ざっと見て、まず思うのが韓国出張の頻度。
1月に30日間かけて韓国一周したのを筆頭に、
全部で5回、合計で2ヶ月も滞在している。
しかも、出張とカッコよく書いているものの、
ほとんどが自腹出張であり、要は旅行だ。
よくそんなお金があったものだとも思うが、
1月の出張は、眞露から奨学金をもらっていた。
食の日韓交流という企画に応募をしたところ、
見事合格して50万円をもらったのである。
そのおかげで地方料理をひと通り体験できたのは、
いま振り返っても、大きな幸運だったといえる。
その後、僕は2ヶ月に渡って自宅にこもり、
韓国一周の旅行記を、ひたすら黙々と書いた。
なにやら旅行作家のような暮らしぶりだが、
決して依頼された原稿ではなく、ただの自主的な執筆。
事実、400ページ強の原稿を書き上げたものの、
どこにも発表されず、ハードディスクに眠っている。
ライターの卵といえば聞こえはよいものの、
奨学金以外の収入はないのだから、ほとんどニート。
直球で語れば、ただのアクティブな無職だ。
自由気ままではあるが、26歳にもなって、
よくもまあ、こんな生活をしていたものだと思う。
いま僕が26歳の自分に会ったとしたら、
間違いなく、人生をナメるなと説教するはずだ。
……と書いたところで、思い出したが、
そういえばこの時期、周囲の大人からよく説教されていた。
僕が人生をナメてて、耳を貸さなかっただけで、
良識ある人たちはみな心配してくれていたのだろう。
10年経ってようやくその気持ちがわかった。
ただ、闇雲ながらも自らの道を突き進んだことで、
僕のもとにはこの年、大きな幸運が降ってきた。
・04月:韓国のテレビ番組取材を受ける
・07月:『八田式「イキのいい韓国語あります。」』発売
・10月:大学で初めての講演
メディアからの取材、書籍の出版、そして講演。
これらはいまの僕にとって、それぞれ重要な仕事だが、
それぞれが「初体験!」として凝縮されている。
・11月:コラム執筆&ビジネス文書の翻訳などに奔走
また、ライターの仕事をもらい始めたのもこの頃。
2003年の前半は、まるっきりニートであったが、
後半はヨチヨチ歩きながらも仕事をしている。
僕がライター活動を始めたのは2001年だが、
身を立て始めたのは、この時期からだろう。
だが、いま思いついて当時の確定申告書を見たら、
手取りの年収が、アルバイトを含めて106万しかなかった。
実家に住んでいたので、食べる、寝るは困らなかったが、
よく生きてたなオレ、と改めてあきれる次第である。
やっぱりこの26歳は人生をナメていた。
というところまで書いて、まとめなのだが、
この唐突で中身のない自分語りは、
「それでもこの2003年はまぶしく見える!」
という部分に着地をする。
まあ、10年経ったオレが見るのだから、
過去の若さがまぶしいのは、ある意味当然のこと。
とはいえ10年前の自分をうらやむのは悔しい。
むしろ、さらに10年後のオレに、
「2013年はまぶしく見える!」
といわせるために頑張らねばならない。
例えば、新刊の「韓国料理には、ご用心!」が、
僕の代表作に成長すれば、革命的な年になる。
すると、これは是が非でもたくさん売れねばならない。
「だから、みんな買ってね!」
というのがオチ。
……ではなく、話はもうひとひねりする。
実はしばらく前から考えていたことなのだが、
少し新しいことを始めたいと思う。
本が売れて代表作になるのとは別に、
新しいことに挑戦する2013年としたい。
まだまったく具体的ではないのだが、
やりたいのは発信の場をリニューアルすること。
あちこちに書き散らかして散漫になっているのを、
少し整理して体勢を立て直したいのだ。
それに伴って……。
このメルマガは今年で閉じようと思う。
キリよく、9月1日配信の第300号で最終回。
残りあと11号で、おしまいにする。
以上、突然の終了宣言。爆弾発言。
2013年は心機一転、再始動の年。
<お知らせ>
3月21日(木)に新刊が発売になります。
タイトルは「韓国料理には、ご用心!」。
版元は三五館、定価は1260円(税込)。
ここ10年ほどの日本における韓国料理事情を、
ギュッとまとめて整理をしたという内容です。
http://koriume.blog43.fc2.com/blog-entry-1503.html
<リンク>
ブログ「韓食日記」
http://koriume.blog43.fc2.com/
http://twitter.com/kansyoku_nikki
FACE BOOK
http://www.facebook.com/kansyokunikki
<八田氏の独り言>
創刊から13年目を迎えての決断。
まずは最終回まで全力を尽くします。
コリアうめーや!!第289号
2013年3月15日
発行人 八田 靖史
hachimax@hotmail.com
メールマガジン購読・解除用ページ
http://www.melonpan.net/melonpa/mag-detail.php?mag_id=000669

