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韓食日記

日々食べている韓国料理の記録です。
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コリアうめーや!!第291号

<ごあいさつ>
4月15日になりました。
12日間の韓国出張から戻ってきて、
ちょっと呆然とした日々を過ごしています。
情報の整理と、溜まった仕事にてんてこ舞い。
美味しかった料理の数々を反芻しつつ、
妄想と現実のはざまで身悶える毎日です。
今回の出張では美味しい料理はもちろんのこと、
たくさんの美味しい食材とも出会えました。
アワビ、フグ、カニ、韓牛などを食べ尽くす、
稀なる贅沢旅だったことを告白します。
今号で取り上げるのは東海岸のズワイガニ。
念願という言葉では語り尽くせないほど、
思いの詰まった宿題をようやく解決しました。
コリアうめーや!!第291号。
東の聖地へと赴く、スタートです。


<東海岸ズワイガニと僕の10年史!!>

振り返ると、あれは2002年秋。

僕は慶州(キョンジュ)取材に同行し、
東海岸の奉吉(ポンギル)まで足を伸ばした。
予定されていた取材対象は、

・文武大王陵(ムンムデワンヌン)
・感恩寺(カムンサ)

というふたつの歴史スポットである。

前者の文武大王とは新羅の30代国王で、
高句麗、唐と戦って朝鮮半島を統一した人物。
その陵墓が東海岸沿いの海中にある。

後者の感恩寺は文武大王陵付近にある寺院跡。
文武大王が統一後に護国を祈願して建設したもので、
新羅時代の美しい三層石塔が残っている。

いずれも歴史マニア垂涎のスポットだが、
僕がむしろヨダレをたらしたのは海産物グルメ。
取材もそこそこに浜辺の刺身店へと突撃し、
カレイの刺身とスチームのズワイガニに舌鼓を打った。

そのレポート記事が今もしっかり残っている。

慶州のおすすめコース第3弾~東海岸かに紀行
http://www.pusannavi.com/special/5003700

モノ好きな人は全文を読んで頂ければよいが、
昔の拙い記事なので、以下に要旨をまとめておこう。

・東海岸でズワイガニを食べる
・ズワイガニの名産地はもう少し北の盈徳(ヨンドク)
・近隣なので盈徳産を期待したが、実際はロシア産ばかり
・盈徳産は近年漁獲量が少なく値段が急騰
・盈徳産は諦め、ロシア産のズワイガニを賞味

東海岸まで行って有名な盈徳産に出会えず、
僕は記事内で、

「ロシア産のズワイガニ最高!」

と叫んだ。

もちろん食べて美味しかったのは事実だが、
盈徳産を知らずして、その最高は空虚な遠吠えに過ぎない。
いつかは盈徳でズワイガニを食べてやる。
盈徳産への強い憧れがその時点で生まれた。


だが、なかなかその縁は結ばれなかった。

いつかは盈徳産と心に誓いつつ機会を待ったが、
高級食材であることに加え、季節が冬場に限定される。
おまけに盈徳自体もかなり不便な土地柄なので、
気軽にほいほい行くようなところでもない。

誓ったはいいものの、なかなか機会は訪れず、
むしろ西海岸の絶品ワタリガニと戯れたりしていた。

中西部の港町、群山(クンサン)で食べた、
とろとろのカンジャンケジャン(ワタリガニの醤油漬け)。
仁川(インチョン)の松島(ソンド)地区で食べた、
卵みっちりの贅沢コッケタン(ワタリガニ鍋)。

「西海岸のワタリガニ最高!」

と満面の笑顔で語ったりもしていたが、
そのときも密かに盈徳産のズワイガニが気になっていた。
韓国ではよく、

「東のズワイガニ、西のワタリガニ」

といった表現を用いる。
東の正横綱を知らずして西の横綱を褒めてよいものか。
そんな思いが、いつも心に引っかかっていた。

あるいは焦りのようなものもあったかもしれない。

先日、盈徳よりもはるか北の江原道を巡った際、
同じく東海岸沿いでズワイガニを食べたが大失敗だった。
慶州のときと同様に、ロシア産ということだったが、
身は水っぽく、カニミソもひどい味だった。

これはやはり早いうちに盈徳へ行かねば。

そう思っていた僕にとって今回の出張こそが、
またとない機会となったのである。

僕の出張期間が3月21日~4月1日。
盈徳のズワイガニ祭りが3月28日~4月1日。
なんと後半部分で丸ごと重なっている。

「これは行くしかない!」

ソウル在住の友人2名に声をかけ、
辺境の聖地、盈徳を目指した。


この時点で下調べしていたのはこんな情報。

・ズワイガニ祭りの開催地は江口(カング)港
・江口港にはズワイガニの専門店が集まっている
・ズワイガニは専門店でも市場でも食べられる
・値段はサイズ、産地などによってかなり異なる
・盈徳でも盈徳産は希少で、ロシア産が多く流通する
・盈徳産には産地を証明するタグがついている