「萌え~!」
というセリフを、まさか自分の本に向けて発するとは。
かわいらしい女の子が、マッコリとチゲを手にしています。
このビジュアルで、タイトルが、
「韓国料理には、ご用心!」
というのだから、インパクトは絶大であるはず。
思わず手に取って、中身を確かめずにはいられない。
そんな装丁に仕上げて頂いたことに感謝したいと思います。
出版社は三五館、発売日は3月20日(水)ですが、
祝日になっているので、書店に並ぶのは多少前後するかも。
定価は1260円(税込)となっております。
まだ、ネット書店には情報が出ていないようなので、
予約や購入が可能になったら、またお伝えしますね。
そして中身についてですが、まずは……。
・台湾人には、ご用心!
・韓国人には、ご用心!
・インド人には、ご用心!
・中国人には、ご“用心"!
・関西人には、ご用心!
こういったラインナップをご確認ください。
いずれも三五館から発売された本で、
編集部では「ご用心!シリーズ」と呼ばれています。
僕の本は対象が料理なので、内容面で少し異なりますが、
表紙のイメージも含め、一連のシリーズ作品ということです。
ちなみにどの作品も目を通して頂くとわかりますが、
その国の人に対する深い知識と愛情に満ちあふれています。
一般的に「ご用心!」というとマイナスのイメージが先立ちますが、
警戒を促すのではなく、関心を持とうという誘いの意味で使われています。
僕が書いた「韓国料理には、ご用心!」も同じく……。
「日本でも韓国料理は身近な存在になってきた」
「すでに日本の食卓に韓国料理は定着、浸透しつつある」
「だから注意を払って関心を持つべし!」
という意味の用語。
韓国料理を否定的に見る内容ではありません。

実際の章立てはこんな感じになっています。
第1章:新大久保がコリアンタウンになった理由
第2章:「食の韓流」と新定番料理の台頭
第3章:日本で進化するマッコリ
第4章:日本の食卓に浸透する韓国料理
第5章:韓食の世界化と韓食の日本化
新大久保の話題、韓流と連動した新たな韓国料理の話題、
そしてマッコリの話題に、家庭で食べる韓国関連商品の話題。
最後に世界化を進める韓国料理と日本の関係についての話題。
ということからわかると思いますが、フィールドは日本です。
韓流以降、ここ10年ほどの日本における韓国料理事情を、
ギュッとひとまとめに整理した、というのがいちばんの売りです。
まあ、そうやって書くとなにやらご大層な感じですが、
このブログを読んでいる方にとっては、たぶん「韓食日記ダイジェスト」。
一部の引用を除き、テキストはすべて新しく起こしたものではありますが、
どこかで読んだような話が、多数収録されているかと思います。
また、2006年9月から2012年3月にかけて連載した、
アサヒコムのコラムもかなり下地になっています。
アサヒコム「コリアうめーや!!」記事一覧。
http://koriume.blog43.fc2.com/blog-entry-1373.html
僕にとってはひとつの集大成といえる本なので、
韓国料理に興味のある方には、ぜひ読んで頂きたいと思います。
あとは、韓国料理に仕事でかかわる人たちにもですね。
メディアの方、飲食店の方、メーカーの方などにとっては、
便利なアンチョコであり、またヒント集にもなっているはず。
いろいろ仕掛けを施しましたので、そのあたりも見どころです。
媒体の方は、ご書評、また読者プレゼントへの提供なども、
準備がありますので、よかったらぜひお声かけください。
当面はこの宣伝、営業を、目一杯頑張りたいと思います。

「るるぶ韓国ソウル・釜山・済州島'14」は明日8日発売です。
昨年11月の取材は、この中にすべて詰め込みました。
今年の「るるぶ韓国」はソウルの最新情報が充実しています。
僕のグルメ取材だけでも、新規オープンの店がかなりを占めました。
これから韓国に行く方には、必見の情報が満載です。
また、表紙の下部に、
「韓国通30人の最強クチコミ案内」
という文字が見えるかと思います。
ありがたいことに、韓国通のひとりに加えて頂きました。
発売中の「るるぶソウル」ほどではありませんが、
おかげさまで今回も顔出しで載せて頂いております。
るるぶ韓国ソウル・釜山・済州島'14
http://www.amazon.co.jp/dp/4533090133/
http://books.rakuten.co.jp/rb/12211953/
ちなみに昨年は地方都市の取材がメインだったので、
発売のお知らせとともに、巡った都市の写真を載せました。
今年はひたすらソウルだったので、どうしようかなと思いつつ……。

取材の合間に見つけたユニークな看板を紹介します。
こちらは昨年夏に大ヒットした即席レモネードの屋台ですが、
冬になっても、ホットで生き残っておりました。
ただ、ひとつ不思議に思ったのは……。
なぜ「レモンエイド」と「レモネード」で表記を分けたのかという点。
たぶん「エイド=炭酸入り」という意図なのでしょうが、
こうして並ぶと、んんん? と一瞬躊躇しました。

こちらは三清洞で見つけた看板。
日本式のとんかつ、カツ丼専門店ということで、
店名の「はら」を冠して、それぞれのメニューにしています。
歩いていて、たまたま最初に視界へ入ったのが、
「はらひれかつ」
だったのですが、これを僕は「はらひれ・かつ」と誤読。
なんかヨタヨタと崩れ落ちるようなカツを想像し、
びっくりして周囲も見回したところ、ああ「はら・ひれかつ」かと。
約2秒の間に、驚きと納得が交錯した看板でした。

東大門の屋台で撮ったひとコマ。
カリッと揚がったティギム(天ぷら)が美味しそうですが……。

全部、カレー味というのは意表を突かれました。

同じく東大門近辺で撮った日式料理店の看板。
日式料理店で看板が「イルボン」になっているので、
すっかり「日本」だと思ったのですが、どうも小さな違和感が。
さらっと通り過ぎたのを、もう1度戻ってわざわざ確認したところ、
「ボン」のスペルが違っていました(本はパッチムがニウン)。
こりゃまたどういうことかと疑問に思ってあたりを見ると……。

路地の中に答えがありました。
漢字で「一峰」と書いて「イルボン」でしたか。
韓国語はよく似た発音の漢字語がたくさんあるので、
油断をしていると大きな間違いを犯します。
パッチムひとつでも、しっかり確認せねばなりません。

あるいは安国あたりで見つけた老舗中華料理店の看板。
なかなかに風格のある筆致で、思わず視線を奪われました。
でも、よーく見ると「華」の字がなんか変じゃないですか?