重要なのは産地の見極めと価格の相場だろう。
ある程度、大枚をはたく気持ちの準備はできていたが、
それでも無尽蔵の資金がある訳ではない。

しかも調べた情報にはこんなものもあった。

・ぼったくりの被害は現地でも少なからずある
・盈徳産もピンキリで質の落ちたものもある

名前だけの盈徳産に引っかかるのはごめんだ。
ただ、うまいこと立ちまわるのであれば、

・傷モノの盈徳産を格安で食べることも可能

という情報もあった。
盈徳産は足が1本落ちるだけで二束三文になるため、
それをあえて狙っていく通もいるらしい。

心ひかれる情報ではあったがビギナーにはやや難度が高い。
信頼のおけるナビゲーターでもいれば話は別だが、
とりあえず安全な方法で盈徳産を目指すことにした。

事前にピックアップしていた専門店を、
地元のタクシー運転手に伝えて評判を確認。
このとき客観的な情報を得るのに少しの話術がいるが、
なんとか信頼できそうな店を決めることができた。

それが「サゲジョルテゲ直販場」という大型店。
運も味方したのか、ちょうど僕らの食事中に……。

第16回盈徳ズワイガニ祭り
2013年慶尚北道ズワイガニ料理優秀飲食店選抜大会
金賞受賞!

との一報が飛び込むサプライズもあった。
どうやらその年の最優秀店を見つけることに、
期せずして成功した模様であった。


店を決めてからは、いけすを見つめて相談。
ひとつひとつ店の人に値段を確認すると、
だいたいこんな感じの選択肢があるようだった。

・盈徳産(大)→20万ウォン超
・盈徳産(小)→7万ウォン程度
・羅津産(大)→8万ウォン程度

(レートは1万ウォン=約893円)

いちばん下の羅津(ラジン)は北朝鮮の地名だが、
ロシア経由で輸入されるため扱いはロシア産と同じである。
また、これに加えてベニズワイガニなどの用意もあり、
人数と食欲に照らし合わせて複合的な注文も可能だ。

僕らはひとしきり悩んだ後……。

「盈徳産の小と羅津産の大を1杯ずつ!」

ということで都合15万ウォン分を注文。
これに鍋とカニミソの炒めごはんがセットでつくので、
3人で食べる量としてはそれなりに充分だった。


なお、食べての感想はブログでも速報を書いたが、
食べごたえで羅津産、味は甘味の濃さで盈徳産に軍配。
カニミソは圧倒的な差で盈徳産が美味しかった。

出張報告(9)盈徳ズワイガニ祭りでカニ三昧。
http://koriume.blog43.fc2.com/blog-entry-1513.html

両方のカニミソを味見したところ違いが顕著だったので、
羅津産だけを炒めごはんにしてもらったのが大正解。
盈徳産のほうはチビチビ焼酎のつまみで楽しんだ。

この感じだと、おそらく20万ウォン超の盈徳産(大)は、
食べごたえでも、カニミソの味でも群を抜くのだろう。
ただ、20万ウォンというと日本円で1万8000円近く。
ビビらず注文するには、まだ時間が必要だと思われる。

「盈徳産のズワイガニ最高!」

というセリフをいまはまだぐっと飲み込んで、
いずれの機会までもう少し待とうと思う。

盈徳のズワイガニは韓国でも指折りの成り金食材。

金に糸目をつけず、というのはあまりいい趣味でないが、
20代、30代の自分に照らして向き合うのも面白い。
果たしてそんな日が本当に来るかはわからないが、
いつの日か、

「盈徳産のいちばんいいヤツを持ってこい!」

と胸を張って注文したいものだ。

東海岸ズワイガニと僕の10年史。
今後20年史、30年史と歴史を重ねることで、
さらに付き合いを深めていきたいと思う。

いずれ機会があるものなら。

「20万ウォン持って現地集合!」

というオフ会でも開催したいところ。
来年のズワイガニ祭りではまだちょっと早いので、
キリのいいところで2017年はどうだろう。

「第20回ズワイガニ祭りに20万ウォン持参で臨むオフ会」

懐に余裕のある参加者をじっくり募集したい。


<店舗情報>
店名:サゲジョルテゲ直販場
住所:慶尚北道盈徳郡江口面江口里256-61
電話:054-734-2777

<お知らせ>
3月21日(木)に新刊が発売になりました。

タイトルは「韓国料理には、ご用心!」。
版元は三五館、定価は1260円(税込)。

ここ10年ほどの日本における韓国料理事情を、
ギュッとまとめて整理をしたという内容です。
http://koriume.blog43.fc2.com/blog-entry-1503.html

<リンク>
ブログ「韓食日記」
http://koriume.blog43.fc2.com/
Twitter
http://twitter.com/kansyoku_nikki
FACE BOOK
http://www.facebook.com/kansyokunikki

<八田氏の独り言>
盈徳でも怪しげな盈徳産がけっこうありました。
素人目線ではタグの確認がいちばん無難そうです。

コリアうめーや!!第291号
2013年4月15日
発行人 八田 靖史
hachimax@hotmail.com

メールマガジン購読・解除用ページ
http://www.melonpan.net/melonpa/mag-detail.php?mag_id=000669
2013.04.30.Tue 22:31 | 韓食日記 | trackback(0) | comment(2)
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八田 靖史(八田氏@K・F・C)
美味しい韓国料理を探す毎日。コリアうめーや!!管理人。コリアン・フード・コラムニスト。ブログは2005年12月開設。
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