階段の途中にあった看板はますます不思議な文字に。
日本語の誤植などもよく見かけますし、
これはきっと漢字を適当に書いちゃったんだろうなと。
そう思って撮ったのですが、調べてみるとこういう異体字があるようで。
「韓国は漢字の扱いが雑だからなあ!」
と偉そうなことを言うところでしたが、
ギリギリなんとか自分の無知をさらさずに済みました。
んー、漢字の世界も奥が深いですねぇ。

最後は英語の部分にご注目。
韓国ではしばらく前からとろとろに柔らかく仕上げた、
スプーンですくって食べるピザというのが人気です。
これが登場したことで従来のピザは、
「持って食べるピザ(トゥルゴ モンヌン ピジャ)」
という呼ばれ方をするようにもなりました。
そこでひとつ疑問が生じたのですが、
この看板による英語表記は「spoon pizza」
あるいは「spoony pizza」というのも見かけました。
じゃあ、持って食べるほうはなんていうんだろう?
「handy pizza」
とかを想像してみましたが、検索には引っかかりません。
飲食店では「thin pizza」とする例もありましたが、
これは直訳すると「薄いピザ」なので意味が少しずれるかなと。
もし誰かご存知の方がいれば、ぜひ教えてください。
といったもろもろの素朴な疑問を抱きつつ、
町の看板を写真に撮るのが、取材中の密かな楽しみ。
韓国に限った話ではありませんが、
「看板の鑑賞!」
というのはお金も時間もかからない手軽な趣味です。

大阪の「スントゥブOKKII」からレトルト商品発売!
ということでサンプルを送って頂きました。
実際の発売は3月下旬からということらしいので、
ひと足先に試食させて頂いたことになります。
2003年の創業から、今年で丸10年を迎えるパイオニア店。
自宅でも楽しめるようになったのは嬉しいですね。
まして東京に住んでいると、なおさら食べに行くのが難しいですし。
ちなみに過去、取材で1度、食事で1度お邪魔しました。
せっかくなので、過去の記事も載せておきますね。
asahi.com/コリアうめーや!!(大阪のスンドゥブチゲ事情)
http://www.asahi.com/international/korea/TKY200806260138.html
箕面「soontubu OKKII箕面店」で牛とろとろスントゥブ。
http://koriume.blog43.fc2.com/blog-entry-807.html
なお、頂いた送り状によればパッケージはまだサンプルで、
実際に販売されるものとは、多少色合いが異なるそうです。

とはいえ、このへんの……。

ぐっとくるフレーズはたぶんそのままでしょう。
アメリカ、ロサンゼルスで修業をなさったお店であるがゆえに、
このあたりはレトルト商品であってもこだわるべき部分です。
牛骨スープをベースに、トッピングや辛さを選ぶことができて、
なおかつ焼肉メニューなどとの定食形式にもなるのが通称LA式。
スンドゥブチゲという料理が、まずアメリカに渡って評判を呼び、
そこから日本にやってきた経緯を、そのまま象徴する姿です。

頂いたのは2辛の商品でしたが、これがまず先行発売され、
夏に大辛、秋に0辛と、順次商品を送り出していくそうです。
韓国好きとしては、ぜひ大辛にもチャレンジしたいですね。

実際に作ってみたのがコチラ。
ストレートスープなので……。
1、鍋にスープを入れて火にかける
2、煮立ったら豆腐を入れて5分ほど煮込む
3、仕上げに生卵を加えて出来上がり
と至って手軽です。
最初なので、まずは豆腐と卵だけで作りましたが、
1のところで豚肉、キノコ、ネギなどを加えてもよいそうです。
チーズを入れるとマイルドに、という情報もありましたね。
ただ、2辛だけに辛さ自体はそこまでではありません。
ベースとなっている牛骨スープの濃厚さがいい具合で出ているので、
それがまろやかさにもつながっている印象です。
「うん、これは間違いなくLA式!」
と思える感じに仕上がっているのはさすがですね。
また、これだけベースがしっかりしているなら、
海鮮系あたりの具を足すことでさらに美味しくなりそう。
例えば、エビ、牡蠣、ホタテあたりを贅沢に投入すると、
お店の海鮮スンドゥブにぐっと近付きそうです。
一応、パッケージには1人前と書いてありましたが、
豆腐が300gの指定なので、家庭なら2人前は充分あると思います。
むしろ指定の量だと、若干、塩味が強めに感じられたので、
なにか具を足すことで、ボリュームを増やすとよりいいかもですね。
なお、値段はメーカー希望小売価格で1袋350円。
当面は大阪を中心にスーパーなどで販売される予定だそうです。

ちなみにお店で食べるとこんな感じ。
自家製豆腐に釜炊きごはんという魅力があるので、
レトルトもいいですが、やっぱりお店でというのも大事ですね。
むしろ相乗効果として、どんどん人気を高めて欲しいと思います。
あとは早く東京でも買えるようにして頂けると嬉しいです!
スントゥブOKKII豊中店
大阪府豊中市上野西3-17-18
06-6852-0110
11:00~15:00、17:00~23:00(月~金)、11:30~23:00(土、日、祝)
水曜日(祝日の場合は翌日)
http://www.okkii.com/
スントゥブOKKII箕面店
大阪府箕面市坊島4-9-10
072-725-0114
11:00~23:00(月~金)、11:30~23:00(土、日、祝)
火曜日(祝日の場合は翌日)
http://www.okkii.com/

コリアうめーや!!第288号
<ごあいさつ>
3月になりました。
まだまだ寒い日は続いておりますが、
日中はほっこりと暖かい日もあるようです。
春の訪れ、なんてわざわざ文章にすると、
ちょっと気恥ずかしいですけどね。
心機一転をはかるにはいい季節です。
今月下旬には今年初めての韓国出張があり、
春の済州島を満喫してくる予定。
それまでは仕事を前倒して頑張らねばなりません。
さて、そんな中、今号のテーマですが、
韓国からグルメなお客様がやってきました。
その方にまつわるもろもろのエピソードを、
プレミアムな情報とともにお届けします。
コリアうめーや!!第288号。
出会いは7年前の、スタートです。
<プレミアムテンジャンの可能性!!>
元新聞記者の兄さんが韓国からやって来た。
ここでいう兄さんとは韓国語のヒョンであり、
血のつながった兄弟を指す訳ではない。
親しい先輩、ぐらいに考えて頂ければ幸いである。
東京、赤坂で久々の再開を果たし、
握手とともに、それぞれ近況を尋ねた。
「カフェを始められたんですよね」
実際に顔を合わせるのは数年ぶりだったが、
Facebookなどを通じて、その情報は知っていた。
だが、
「いや、それはもう辞めたんだ」
という返事は予想外だった。
長年務めた新聞社を辞め、独立したと思ったら、
もうカフェからは手を引いて新しい仕事をしている。
このあたりのフットワークはやはり韓国人だ。
「いまはこんな仕事をしている」
差し出した名刺にはマーケティング担当理事の文字。
韓国での理事は、日本の取締役に相当するのでなかなか偉い。
どうやらどこぞの会社にまた勤め始めたようだ。
「なんの会社ですか?」
「味噌だ!」
「味噌?」
「テンジャン(韓国の在来味噌)のことね」
「いや、それはわかりますが」
という会話を前置きとしつつ、
まずは兄さんの人物像を少し語る。
幸いなことに、いまちょっと検索してみたら、
出会ったときの話からなにから、すべて出てきた。
ブログやメルマガなど、何度もネタにさせて頂いている。
いま見ると、面白おかしく脚色している部分もあり、
本人が読むことを考えると心配だが、まあいい。
読んでも広い心で許してくれることと期待しよう。
ネットに転がっているさまざまな情報をまとめつつ、
時系列に沿って、兄さんとの関係を紹介していく。
韓食日記/友人宅でトッククを食べました。
http://bit.ly/YDeiC4
初めて会ったのは2006年の旧正月。
当時、日本に住んでいた兄さん宅にお邪魔し、
トックッ(雑煮)を振る舞って頂いた。
このとき食べたカジャミシッケ(カレイの馴れ寿司)と、
ミョンテチム(干しタラの煮物)の味が忘れられない。
また、江原道地方のローカル料理であるこれらを、
該博な知識で解説してもらったのもよく覚えている。
兄さんを紹介してくれた料理研究家の先生が、
「韓国でいちばんのグルメ記者だからね」
「あなたのためになるから、兄さんとして慕いなさい」
「いま電話するから、あ、もしもし!」
と問答無用で紹介してくれたのも納得がいった。
その後、日本にいる間、もんじゃ焼きを食べに行ったり、
ウナギ居酒屋に繰り出したりと、あちこちで遊んで頂いた。
また韓国に戻ってからも、僕が出張で出かけたときなど、
連絡をしては、珍しいものを御馳走して頂いている。
韓食日記/浦項名物のクァメギを食べる。
http://bit.ly/Vg0zp7
第173号/酒乱の夜はキムチチゲから始まるのだ!!
http://bit.ly/Z4LynY
余談だが、マッコリの新しい飲み方として、
焼酎&サイダー割りを教えてくれたのもこの人。
マクソサ、ソマクサと呼ばれる飲み方だが、
僕の周囲でこれを試し、泥酔地獄に沈没した人は多い。
恨みに思う人は、僕でなく兄さんを恨んで欲しい。
また、韓国料理のあれこれを教えてくれる一方、
新聞記者として、僕のことを取り上げてくれることもあった。
ちょうど、韓国に戻った頃のタイミングで、
僕の「魅力探求!韓国料理」という本が出た。
それを記事にしたのがこれ。
韓国料理大好きの日本人、日本人向け韓国料理書を出版
http://bit.ly/Z4LxAk
2007年の記事が残っているのも驚きだが、
日本語に翻訳された状態で見ることができるのもすごい。
もとはネットの記事ではなく、新聞紙面に出たのだが、
僕のアホ顔がどーんと迫りくる大きな扱いだった。
あるいは、日本のマッコリブームを取材する際、
僕のコメントを載せてくれたこともあった。
これがマッコリ?日本の若い女性ら「ぞっこん」
http://bit.ly/13s9wQ5
これも2007年3月の記事だが、
日本のマッコリブームを伝えるものとしてはかなり早い。
さすがはグルメ記者といった鋭さが窺える。
……といったところまでが兄さんの紹介。
長くはなったが、僕との関係も含めつつ、
食への造詣が深い人、というのが伝われば幸いだ。
そんな人が、テンジャン(味噌)に目をつけた。
ここからが本題である。
兄さんのくれた名刺を見ると会社名は、
「竹長然(チュッチャンヨン)」と書かれている。
本社の住所は慶尚北道の浦項(ポハン)市。
浦項といえば、先のブログ記事でも書いているが、
サンマを生干しにした、クァメギという料理で知られる。
東海岸に面した、魚介の美味しい港町であり、
また韓国有数の工業都市としても名が通っている。
だが、テンジャンの話は聞いたことがない。
それもそのはず。
この「竹長然」という会社は2009年の創業で、
韓国でも新進の食品会社なのであった。
兄さん曰く……。
「プレミアムテンジャンを造っているんだ」
とのこと。
伝統製法に則った甕での生産はもちろん、
国産材料を使用し、添加物の類は一切使わない。
キャッチコピーは、
「自然と歳月以外は何も入れていません」
となっている。
テンジャンのほか、同様にコチュジャンも造っており、
また、最近はカンジャン(醤油)も始めたという。
歴史は浅いが韓国内での評価はすでに高く、
有名飲食店などでも使用されている。
「Market Oでも使っているよ」
といわれて、一瞬「???」となったが、
菓子のことではなく、名前の元になったレストランのほう。
オリオンが経営するソウルの自然派レストランで、
「竹長然」のテンジャンが使われているらしい。
一瞬、味噌入りのブラウニーでもあるのかと、
とんでもない勘違いをするところだった。
「あと、ニューヨークのDANJIでもね」
ニューヨークの「DANJI」といえば、
韓国料理店としてミシュランで初めて星をとった店。
なかなかすごいところで使われている。
味噌の会社と聞いて、老舗企業を想像したが、
よくよく考えると、伝統製法の醤(ジャン)は流行食品のひとつ。
「韓食の世界化」というキーワードが使われ出して以降、
伝統料理の再構築と洗練は、最先端のブームといえる。
なるほど、これは確かに興味深いビジネスだ。
「それはソウルでも買えるんですか?」
興味がわいてきた僕は兄さんに尋ねた。
旅行ついでに買えるなら、観光客向けの情報になる。
浦項だと難しいが、ソウルならガイドブックのネタになる。
「うん、ギャラリア百貨店に入ってるよ」
「お、いいですね!」
よし、ならば次の取材でチェックしに行こう。
ところが直後、予想外のセリフが追加で飛んできた。
「新大久保でも買えるけどね」
「え!?」
てっきり今回の出張で日本への販路を探し、
これから日本進出を狙っていく計画かと思っていた。
いやはや、韓国人のビジネスは本当に速い。
なんでも新大久保にある韓国スーパーの、
「ソウル市場」と「K-PLUS」で買えるとのこと。
実際に後で見に行ったら、確かに並んでいた。
「プレミアムテンジャンがそんな簡単に買えてよいのか!」
とも思ったが、それもまた「竹長然」の実力。
とはいえ、まだ買えるというだけで知名度は皆無なので、
今後はブランド力の向上を目指していくそうだ。
「だから、これよろしくな!」
「え゛!?」
手渡されたのは、テンジャン、コチュジャン、
そして造り始めたばかりのカンジャンなど商品一式。
味を見たうえで宣伝するように、という意味だ。
「あと来月浦項に来い。味噌仕込むから」
「え゛!?」
「取材していけ。メシぐらいおごるぞ」
「え、えーっと……」
なんだか、とんでもないことになった。
さすがにその来月というのはもう今月なので、
仕事の兼ね合いもあってさすがに行けない。
だが、韓国人を兄さんと呼ぶというのは、
「来い!」
「はい!」
という関係であるということ。
さて、いつ浦項に行けるだろうか。
呆然とスケジュール帳を眺める日々である。
<会社情報>
社名:竹長然
住所:慶尚北道浦項市南区虎洞573
電話:054-283-1530
http://jookjangyeon.com/
<お知らせ>
3月に済州島ツアーを予定しています。
島ならではの郷土料理を食べつくす3泊4日。
ご興味ある方は、ぜひご検討ください。
八田靖史と行く済州島まるごと食べつくしの旅
http://www.mrt.co.jp/topics20121201.html
<リンク>
ブログ「韓食日記」
http://koriume.blog43.fc2.com/
http://twitter.com/kansyoku_nikki
FACE BOOK
http://www.facebook.com/kansyokunikki
<八田氏の独り言>
まだ浦項には行ったことがありません。
行くならじっくり行きたい美食どころです。
コリアうめーや!!第288号
2013年3月1日
発行人 八田 靖史
hachimax@hotmail.com
メールマガジン購読・解除用ページ
http://www.melonpan.net/melonpa/mag-detail.php?mag_id=000669

もうたぶん誰も覚えていないと思いますが、
年明け早々の新大久保記事でこんなことを書きました。
=========================
以前、別のところでお店をやっていた方から、
2月ぐらいのオープンを目指して準備中と連絡を頂きました。
この外観だけで、どこだかわかる人も少ないと思いますが、
もしピンと来ても、しばらくは黙っていてください。
いずれ詳しい情報が出てきたら、またお伝えします。
=========================
オープン準備中の外観写真を載せて、思わせぶりなことを書き、
後々への伏線にしようという、見え見えな小手先技です。
実際にその店が、2月18日にオープンしたと聞き、
早速、いそいそと足を運んでまいりました。
店名が「黒豚」というのはいかにもシンプルですね。
なお、以前やっていたお店の名前も「韓流」とシンプルでした。
そこは別の方に引き継いだので、「韓流」という店はいまもありますが、
それとは別に、以前のご夫婦が「黒豚」を開いたということです。
過去の記事を見ると、2008年5月が最後ですか。
新大久保「韓流」でオジンオボックム。
http://koriume.blog43.fc2.com/blog-entry-725.html
以前は記事の最後に過去記事一覧をまとめていましたので、
2006~7年頃は、特にハイペースで通っていたのがわかります。
てか、僕が新大久保でいちばんブイブイ遊んでいた頃ですね。
取材でもよく伺いましたし、社長と個人的に飲んだりもしました。
そんなお付き合いも含め、待ち望んだお店のオープンです。

店名が「黒豚」であるように黒豚のサムギョプサルが看板料理。
奥様が済州島出身なので、黒豚は故郷の名物という意味もありますね。
注文すると、どでかいコンロが運ばれてくるのですが、
中央にテンジャンチゲ(味噌チゲ)を置けるのが大きな特徴。
丸い穴が開いていて、すっぽり収まるようになっています。
「このコンロいいですね」
「あれ、なんか日本メーカーの製品ですよ」
「へー、日本メーカーなかなかもやりますね」
といった会話をしていたところ……。
「下だけ日本で、上は韓国のものです」
とあえなく店員さんから否定されてしまいました。
まあ、そうですよね。

肉を並べるとこんな感じで……。

焼ける頃にはテンジャンチゲもぐつぐつに。
しかもこのテンジャンチゲはサムギョプサルについてくるうえ、
おかわりも自由という、なんとも韓国らしいスタイルです。
メインの豚肉も旨かったですが、テンジャンチゲもなかなか。
写真ではわかりませんが、ムール貝やワタリガニも沈んでいました。

パンチャンは5品。そのうち4品がキムチという構成。
以前の店でもよくスタッフ総出でキムチを漬けていました。

そして、この店ならではの特別なメニューはこれでしょうね。
済州島の郷土料理であるオクトムグイ(アマダイ焼き)。
1尾2000円と値段はそこそこですが、大ぶりなものが出てきます。
アマダイのほかにサバもあって、どちらも済州島産だそうです。
済州島はサバも旨いので、次回はそちらも試してみたいですね。

クルジョン(牡蠣のチヂミ)はサービスで頂いちゃいました。
ぷっくりと肉厚で、マッコリがおおいに進む味わいです。
なお、場所は以前の「韓流」からも近く、路地を1本入ったところ。
東横インの並びで「新村ヘジャング」の2階といえばわかりますかね。
「韓国広場」の脇から歌舞伎町に入ってナナメに折れるあの道です。
あまり目立たない場所であるうえ、店もさほど大きくないので、
新大久保好きな人たちが、穴場として通えるお店だと思います。
僕にとっては「料理上手なお母さんのいる店」という意味でもストライク。
朝5時まで開いているので、2次会、3次会需要としても使えますね。
以前、お付き合いのあった方々は、ぜひ足を運んでみてください。
ご夫婦ともども、きっと喜ばれることと思います。
店名:黒豚
住所:東京都新宿区歌舞伎町2-20-14内田ビル2階
電話:03-5273-0205
営業:17:00~翌5:00
定休:日曜日
http://www.facebook.com/kimkurobuta